本日は臨時休業で｜リアクション

本日は臨時休業で

●優等生の過ごし方

　八神修は月１の週末、本土の塾で個人指導を受けている。
　難関大の想定入試問題を解き、有名講師の個人指導は、教わる側としてはすごく魅力的だ。
　塾があるビルが改修工事中なので、講師と相談して、個人指導を来週に変更した。
　自室で勉強するのも良いが、それでは普段と変わらないので、気分転換も兼ね図書館で勉強を頑張ることに。
　外食するとしても、店Ａが休業だったからと食事をやめたりはしない。その場合、店Ｂに行く。
　塾がないなら、別の場所で年強するのは当たり前。高校生なのだから。
　勉強以外の選択肢に関しては、合理的な物の考え方である。

　天気がいいので、自転車で図書館に行く。軽い運動にもなるし、風が気持ちいい。
「絶好の行楽日和だな」
　それでも、勉強のため自転車で移動する修。
　図書館に向かう途中、紙袋を持ち、どこかに向かう綾辻綾花を見かけたので声をかけた。
「綾辻、どこに行くんだ？」
「学校が学年閉鎖で臨時休校になったので『うみねこ』にちょっと様子を見に行こうと思いまして」
　その紙袋は？　と訊ねると、差し入れとして買ったたい焼きですと中を見せてくれた。
　出来立てなのか、たい焼きから湯気とつぶあんの甘い匂いが。
「お店がお忙しいようでしたら、バイトはないんですけど、お手伝いしようと思っています」
　その合間に、３月から提供することになった限定メニューの夏版のことを話したいですとも言った。
　これから暑くなるので、涼し気なメニューや夏バテに効きそうなメニューが出るかもしれない。
　そう思うと、修は限定メニューが出たら、うみねこに行ってみようかと思った。
「ケンゾウさんとハルコさんと、ゆっくり話ができるといいな」
「修さんも勉強、頑張ってくださいね」
　話が終わったら、２人はそれぞれの目的地へ。

　臨時休館でしまっていると思っていた図書館は、いつもどおり開いていた。
　さっそく勉強だ、と空調の効いた部屋へ。
　集中して勉強できる仕切りのある机。静かな空間。部屋には参考資料が豊富で、しかも使い放題。
　廊下には給水機があるので、喉が渇いたら、そこで一休みするのもいい。
　窓からは整えられた整えられた緑が溢れる庭が見られるので、勉強をするにも、休憩するにも良い環境だ。
「さて、勉強するか」
　机に向かうと、鞄から筆記用具とノート、教科書と参考書を取り出し勉強。
　いつもなら、この時間は寝子高で授業を受けている頃だな、と、ふと思った。
　学校の授業や友達と集まって勉強会もいいが、たまには静かな環境でひとりっきりもいい。
　少し疲れたので、廊下にある給水機の水を飲んで一息つき、窓の外を見る。
「気持ち良い……集中しすぎるのも良くないからな。適宜な休憩を取りつつ勉強するのがいい」

　集中して勉強していたが、夕陽の光が机上に差し込み始めたので我に返る。
「もうこんな時間か。そろそろ閉館だな。半日ほど勉強していたのか」
　残念そうに帰り支度をし、図書館を出る。
　帰り道、いつも覗いている猫の集会所へ。
「今日も沢山寛いでいるな。こんにちは」
　集まっている猫達に、しばし癒されたい。そう思いながら、話しかけたり、撫でたりする。

「今日も勉強が捗ったな」
　帰宅したら、ペット達にブラッシング。
「これが終わったら、たくさん遊んでやるからな」
　カレンダーを見ると、明日は臨時でなくても学校は休みの日だ。
「明日は堤防釣りに行くかな。参考書を傍らにのんびりしながら」

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