お昼休みの友達放送｜リアクション

お昼休みの友達放送

♪♪　八神修の時間

「Bom dia!!（コンチワ！）アントン様だゼ～！！　今日のゲストはナ～？」
　アントニオンの司会で番組は始まった。
「２年１組、八神修です。生徒会副会長、新聞部と射撃部の部長をしている」
　冷静に自己紹介をする修。
「八神くんの好きなことってなにかナ？」
　アントニオンの質問に修は一瞬で考えた。
（勉強が好き……じゃ面白みにかけるな。ペットの話はどうかな）
「動物が好きで、たくさんのペットがと暮らしてます。白猫のミルクはあまえんぼで、パソコンに向かっているとキーボードに乗ってくる。黒猫のブラックはテレビ画面を手でたしたし叩く。魚とか映ると特にね。猫たちは寒いと布団に潜ってきて、大変なんだ」
「あー、猫が好きなんだネ！」
「猫だけじゃない、犬もいるよ。気まぐれな猫のミストはラブラドールのカエサルの上で寝るのが好きでね」
「へー、犬はおとなしくしてるのかい？」
「カエサル？　仕方ないワンって感じで一緒に寝ちゃうね」

　よどみなく続く修の話に相槌を打っていたアントニオンだが、そっと腰を浮かし傍にいたアカリに耳打ちした。
「あ、スマン、ちょっと場ツナギ頼むゼ！　ちょっと購買部で昼飯買ってくっからヨ～」
「えっ？！　マジっすか？」
　慌てるアカリを尻目にアントニオンは本当に放送室を出ていってしまった。
（司会がいなかったら最後までノンストップで喋り続けるつもりだったけどヨ～）
　自由すぎるようだが、後輩にアドリブ力をつけさせる訓練にもなる。
（むー、やるしかないな）
　アカリはアントニオンの席に座り、修に質問した。
「猫と犬は部屋の中で一緒にいるんすか？　出かけてる時はおとなしく待ってるんですか」
　司会交代に動ずることなく修は悠然と話を続けた。
「犬は玄関で待ってたりするよ。しかも横にリード置いて」
「ええっ？　それって散歩に……」
「そそ、お散歩行こうワンってこと。疲れて帰ってても、それされると行っちゃうね」
　修は爽やかに笑う。
「あー、そうですよねー」
（タダイマ）
　しばらく話しているとアントニオンが戻ってきた。
「さてそれでは、次のお友達ヲ？」
「紹介するお友達は……」
　十分に間合いを取ってから、修は言う。
「七夜あおいさんです」
　実はあおいには事前に丁寧に頼んである。
（好きな人に嫌な思いはさせたくないから）
　修はその時のことを思い返していた。
　
「今度の友達の輪、俺なんだ」
　照れながら修はあおいに話した。
「えっ！　すごい、楽しみにしてるね。緊張しない？」
「目の前に人もいないし、緊張は多分大丈夫……かな」
　楽しみと言われて喜びながら修は言う。
「それでさ、次の友達としてあおいを紹介したいんだけど……でも無理には頼まないよ」
　あおいの様子を見ながら、修は切りだす。
「えーっ、恥ずかしいけどちょっと嬉しいかも。何話したらいいのかな？」
　あおいのまんざらでもない様子に、修はほっとした。
「話題かあ……挑戦してる料理の事とか、同好会の事とか聞きたいな」
「それならなんとかなりそう。話すこと考えておくね」

（あおいさんか……。次の担当、俺だよな）
　一方で、裏方で機材を担当していた彰尋もドキドキしていたのだった。

このページにイラストを設定する