夏の暑さもほんのりと和らぐ、とある夜。
不思議な静寂の降りる川のほとりに、
夢宮 瑠奈の姿はあった。
「猫又川灯篭流し、かぁ」
毎年この時期に行われている、寝子島の夏の風物詩の一つ。
灯篭流しの日が、今年もやってきた。
お盆も終わり、この世へ帰省していたご先祖様たちも、そろそろあの世へ戻らなければならない。
彼らを在るべきところへ送るという意味を込めて、猫又川へと火を灯した灯篭を流すのだ。
それだけなら、どこにでもあるような風習に過ぎない。
しかし寝子島の灯篭流しには、他ではあまり見られない、一つの決まりごとがあった。
「一人で訪れた人も。家族で、恋人同士で訪れた人も。
必ず一言、知らない人と言葉を交わしましょう……だなんて。変わってるよね」
この世へやってくる霊たちの中には、自分が霊であることに気づかない者もいる。
しかしこの世の者同士で会話を交わしていれば、彼らもやがて、自身の在るべき場所を悟るだろう。
そんな言い伝えが、ここ寝子島においては伝わっているのだ。
昔の人々が考えた、おまじないのようなものだ。
けれどそれでご先祖さまが心穏やかに戻ることができるのなら、一言くらいは構わないだろう。
「素敵な風習だね……」
「ええ。そうですね。本当に」
素直な感性を思わずぽつりと漏らした瑠奈へ言葉を返したのは、隣にたたずむ、見知らぬ人だった。
早くも決まりごとはこなした……と、思わず瑠奈ははっとして、息を呑む。
瑠奈へと微笑んだその人は、半透明にすうと透けていて、おまけに足が無かったのだ。
ぽう、ぽう、と灯篭に火が灯されていく。
やがて猫又川は、美しい幻灯に覆われ尽くすことだろう。
灯篭流しの夜は、まだ始まったばかりだ。
こんにちは、よろしくお願いします!
夢宮 瑠奈さん、ガイドに登場してくださりありがとうございました。
ご参加いただける場合は、ガイドに関わらず自由にアクションをかけてください。
概要
寝子島で毎年行われている、『猫又川灯篭流し』が今年もやってきました。
川の水面、一面が揺らめく送り火に覆われる美しい光景は、きっと心に残ることでしょう。
猫又川灯篭流しは、誰でも参加することができるイベントです。
ご先祖様を送りたい方はもちろん、灯篭の美しさに惹かれた方、
特に用事はないけど何となく通りすがりの方、どなたでも灯篭を流すことができます。
灯篭は一人につき一つずつ、イベントスタッフにもらえます。
絵を描いたり色を塗ったり、切り抜いたり、加工は自由です。
自分だけの灯篭を作って、流してみてください。
なお、寝子島の灯篭流しには、一つ変わった風習があります。
「灯篭流しへやってきたら、必ず一度は、知らない人と言葉を交わすこと」。
ご先祖様のため、思い切って話しかけてみてください。
<幽霊について>
今回は、知らない相手と会話をする際、それが霊であることがあるようです。
穏やかな霊もいれば、ちょっと荒っぽい悪霊も中にはいるかもしれません。
うっかり霊に話しかけてしまったら、巧みなトークで、帰るべきはあの世だと気づかせてあげるもよし。
怯えながらもなんとか応対するもよし、怖がって逃げ出してしまうもよし。
自由にアクションをかけてください。
知らない相手かと思ったら、自分が生まれる前に亡くなっていたご先祖様だった、というように、こちらは知らないけれど、向こうは一方的に見守っていたから知っていた
というケースもOKです。
もちろん、幽霊には出会わず、普通の灯篭流しを楽しむこともできます。
NPCについて
登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
不自然でないシチュエーションなら、自由に絡んで構いません。
以上になります。
それでは、皆さんのご参加をお待ちしています!