愛とウサギとチョコレート｜リアクション

愛とウサギとチョコレート

■夢の終わり
「あら、ヒュー。もう終わってるみたいね」
　城山水樹とヒュー・ヒューバートがバニー城に着けば、すでにオオカミ男は縄で縛られ柱に括りつけられていた。
「あ、この扉から元の世界に戻れるようですよ！」
　リリエルが明るい声を上げれば、シーナや悠月、彰尋が
（やっと戻れる……）
　とげんなりとした表情のまま扉へと向かっていく。
「私は美味しいチョコレートが食べられて楽しかったですね」
　紫苑が笑めば
「オレもどよぅ！せっかくだしこの着ぐるみとぬいぐるみチョコレート、持って帰りたいなぁ」
　瑠樹がのんびりとした声を上げ、チョコぬいぐるみの包みを抱えた。
「お菓子作りが得意な方も沢山おりますし、作って差し上げることも出来ると思いますわ」
　瑠樹に七星が笑いかけ。
「着ぐるみだって用意できるウサ」
　月詠はと言えば、またスッポリとうさぎの着ぐるみに身を包んでいる。どうやら気に入った模様ウサ。
「私も、あの見たことないサラサラのお砂糖とか持って帰りたかたよう」
「……持って帰れるかわからないが……。あ、街の人達に出口を教えないと」
　澄佳の言葉に湊弥はハッと思い出した。
　まだこの世界に残る人達に、帰りる方法を教えねばならない。
（そう言えば、あのコンビニもあったし）
　湊弥はそう思いながら。残ったウサギたちを探すため城を出て行く湊弥と澄佳だった。

「元の世界に戻れそうね、ヒュー。買ったチョコも無駄になっちゃったかしら」
　水樹の言葉に
「そんなことない。僕が食べるよ」
　水樹の手からヒューがチョコを奪う。
「あら。ヒューにあげることになるのだったら、ちゃんと手作りにしたのに」
「気持ちだけで嬉しいよ」
　女体化バニー姿のヒューが水樹のチョコの包装を解き。
　そのチョコをパクリと齧る。
「美味しい？」
「あぁ。美味しいよ。でも」
　ヒューがもう一つチョコを口に咥えると、そのチョコを水樹の唇へと近付ける。
「……もう」
　そう言いながらも水樹がヒューの咥えたチョコに唇を重ねた。
　チョコレートを味わい、またチョコ味のお互いの唇を楽しむヒューと水樹の姿に。
「……冬華。元の世界に戻ったら、さっきの続きを……」
「月さん、できれば甘いチョコでお願いしますね」
　月の視線を察知した冬華が頬を赤らめながら潤んだ瞳で頷くのだった。

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