ぼくのわたしの町たんけん！｜リアクション

ぼくのわたしの町たんけん！

　良く晴れた朝。いよいよまちたんけんのスタートだ。
「何を聞いてみるッスかね！　ワクワクするッス！」
　赤いショートヘア、つり目の５年生古尾桐子は張り切っていた。
「探検！　それはロマンッス！　普段何気なく見過ごしてる道やあまりよらない店、そういった場所に隠されたロマンを探す楽しみ！　たまんねーッスね！」
「ねえ、どこいくのー？」　
　同じ班の１年生が聞いてきた。
「よくぞ聞いてくれたっス！　今日の目的地は『善場模型店』と銭湯『杜の湯』ッス！　カプギアじょーほーを仕入れつつ探検疲れをコーヒー牛乳で〆るコース！　まさに無敵ッス！」　
　ドヤ顔で言う桐子。
　男の子は目をキラキラさせる。
「カプギアのおみせ？　やったー！」

「今日は町たんけんの日！　一体どんなお店に行けるか楽しみっす！」
　ツンツンの髪の童顔、５年生の剣崎一心は、自分の班のメンバーを見回して驚いた。
「桃井さんがいるっす！？」
　その言葉に、４年生の桃井かんなが視線を向けた。
「同じ班みたいね。班の名簿見てなかったの？」
「見てなかったッス……」
「まったくこれだから男子は」
　クールぶるかんなだが、一心はそんなところが気になっている。
（すごく久しぶりに桃井さんを見た気がするっす。だから恥ずかしいけど頑張っていっぱいお話したいっす！）
「あの、桃井さんはどこに見学に行きたいっすか？」
「私はべつにどこでもいいけど……しいて言えば模型店かな。剣崎は？」
「自分は『美咲』ってお米屋さんに行きたいっす。お米大好きっすから、色んなお米について知りたいっす！」
　一心は幼い頃から剣術一筋。腹が減っては戦ができぬ、だから剣の基本は米なのである。

　佐藤瀬莉はツインテールの、まつげが長いかわいい少女だ。
（６年生だから最後の町たんけん、楽しもう）
　ランダムに決められた班で、班長として年下の子たちを率いる。
（一番の年長だから、そろそろお姉ちゃんとしてしっかりしなきゃ）
　班の子たちの顔を見回しながら、そんなことを考えている。
「見学先は米屋美咲さんと、銭湯杜の湯さんです。迷子にならないようちゃんとついて来てね」

　校長先生のお話の後、みんな元気に「しゅっぱーつ！」。
　しかし。先生たちに見送られ校門を出て間もなく……
「ってなんスかこの道！？」
「道がうねうねしててまるで迷路みたいっす！」
「道がなんだかとてもすごいことになってる……」
　皆は目の前の光景に目を疑った。
　うねうねとぐちゃぐちゃ曲がっているし、なぜかいきなり急な坂になっていたり。
　先生に助けを求めようかと振り向いても、いつの間にか後ろは壁に塞がれていた。
　さっきまでそばにいたはずの、他の班の姿も見えなくなっている。
　

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