恋心を取り戻せ！｜リアクション

恋心を取り戻せ！

　陽がすっかり落ちる頃には、数えきれないくらいの小人を退治していた。さすがに疲れが出て、恵御納は肩で息をしながら折り畳み傘を下ろす。
「白石さん、これ……」
　そう言って差し出したのは一つのハート。白石からハートを奪われた、と聞いてからとっておいたものだ。
「ありがとう。恵御納さん。いただくわね」
　そう言って一口にハートを食べると、夢のような味が広がった。同時に、夫への想いも胸の中に広がっていった。
「わ、私、こんな格好で何してたのかしら……」
　我に返ると自分がとても際どい格好をしていたのがわかる。恥ずかしそうに顔を赤らめて、胸元を両腕で隠した。
「恵御納さん、今日はありがとう」
「僕の方こそ。……どういたしまして」
「恵御納さんは、恋心を取り戻すことが出来た？」
「うん。僕のじゃなくて、先生のだけど」
「それは良かったわ。じゃあ私、そろそろ帰らないと。あの人が帰ってくるかもしれないから。恵御納さんも、暗いから気をつけて帰ってね？」
「うん、ありがとう。それじゃあ、さよなら」
そう言って白石は恵御納に手を振ってその場を後にした。
残されたのはハートを持った恵御納一人。
　久保田先生に会ったなら、このハートを返そうと心に決めながら、恵御納もその場を後にした。
　翌日、再び合コンに精を出している久保田先生が見られたとか。

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