ボーッと生きててもやってくる！中学生の期末テスト＜点数編＞｜リアクション

ボーッと生きててもやってくる！中学生の期末テスト＜点数編＞

テスト採点結果

　職員室。普段から厳しい杉村小春校長の表情が、さらに厳しかった。
「前回のテストから比べて、平均点が大分落ちてるザマスね？」
　数学、理科、社会の担当の先生たちが目をそらす。皆顔色が冴えない。
「たるみがあったようですな。気を引き締めて生徒の指導に当たります」
　１年２組担任の数学教師武田剛志が、先手を打って反省を述べた。
「そうざますね。そういえば最近カプギアとかいう遊びが流行ってるようザマス。勉強に身が入らない原因になってると思うザマス。生徒間のトラブルの原因にもなりそうザマスし」
「カプギアって、ロボットを組み立てて戦わせるゲームですよね。スマホみたいな端末使って」
　１年１組担任の住森葉子先生が頷く。
「あれ面白いですよね、でも勉強にそこまでの悪影響は……い、いやそうかもしれませんね、さすが校長先生」
　何も考えず声を上げてしまった２年３組担任、英語担当のエロの助こと高橋英之助先生は、校長にギロリと睨まれ、コロリと態度を変えた。
　成績の低下の原因が自分たちの指導能力とされるより、カプギアが悪者になってくれたほうが都合がいい。
（よかった……平均上がってて本当によかった）
　新任ながら１年４組担任の国語教師、浅井哲太は、校長の厳しい追求を見ながら震え上がっていた。

「それでは反省会と行きましょう。校長もご一緒にいかがですか」
　３年３組担任加藤秀雄は、平均が下がった社会科担当であるが動じていない。
　夏休み前で浮かれている生徒たちにとって、暗記科目である社会はどうしたって後回しになるのだ。
　教える側にとっても積み重ねが重要な数学や英語と違い後からの追い込みでも点が取りやすいから、１学期時点では気楽なものである。
「それより夜回りして生徒たちがカプギアにうつつを抜かしていないかチェックするザマス。小林先生、確かゲームに詳しかったざますね？」
　赤い眼鏡に付けた銀色のチェーンを揺らし、杉村校長は３年１組担任の小林かなみ先生に目を向けた。
「え……そうですけど、カプギアは普通のゲームとはちょっと違うのであまり詳しくは……」
　腰が引けているかなみ先生を、杉村校長は追い詰める。
「私よりは詳しいはずざます。私はどれがカプギアかもわからないざますから、生徒たちを指導するため１日夜回りに付き合ってほしいざます」
「はい……」
　肩を落とすかなみ先生を、他の先生方は同情の目で眺めるのだった。

　

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