携帯戦記カプセルギア　不良だって、カプギアしたい！｜リアクション

携帯戦記カプセルギア　不良だって、カプギアしたい！

○寝子高生登場！

「遊ぶのは結構。だが公園は公共施設故、占拠はいけないなぁ。そもそも木天蓼工業高校周辺はこの島に来てまで遊ぶところがないのだろうか、哀れだな」
　通りすがりの旅鴉月詠の声に、一人残っていたガリガリで栄養の足りなさそうな男、墓多豚骨（はかたとんこつ）が反応しました。
「おれっちが『木天蓼工業高校近くで遊び相手を探したけど相手にされなくて困ってる哀れな奴』に見えるってのか？　バカにすんなコラ！」
「まあ、見てたのでな。カプギアでの勝負なら私も出せるし」
　芸術科の月詠はマイペースに言います。
「何？　勝負すんのか？　おれっちの歩いたあとには墓の山……墓多豚骨（はかたとんこつ）とはおれっちのことよ！　ギア出しな！　っておめえ、スケッチブックしか持ってないじゃねえかコラ！」
　月詠の手にスケッチブックしかないのを見て、豚骨は怒鳴りました。
「ああ、ちゃんと持ってる。いつでも出せるようスケブに封印しているんだ」
　月詠はろっこん『絵空事』を発動させ、スケッチブックからカプギア『Ｍ君』を取り出しました。
「けっ、ノーマルか。そんなんじゃおれっちの『ナルトライダー』には勝てねえな」　
　確かに、月詠のカプギアは一般的なノーマルパーツばかりで組まれているように見え、強そうではありませんでした。
「そうかね」
　挑発を受け流しながら月詠は思っています。
（ノーマルギアと笑ってくれるほうがいい。油断は付け入る隙だから。惑わされないよう気を付けることだ）
「おれっちのはこれだ！」
　しかし、豚骨が取り出したカプギアは。
「……そちらもノーマルタイプに見えるが」
　人のこと言えるのか！　という感じの、これまた珍しくないパーツで組まれていました。
　ただ、レッグ部分だけは改造してあるようです。
「うるせえ、ナルトライダーのスピードは半端ねえんだよ」
　その時、桐子のトルーパーと戦っていた味噌が声を上げました。
「くっ……タイマン勝負は引き分けだが、俺たちはチーム戦では負けない！」
　さらに、醤油も。
「こ、これくらいで勘弁してやらあ。味噌の兄貴が呼んでるからよ」
　引き分けというには大分歩が悪かったはずですが、不良たちは負けを認める気はないようです。
「整備したら仕切りなおしだぜ！」

　そこへ、様子を見ていた鷹司凜太郎とスピカ・フォーツがやってきました。
「公園で迷惑行為とは……しかも高校生が。嘆かわしい」
　風紀委員として不良は見過ごせない、と思う爽やかで格好良い凜太郎と、銀髪をツーサイドアップにした美少女スピカは、実に絵になるカップルでした。
　凜太郎の言葉に、スピカが答えます。
「占拠するのは、いただけない……まとめて、来ていいから……ぜんぶ、駆逐してあげる……」
　二人は不良たちの様子を見ていましたが、負けを認めぬ往生際の悪さに乗り出してきたのでした。
「くくく……こりゃ上玉だ！　ねーちゃん、そんな優男やめて俺のとこに来いよ、俺のテクで可愛がってやるぜ～、ぐへへ～」
　スピカを見るなりエロい目でジロジロ眺めまわしてくる醤油ですが、スピカは「だから何？」という風情で、むしろ憐みの目線を向けるのでした。
「ああ？　なんだその目は？」
　怒る醤油に見せ付けるように、スピカと凜太郎は手を繋ぎ、凜太郎は頭を寄せてきたスピカの銀髪を優しく撫でました。
「て、てめえら見せつけやがって！」
　醤油は放っておいて、凜太郎はリーダーらしい味噌に言いました。
「２対３で戦おうじゃないか」
　しかし味噌は不快そうです。
「２対３だと？　なめてんのかあ？　それじゃ勝っても面白くねえな」
「それなら私も混ぜてくれないか。チーム戦がしたかったんだ。何、二人の邪魔はしないよ」
　そこへ、月詠が参加を申し出ました。　
「なら三人で行こう。僕のカプギアは『ベレロフォン』だ」　
　凜太郎は、黒系統の色の半人半馬の弓兵型カプセルギアを取り出しました。
「ギアマスター名、エクリプス。カプギアは『トライアルγ』」
　スピカのギアは戦闘機型です。

「整備終わったぞ。遊びはこれまでだ！」
　いきり立つ不良たち。
　こうして、３対３のチーム戦の火蓋が切られました！

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