ののこがすてんと転んだら｜リアクション

ののこがすてんと転んだら

　深縹露草は、なんとなく気づいていた。
（……何か、変わった気がしますね……？）
　バイトからの帰宅後、アパートの自室でろっこん進化能力の練習をしてみることにした。
「使い方を試しマース」
　ちゃぶ台の上に置いたのは、割り箸。
　次に手持ちのメモに紋章を描いて、念じる。
（ちゃぶ台の上の割り箸よ……光れ！）
　ろっこんが発動し、割り箸が光りだす。
　ここまでが基本の能力だ。
（この力、宙に浮かす事はできるのでしょうか……？）
　さらに露草は念じる。
（割り箸よ、浮かんでちゃぶ台の外へ……）
　割り箸は、無事すっと動き、宙に浮かんだ。
「やりました、成功デース！」
　気を抜いた途端、割り箸が落下する。
　露草は慌ててそれをキャッチした。
「あ、危なかったデース…！」
　念力に近いので動かす際に宙に浮かせることができるのは、もしかすると自然なことだったのかもしれないが。
　しっかり確かめることができたのは露草にとって嬉しいことだった。
「ちゃんと使いこなすには練習が必要そうですが、進化前からの能力のようにいずれ役立てられる事を目指しますよ！」

　とても便利な能力だが、とりあえずお湯入りのやかんはろっこんに頼らず手で持とう、と思う露草だった。

このページにイラストを設定する