this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
『ウラオモテヤマネコ』が現れた!
<< もどる
1
2
3
4
5
…
8
つぎへ >>
今日の空は、心地良い風が吹き抜ける快晴。
透き通るつややかな白の髪に、鮮明な赤の瞳。それらを兼ね備えた色素の薄い
如月 蘇芳
にとっても、当てのない散歩の中で、その春風は大変気分の良いものだった。
「(……あれ?)」
最中、店が並ぶ星ヶ丘の横道に、こちらをじっと凝視している猫がいる。
「……猫が、こっち見てる? 逃げないなんて珍しいな」
蘇芳が関わろうとした動物は、大抵逃げる。明らかに嫌われている。
それは、動物がこちらの本質を見抜いた結果であるが、目下、蘇芳にそれを直すつもりは更々ない。
そうして、見つめ合うこと三秒。異変は起こった。
「……っ?」
胸に、心臓が強く握られたかのような圧力。
蘇芳は、呼吸もままならないその状況に、大きく目を見開いたまま横道に数歩踏み込んで。そのまま地面に片膝をついた。
◆ ◆ ◆
「今日はショッピングですっ♪
春物の可愛いお洋服を買って、もーっと可愛い因になりますよぉっ」
春物の新作購入を目的に星ヶ丘を歩く
天宮城 因
の心は、色彩鮮やかなツーサイドアップの髪と同じように軽やかに跳ねていた。
今まで何度か足を通っているお気に入りのブティックの前で足を止め、紅色を伴うブーゲンビリアの色をした瞳を輝かせる。
しかし、
「今日はぁ、あそこのお店で春物のお洋服が──……ん?」
『それ』を見た瞬間、因の明るく煌めいていた瞳が、一気に黒みを帯びて大きくくすんだ。
因の目の先、店の側その横道には──少し離れた所に、如月蘇芳の後ろ姿があった。
関係は、友人でも、好敵手でもない。本当に、一言で表せば『敵』であろう。
「せっかくのお買い物なのにすおーさんを見つけちゃうなんてぇ……
──、文句のひとつでも言わないと気が済みませんっ」
今の因にとって、その言葉には口に出した以上の感情があった。可愛らしい顔には似合わないほどに眉を寄せる。
しかし、決めてしまえば、因の行動は早かった。
因は、立ってはいるが、今も胸を押さえて背中を見せている蘇芳に声を掛ける。
「……あれぇ? すおーさんじゃないですかぁ。
こんなところで一人でどうしたんですかぁ?」
「(……。
あれ、痛みが引いた? 一瞬だったけど、なんだったんだろう……?)」
痛みを感じるほどの違和感が、すっと溶け込むように消えていく。何だったのかと思案する最中。
「すおーさん、自分のあまりの性格の悪さに、思わず胸が痛くなっちゃいましたぁ?」
そこでようやく、背後に因がいた事に気がついた。
「あれ、因君。珍しいね、君から声を掛けてくれるなんて」
いつも二人のやり取りは、因が挨拶代わりに遅効性の毒を山ほど盛って、甘い声音でアイシングされた言葉のケーキを差し出せば、穏やかという単語がこれでもかというほどに相応しい蘇芳が、笑顔でそれをスルーする。そしてダージリンのファーストフラッシュのように爽やかな即効性の毒を交えた言葉を、呼吸するように相手に注いで返すのが日常だ。
──しかし、今回のスルーは偶然の上、蘇芳の内心はそれとは若干……もとい大きく異なっていた。
「(向こうから話し掛けてくれるなんて。
ちょっと嬉しい、なんて変かな?)」
いつもならば、取り合う必要もなければ、歯牙に掛けるまでもないと判断していた内容が、言葉が。
今日は『何やら、とても愛おしく思える』
──それが、蘇芳にとって狂気の沙汰である事に、当の本人は気付いていない──
「そうだ、今せっかくの機会だから」
蘇芳は辺りを見渡し、人がいないのを確認した上で、正面から因の方へと向き合った。
「あのさ、因君に謝らなくちゃいけないことがあってね。
こんなこと言うのもガラじゃないけど……いつも意地悪しててごめんね」
「……。
前も、そんなこと言ってましたねぇ」
恐らくはまだ蘇芳にとっては冒頭であろう言葉の端を耳に。因の深い桃紅の瞳は、その心を表すように、ジリと焼け付く黒を滲ませた。
「
あの時はどうもぉ?
」
──とある休日に、因が蘇芳の元を訪れた時のこと。
その時、因は確かに油断をしていた。
しかしそれを棚に上げてもなお、因は自分にも相手にも憎しみにも近い苛立ちと怒りを隠せなかった。あの時、やり場のない入り交じりすぎた負感情の塊を言葉に置いて、逃げるように蘇芳の家を飛び出した。
今ならば強く思える。蘇芳は、油断の上に慢心した状態で、地面に頭を擦りつけられる相手では絶対にない。
前回は油断した。その代償は、吐き気を催すキスの感触。
「またヒドい目に遭わされるのは嫌ですしぃ……因はこれで失礼しますねぇ」
もう思い出してしまえば、到底買い物なんて気分ではない。
可愛らしさと笑顔は因にとっての鉄壁の砦。それを再構築しつつ、因は文字通り踵を返して蘇芳へと強く背を向けた。
「待って、今回は本当に謝りたいと思ってるから」
不意に蘇芳が、因の腕をとっさに強く引き寄せた。
「って、ちょっと! 触らないでくれますかぁ?」
既に笑顔の作りようもない因の言葉を聞かず、蘇芳は掴んだ相手の腕を自分の方へと強く引き寄せる。
バランスを崩し掛けた因を、横道の壁へと押し付けて逃げ場を奪った。
背中に受けた僅かな衝撃に、因は一度固く瞑っていた硬質な濃桃色の瞳を開く。押さえ込まれて体勢は安定しない。
「痛いんですけどぉ……可愛い因がケガしたらどーしてくれるんですかぁ?」
返答は無い。代わりに、因の細腰へと蘇芳の手が添えられ、ゆっくりと下へ滑らされる。
因が何のつもりかと口を開き掛ければ、蘇芳は柔らかく顔に流れる相手の前髪にそっと指を触れさせ、その瞳を覗き込んだ。
「君の薄紅の目に見つめられるとどうしても素直になれないんだ。
君の頬をこの目と同じくらい、喜びで染め上げたいと思っているのにね」
「(は……?)」
因の状況理解が追いつかない。その間にも、蘇芳がその想いの丈を紡ぎ始める。
「ふふ……なんだか今日は素直に話せるみたいだ。
その、可愛らしく巻かれた髪も」
触れても崩れないが、柔らかさも触れ心地にも完全に気を遣われている可愛らしい髪にそっと指を絡めさせ。
「この、白魚のような指も」
因の胸元にあった、透き通ってしなやかな指先にも、蘇芳がその存在を確認するように手を滑らせる。
「──全部好きだよ」
蘇芳が告げた。
その真紅の瞳は因への愛おしさで優しく細まり、まるで因のその造形を、神の下賜物と崇め讃えるかのように。
因の背筋を、一斉に悪寒が走った。ただひたすらに、言葉が出ない。
「(なんだこいつ、気持ち悪ぃ……)」
蘇芳との日常を因は知っている。知っているだけに、脳裏はこれに尽きた。これ以上は有り得なかった。
「(けど……
なんだ……? 言葉に裏を感じないっつーか、いつもの胡散臭さがねーっつーか……)」
普通の人にはその柔和な微笑に隠されてほぼ気付かないが、因はずっと昔から、その影にいつも隠れている蘇芳の違和感を知っていた。
──蘇芳は。因と同じ『嘘ではないが、自分に都合の良い外装をしている』本質と外壁であまりにも異なった、同類の存在なのではないかと。
「(でも、だとしたら……嘘に決まってんだろ、こいつのことだし。
珍しく演技に本気出してきたってとこか?)」
因が、相手の瞳をじっと見つめ始める。
「(俺はそんなのには引っ掛かんねーからな)」
……一度引っ掛かっているだけに、同じ轍は二度と踏むまいと固く心に決めて。
そして、悟られないよう気を付けて見つめ合うこと三秒──因のろっこん“True or False”が発動した。
効果は、対象の言っていることが本当か嘘かが分かる。嘘をついている対象の瞳はピンクに映るろっこん。
因は、蘇芳の瞳がピンク色になっているところまで想像し──
「ん、どうかしたのかな?」
蘇芳の瞳は、ピンクを通り越し透き通った赤の色。
……それは彼の元からの色であり、
判定:相手は嘘をついていない。
「……は?」
動揺のあまり、一トーン低い心の声がそのまま漏れる。
「(嘘じゃ……ない?
意味解んねーんだけど……)」
再三たる日頃の行いやら、やり取りがフラッシュバックで蘇る。
感動的なまでに、好かれる要素が何もない。
「(うげ、マジで気持ち悪……)」
俯き、思わずえずきたくなるのを必至で押さえる。
それを見た蘇芳が、慌てて因の身体を放し、その肩に手を触れた。
「因君、大丈夫? 顔色が良くないみたいだけど」
「……一体誰のせいで、具合が悪いと思ってんですかぁ?」
「大丈夫? 休んだ方がいいよ。
そうだ、近いからうちにおいで」
「(……は? 行くわけねーだろ?)」
因の思考に、吐き気から驚きが追加されて言葉も出ない。
「俺がちゃんと、お世話してあげる」
俯いている分、心配そうな声が上から降っているような気がした──そして、言葉と共に、不意に足と肩に抱え上げられ、持ち上がる因の身体。
「わ……! ちょ! やめ──!」
「暴れないで、大丈夫だから」
「(さ、触んじゃねぇ!!)」
甘さと可愛らしさで形成されている言葉と、心の本音が混ざりあった結果、混乱でまともに声が上げられない。
そして因は言葉の代わりに、蘇芳の腕の中で全力で暴れ始めた。
その結果、偶然にもその伸ばした左腕が、
「──!」
蘇芳の顔面を強打。
その隙に、因はその場から逃げるように、混乱した思考のまま走り出した。
蘇芳自体はどうでも良い。しかし彼は学生とモデル業も兼ねていたはずだ。お陰で逃げ出すことは出来たが、結果殴ってしまった事自体には悪意はなかったのが、余計に因を混乱させる。
「(もう……! 気持ち悪ぃし、どうしていいか分かんねーし……!
こんな一体、どうしろっつーんだよ……!)」
一方、蘇芳は姿を消した因の走って行った方向へ目を向けていた。
因の腕が当たってしまった頬を押さえつつも、心配するのはその相手。
「大丈夫かな。具合が、悪そうだったのに……」
途中まで因を追いかけていたが見失い、蘇芳は不安になりながら家に帰ってきた。
明日になったら謝らなくては。
蘇芳はただそれだけを思い、そして心配を重ねながら眠りについた──
◆ ◆ ◆
翌日。
「うん……これは、酷い夢だね」
それは、蘇芳にとって、人生最後の日に見たら『もはや二度と人間に生まれ変わりたくはない』と思うほどの惨劇の夢だった。
今日、無事に自分が目覚められた事が幸運にすら思える。
とても、酷い夢だった。
「……」
頬が、実際には殴られていないはずなのに、何故かとても痛い。
「……」
昨日、ほぼ丸一日の記憶が無い。
「……夢だね。
さて、学校に行かないと」
そうして、蘇芳は洗面台の鏡で己の顔を映して、その目を大きく見開いた。
腫れている、殴られても夢だと思った箇所が、夢では有り得ない程に腫れ上がっている。
それ自体は、今の蘇芳の仕事スケジュール内では影響が出なさそうなのが幸いしたが、
「……夢じゃ、ない……」
生理的に、蘇芳の顔色から血の気が引いた。
「……ッ!」
そして昨日のことが、今鮮明に映し出される。
蘇芳は、洗面台の縁に両手を置いたまま、縋るようにその場に座り込んだ。
自己嫌悪で、震えが、吐き気が止まらない──絶望しかない。どうしようもなく気色が悪い。
蘇芳はそれから数時間。ただただ無言で、春であってもまだ冷たい水を、ただ無言で浴び続けるという行動に出た。
理由は単純かつ明快。
『そうしないと発狂しそう』だったのである──
<< もどる
1
2
3
4
5
…
8
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
『ウラオモテヤマネコ』が現れた!
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
冬眠
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
10人
参加キャラクター数
10人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年09月09日
参加申し込みの期限
2017年09月16日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年09月16日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!