中学生も、明日のためにペンを持て！｜リアクション

中学生も、明日のためにペンを持て！

○テストを終えて～新体操

　テストは無事終了、学活も終わって。
　篠原翠響は立ちあがりました。
　三年生なので来年は高校受験を控えているけれど、要領がいいので成績は上の中の翠響。
　相変わらず余裕で、制服のまま学校から寝子島スポーツセンターへ直行です。
　寝子島スポーツセンター内の体操クラブで、今日は新体操の練習日。
　関東ジュニアの大会県予選が来月に迫り、これに上位入賞すれば全日本ジュニアの選手権へ出場できるのです。
　去年も出場して上位に入賞できましたが。
（今年は中学最後の年。優勝を狙うから、気が抜けない）
　そんなわけで翠響は、テスト期間中も練習に励んでいたのでした。

　着替えてウォームアップを済ませた翠響は、さっそく練習を始めました。
　躍動する身体、躍るリボン、絶妙なバランスで止まるボール、流れるポニーテール。
　テスト明けで気がかりもなくなったからか、ことのほか身体が伸び伸びと動きます。
「すごい、篠原さん」
　気分が乗って練習とは思えないほどの美しい技を連発しまくります。
　皆の視線が翠響に集まり、感嘆の声が上がりました。
　今までの翠響なら「これくらい当然よね」と思ったでしょう。
　しかし去年の担任だった藤倉先生の言葉が、翠響の脳裏に浮かんでいました。
『君は確かに何でも簡単にこなしてしまうが……、努力を軽視していると思う。挫折経験がないと、いずれ才能だけではどうにもならない壁にぶつかったら、反動で心が折れてしまうかもしれないと思って』
　あの時は聞き流したつもりだったのに、思った以上に先生の言葉は翠響の心にひっかかっていました。
（折れたりなんかしない……もっと練習しなくちゃ）
　さらに練習に励む翠響。
「……篠原さん、なんか最近変わってきたんじゃない？」
　コーチや他の子はそう噂しました。

　練習終了後、シャワーで汗を流します。
　十分に練習して疲れているはず、なのに、もっとできる、と気持ちは走っていて。
（あたし、なんか熱くなってるのかな……）
　翠響はそんな自分に苦笑するのでした。

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