自転車で駆け抜けろ！｜リアクション

自転車で駆け抜けろ！

●レーススタート

　パーンという小気味いい音とともに一斉にスタートする選手たち。全員団子の状態から徐々にばらけていき、大きく３グループに分かれた。とはいえ、距離はそれほど離れていない。
　先頭集団には心と慎之介が入っていた。慎之介は通学で慣れているからかクロスバイクをすいすい漕ぐ。心は自転車の性能に後押しされながらグループについていく。
　真ん中のグループに選手が一番固まっており、夏朝、まゆら、豪もそのなかにいた。３人とも最初から飛ばすことはせず、体力を温存する作戦を選んだ。

（じっくりついていって終盤で抜いていく！）

　頭のなかで作戦を改めて確認する豪の横を、誰かが追い抜いていった。

「うおっ、速いな！　あれは島岡先生！？」

　その人物は間違いなく雪乃先生だった。ただ普段のおっとりほんわかした雰囲気ではなく、鬼気迫るものがあった。

「よし、離されないようについていくぜ！」

　負けていられないとばかりに豪はその後を追う。先生も先生で、かかってこいと言いたげな目線を送る。
　後続グループには玲音と遠海とののこを含む他数名。出遅れたという感覚が否めないが、レースはまだ始まったばかり。このコースには障害物があるため、最後まで何が起こるかわからない。

このページにイラストを設定する