データが消えて、真っ白け！？｜リアクション

データが消えて、真っ白け！？

　久慈たからＧＭの場合

　星山真遠は、本業の司法書士の傍らＰＢＷのゲームマスターをしている。
　ＧＭ名は久慈たから。
　ハードな政治軍事系シナリオから、日常系のほのぼのシナリオまで幅広く手掛ける。マスターとしての評判はまあまあだ。
「ここ最近は本業多忙ですっかりご無沙汰だったな」
　少し時間ができたので久しぶりにＰＢＷ『にゃっかみ！』でシナリオをリリースした。
　内容は肩の凝らない学園コメディ。
「コメディ苦手だけど今回は頑張って挑戦してみてよかった。締切りも間に合ったしな」
　２０名のシナリオが満員御礼で、約３週間でリアクションを書き上げた。
「あとは運営に提出してチェックしてもらう前に、再度リアクションをチェックしよう」
　とファイルを開いたら……
「あれ？」　
　真っ白だった。
「間違って別のファイル開いたか？」
　もう一度確認する。
「なに……消えてる……だと？」
　思い違いかとあちこち探してみたが。
　完全消滅したことを認めざるを得ず、愕然とした。
「おい、冗談じゃないぞ！　なんでこうなるんだ！」
　頭を抱えても、わめいても、リアクションは戻らない。
「仕方ない、運営には事情を話して公開延期にしてもらい、改めてリアクション書き直しだ。アクションは……嘘だろぉ！」
　アクションまで綺麗さっぱり消えていた。
「どうなってんだよ！　ノーパソぶっ壊れたのか？　だが去年買ったばかりだぞ？」
　泣きたい気分で運営にメールを送る。
「そうだ、リアクション書く時に取っておいたメモ、こいつは手書きだからまだ残ってるので……って、捨てちまったか？」
　ゴミ箱をあさるも見つからない。
「いったいどうなるんだ……？」

　ほどなく、運営からメールが届いた。
　大変ですね、とのねぎらいの言葉と共にアクションが添付されている。
　メールを読んでいるうちに、気持ちが落ち着いてきた。
「一度は書けたんだ。なんとなく思い出せるさ」
　プロットはできているので、アクションは少し見れば大体のところは思い出せる。
　完全に同じ文章ではないが、まずは書けるだけ書いてみよう。
「今度こそしっかり保存する！」
　気分が乗ってきたところで保存ボタンを押すと、どうしたことか白い画面に打った以上の文章が現れた。
「こ、これは……？！」
　確かに消えたはずのリアクションだった。
「あー、こうだったか……でもここは今書いた分のほうがいいかもな」
　震える手で両方保存して調整し、バックアップをしっかり取って。
　真遠は無事運営へリアクションを送信したのだった。
　

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あとがき

担当マスター：天村花海
ファンレターはマスターページから！

ご参加ありがとうございます。
いつでもあると思っているものが、不意になくなってしまったら。
ショックや不安、そこからどうやって立ち直るか。
みなさまのドラマを楽しませていただきました。

あとがきも真っ白に！　というのをやってみたかったですが、運営さんからチェックをいただいてやめました。
（……なんて、ほんとは書いてなかっただけです、ごめんなさい）

それでは、ご縁がありましたら次回のシナリオでお会いしましょう。

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