どうぶつライフ｜リアクション

どうぶつライフ

●ミツバチ

　とある朝。
　アリシア・エーゼルベルクはシーサイドタウンにある自宅の庭園で、花に水をあげていた。昇ったばかりの太陽が花に光を届けると、葉の水滴に反射して爽やかに輝く。その様子を楽しみながら水やりを続けていると近所の野良猫たちが侵入しているのを目撃した。どうやらここで栽培している野菜を取ろうとしているようだ。
　取られるわけにはいかないので、アリシアはろっこん『ワーキャット』で変身して、にゃごにゃごと威嚇して追い返そうと思った。さっそく変身しようとしたら、神魂かなにかの影響で何故かミツバチに変身してしまった。

（え？　なんで？）

　突然の出来事に慌てふためくアリシア。しかし慌てたところで羽を使って空を飛ぶ自分の姿は変わらない。どうしようかとその場でぐるぐると円を描く。そうして飛びながら考えるうちに、やがてアリシアは１つの結論にたどり着いた。

（ミツバチになったのも何かのチャンスかもしれないわ）

　ミツバチになるなんて、なかなかあるものではない。だったら今のうちに色々試してみよう。好奇心の赴くままに次の行動を考える。まず庭園に咲いている色んな花から、花の蜜を飲んでみる。まるで並べられたジュースを少しずつ飲んで味を楽しむような贅沢な感覚。好みの味を見つけたらついつい多めに楽しんだり。ひととおり満足して花からいちど離れる。
　そして改めて普段見ている世界との違いを確かめようと羽を動かし、高く飛ぶ。庭園を真上から見ると花が織り成す色味が鮮やかだった。今度は低く飛び、地面の近くから空を仰ぐ。それはまるで木漏れ日のなかを歩くようで心地よかった。
　それから鳥などに注意しつつスピードを上げて空中飛行を満喫する。そんな風に過ごしていたら他のミツバチに発見されて仕事を手伝うように言われた。どうやら仲間だと思われたらしい。本当は仲間ではないのだけど、それを伝える手段は無いのでほどほどに手伝ったところで頃合を見て退散した。

　そのあとも色々なところを飛び回ったり、ときどき羽を休めたり、蜜の味を楽しんだり。
　そういったミツバチとしての１日をアリシアは楽しく過ごした。

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