ののこがすてんと転んだら｜リアクション

ののこがすてんと転んだら

「すっかり遅くなってしまいました」
　哀坂零葉は、一人校門を出て帰路についた。
（ろっこんで加速して帰りましょうか)
　ろっこんを発動させようと念じたが。
（……？　発動しませんね）
　あたりを見回すが、太陽は出ていないし人目が多いわけでもない。
　寝子高生が前方を歩いているくらいだ。
　良く見ればその女子は同じクラスの子だった。
　そう親しくはないが、仲間意識を感じる。
（ろっこん、もう一度試してみましょうか）
　前方を歩くクラスメイトが角を曲がったのを見ながらそう思った時。
「きゃあっ！」
　悲鳴が上がった。
　見れば前を歩くクラスメイトに、男が襲い掛かっている。
（危ない！）　
　そう親しいわけではないとはいえクラスメイトである。
　仲間の危機に、零葉が思わず『早く逃げてください』と念じたとき。
「えっ？」
　クラスメイトの足が急に速く動きだし、つんのめって転んだ。
（ああっ！）
　息を呑んだが、次の瞬間彼女は素早く起き上がって、すごい速さで逃げ出した。
　零葉はほっと胸を撫で下ろした。そして今の現象が、自分のろっこんのせいだと思い当たる。
（もしかして私のろっこん、自分には効かなくなったのでしょうか）
　発動条件はスカート＋ノーパン時に集中し続けることだが、ほぼ毎日ノーパンスカートのまるだし少女である零葉にはそう難しくないだろう。

　遠ざかるクラスメイトの背中を男が悔しそうに見ている。
　もしこちらに気づかれたら……
　零葉は、冷や汗をかきながら後じさりして男から離れるのだった。

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