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猫又川灯篭流し
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青山 絢
は、下駄をからころと鳴らしながら川のほとりを歩く。薄い水色の地に、金魚や風鈴をあしらった清楚な浴衣が薄明かりにふわりと浮き上がって見える。傍らを歩く
水谷 真優理
というと、そんな従姉妹――絢の姿をうっとりと見つめ、幸せそうな顔をしていた。そんな真優理だって、傍から見ればしっとりとした大人の色香を漂わせる大正レトロ調の浅黄色の地にかのこ桜の浴衣に身を包んでいるのだから、醸し出すものはある。あるはずなのだが、頬が緩み切っている。
(今年も灯篭流しの日が来た。……お盆帰ってきたご先祖様の霊たちが、あの世へ帰る夜)
――4年前に亡くなった母も、きっと戻ってきてくれたのだろうか。
ぼんやりとそんなことを考えながら、絢は灯篭にさらさらと猫や朝顔の絵をつけていく。その様子をみつめ、真優理はきゅうっと胸が締め付けられるような心地になった。今でこそこうして二人で出かけて、灯篭流しへ行こうなんて話もできたけれど……。絢が抱えているものは真優理も知っている。
あいまいにほほ笑む彼女が過去に受けた心の傷はいまだに癒えていないのだ。人は悲しすぎると、辛すぎると、その感情が壊れてしまうという。絢の悲しみの感情は、飽和してしまった。
(去年は何の絵を描いたっけ……いや、切り絵か何かだったかな)
絢は昨年のことを思い返そうとして、そして軽く頭を振った。
浮かぶ表情は、哀しみを透明にしたような微笑み。
年齢に似つかわしくない表情。
そっと、静かに灯篭を川へと浮かべる。まるで涙の代わりのような哀色の微笑。真優理は何も言えなくなって、目頭がじわりと熱くなるのを抑え、そして誤魔化すようにうつむき、自分も同じように灯篭を流した。今泣いていいのは私ではない。傍らの少女の代わりに泣くなんて、そんなことは、してはいけない。何とかこらえきって顔を上げると、打って変わって明るい調子で笑って見せた。
「さーて、誰かさんとお話ししましょうか!」
絢もこくりと小さくうなずいた。ここからは互いに知らない人に声をかけねばならない。あとでまたここで、と軽く手を振ると、真優理はちょうど近くの木陰に立っていた中年の男に声をかけた。
「すみません、少しよろしいですか?」
「うん? ああ、どうかしたのかい」
「今日は灯篭流しだから、知らない人に声をかけないとなので……はじめまして、ですよね?」
「そうだね、おじさんでいいのかい?」
からっと人の好さそうな笑い方をする男性に、真優理は少しほっとして、話を進めた。
「へえ、おねえちゃんは、こんしぇる? をしているのか。ホテル……ねぇ、うん、その辺は昔……」
若く見えるのに、男性はずいぶんと寝子島の昔のことに詳しいようだった。郷土史の研究でもしているのかな、と思っていたが……。
「おや、すっかり話し込んでしまったね」
「ほんとだ。でも楽しかったです、ありがとうございます」
「……あの、実は私、幽霊なんです」
「……へ?」
突然の告白にぴたりと真優理は硬直してしまう。
今、なんて?
「怖がられてしまうかと思ってね……でも、とても楽しかったですよ。今の寝子島を知ることもできたし……そろそろ行きますね」
男性の体が光に包まれ、すぅっと消えていく。
幽霊なんて言われると怖いと感じてしまうが……その笑顔に、なんとなく真優理はこれでよかったのかもしれない、と思うのだった。
はぁ、と小さくため息をつく。絢はやや人見知りで、どちらかといえば知らない人に声をかけるのは苦手なほうだ。若干ハードルが高いが、そうも言ってはいられない。女優志望として、良い練習の機会ととらえることにした。大きく息を吸って吐いてから、別人になりきるようにして声を出す。
「今夜はとても素敵な夜ですよね」
川のほとりで涼むように川に足をつけている少女が振り向いた。なんとなく、背格好や雰囲気が自分に似ている気がする。
「……そうね、星も見えるし、灯篭の明かりもすごくきれい」
「えと……」
次のセリフを作らなくちゃ。そう思った時だった。少女がおもむろに口を開いたのだ。
「びっくりされる前に言っておくわね。私、実はもう死んでるの」
「え」
「17歳で、病気こじらせて死んじゃったんだ。短い人生ではあったけど……でも、不思議と悲しくないの」
こうやってお盆の終わりにはみんながきれいな明かりで送ってくれるしね。と続ける。絢はそのまま、その少女と話をすることにした。もう少ししたら天へ帰らねばならないこと。それまで少し話をしよう、と。そうして話しているうちに、絢は少女が自分の遠い先祖にあたるのではないかということを思い当たった。
「もしかすると、ですけど」
「ふふ、そうかも。私たちよく似てるものね」
そう話しかけた相手は、幽霊だった。自分と同い年に病で亡くなった少女。どこか自分に似た雰囲気だった。……話しているうちに、自分の遠い先祖だと判った。それに、と少女は続ける。
「あなたの気持ちが、流れ込んでくるの。哀しいのね。ずっと……こらえることなんて、ないのよ」
「……」
消えかかる両の手で絢の頬をそっと包むようにして、少女は微笑む。
「ねえ、次に会うときは、そんな哀しい微笑みなんか捨てちゃってよね。綺麗な顔なのに台無しだよ」
「……!」
絢が驚いた顔をしたのをみるといたずらっぽく笑い、少女は光に包まれていく。
「じゃ、来年逢おうね」
美しい明かりの中、宵闇に溶けるように。少女の優しい笑い声だけが絢の耳にかすかに残った。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
寿ゆかり
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
ホラー
定員
10人
参加キャラクター数
5人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2019年04月30日
参加申し込みの期限
2019年05月07日 11時00分
アクション投稿の期限
2019年05月07日 11時00分
参加キャラクター一覧
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