恋心を取り戻せ！｜リアクション

恋心を取り戻せ！

　白石妙子は自分の変化に気付いていなかった。買い物途中に小人にぶつかられたことも、ただ肩でもぶつけたのだろうと思っていた。そして、ある変化が訪れた。
（子供のためだけに結婚を続けているなんて……不誠実だし寂しすぎるんじゃないかしら）
　がらんとした家の中を見て、そう思う。夫への愛情は小人にとられて、なくなっていた。
（……とはいえ仕事もせずに離婚することは出来ないわね……）
　そんなことを考えていた白石の頭に、ある一つの案がよぎった。
　経済的に自立するためには仕事が必要だ。以前体験入店したキャバクラは確か給料が良かったはず。
　そう考えると、面接のために白石は服を選び始めた。普段ならまず着ないような短いスカートに、胸元の開いたトップス。いささか緊張しないでもないが、キャバクラの面接に行くならこのくらいはしないとだろう。
　そして夕方、キャバクラに連絡して白石は家を出た。陽が落ちてきたと言ってもまだまだ暑い。汗ばむ肌をハンカチで拭いながら、キャバクラを目指して街を行く。
　その途中のことだった。ピンク色の服を着た小人がカップルにぶつかっていくのが見えた。幸せそうな二人のうち、彼女の表情がみるみる変化していく。
（何あれ……！　なんだか放っておけないわ）
　胸にハートを抱えた小人を白石は追いかけた。ヒールの音がかつかつと響く。
　ただでさえ歩き辛いヒールで走っているのだ、このままでは追いつけないかもしれない。そんなことを思った時だった。
　白石の行く先に、一人の女性が現れた。

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