植物にょきにょき大成長！！｜リアクション

植物にょきにょき大成長！！

●感謝の気持ち

　ある日の朝。佐藤瀬莉は自室で目を覚ました。
　寝ぼけ眼をこすりながらベッドを出て、そのまま窓に向かう。開いた窓から入る心地よい風を感じながら、庭を眺める。星ヶ丘の高級住宅街らしく、広々としていて手入れが行き届いている。２階の自室から見える庭は鮮やかに感じられた。
　瀬莉はその一角にひまわりが咲いているのを見つけて、今日も水をやろうと庭に出る。

「……あれ？」

　庭にやってきて、彼女はひまわりに違和感を覚えた。
　昨日まで、そんなにひまわりの背丈は高くなかったはずなのに、妙に高くなってしまったような気がした。よく見ると、ひまわりだけでなく、庭に植えられている他の植物も昨日とどこか違う。急成長しているのか、庭全体を覆いつくそうとしているように見える。

（多分神魂の仕業、だと思うけれど、これといって害がなさそうな気がする）

　確かに庭の植物は成長が著しいが、瀬莉に危害を加える様子はない。
　そんなことを思っていると、夏の花が咲いている一角が妙に騒がしい。そこへ行ってみると、なにやらガーデンパーティーのようなことをしていた。どの花も楽しそうに過ごしている。
　ふと一輪の花が瀬莉に気づくと声をかけてきた。

「瀬莉ちゃん、こっちにおいで」

　少し驚きつつも、彼女は花のほうへ向かう。すると花が自分の周りを囲むように伸びてきた。まるで瀬莉を抱きしめるように。どうやらこれらの花とはある程度意思の疎通ができるらしい。
　長い時間を過ごした友達というわけではない。これらの花にも水やりをしている程度の付き合いだが、大切にしているという瀬莉の気持ちは伝わっていたようだ。

「ありがとう」

　花たちの言葉に瀬莉は少し恥ずかしくなった。それから他の花とも交流したり、趣味のことなどを話した。どこか不思議で、それでも居心地のよい時間が流れる。瀬莉はその空間でのんびりと過ごす。
　気がつけば、太陽が茜色に染まり始めていた。瀬莉は花たちに別れを告げると、これからも大切にしていこうと改めて思った。

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