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愛と希望のネクロニカ エンデッド・ハッピーエンドレス
■世界がゾンビにつつまれたなら
広く世に存在するゾンビ映画たち。これらの中心にあるものは、人間性と変化への不安である。
人が人のままいられない不安。日常が日常のままでいてくれない不安。
しかしそれでも人らしさを持とうとしたり、徐々に獣に堕ちていったり。形は様々なれど、そこには人間性と変化がある。
さて、こちら未来の寝子島では、人間性を思いだしながらも、変化を無くした者たちの、今再びおこす変化の物語が始まろうとしていた。
「あれ……僕は……ここは……?」
浅葱 あやめ
。
「これは時計、だよね……」
佐藤 瀬莉
。
「綺麗な、香り……なのです……」
椿 美咲紀
。
「崩れた町。この景色を、俺は……」
八神 修
。
さっそく四人のゾンビたちの視点から、物語をひもとこう。
■無限劇場
変化をしないこと。
終わらないこと。
多くの人はこの二つを苦痛としている。刑罰だとする者もいる。
「だから僕は、『ここ』を作ったんだ」
重いレバーの音と共に、スポットライトの光が落ちる。
タキシード姿のあやめは、目元だけを覆う仮面をつけてゆっくりと頭を垂れた。
「ようこそお客様。『まつろわぬ劇場』へ」
拍手とささやかな喝采。
あやめは両手を挙げて拍手をおさめると、観客たちを見回した。
「この劇場に決まった筋書きはありません。配役表もございません。決めるのは皆様で、選ぶのも皆様なのです。さあ、始めましょう。今宵のお題は――」
あやめが始めたのは演劇の舞台だった。
それも筋書きのない演劇。役者の殆どは観客からランダムで選ばれ、登場人物の素性や能力、性格に至るまで全てを決めさせる。
時には制限を設け、ナイフで刺せば死んでしまうほど脆弱な人間を演じなければならず、極端な時など階級が上の存在には瞬きする間に殺されてしまうディストピアを設定した。
役者たちはみな、ハッピーエンドを迎えるために悪戦苦闘したり、生き残るために必死にあがいたり、時には別の役者を騙して利益を奪ったりした。
ある日、楽屋裏であやめのお手伝いをしていた幼い少女がこうたずねた。なぜこんな劇場を作ろうと思ったのですか?
「僕らは、何者にもなれないんだ」
あやめは悲しそうに、しかしどこか嬉しそうに言った。
「けど何かを演じることはできる。その世界に没入して、なりきることができるんだ。僕は悪いドラゴンにもなれるし、幼い魔女にもなれるし、西洋の騎士にだってなれる。彼らはみんな過去があって、未来があって、今を生きている。それを自分に重ねることで……僕らは何者にだってなれるんだ」
ゾンビの世界は無限に見えて有限だ。
明日も同じ自分であり、未来はずっと一つだけだ。
けれど何かを演じることができるなら、未来は無限に分岐する。
明日はどんな『誰か』になろうか。『誰か』はどんな風に考えるだろうか。
どんな試練が、自分を待ち構えているだろうか。
そんな風に、毎日を生きることができる。
スポットライトの光がおちる。
「新たなる旅人よ。僕の迷宮へようこそ」
■時を刻む町
瀬莉が時間というものを意識したのは、ゾンビになって何百年か経ってからのことだった。
毎日同じことばかりしていると日付の感覚を失うように、食事も睡眠も必要とせず漫然となんでもないことをし続けていれば時間の感覚を喪失するのだ。
この世界にいる多くのゾンビがそうだったし、逆にそうすることが時間を潰す唯一の方法だった。
だから、瀬莉が偶然に懐中時計のねじを巻いたとき、衝撃が走ったのだ。
一定のリズムで進む針。
秒という感覚。
それを一回しして進むもう一つの針。
それを何時間も、何日も、何ヶ月も眺めていたが、ねじをまき続ける限りその間隔が狂うことはなかった。
これはどうしてそんな風に動くのだろう。
経年劣化の果てに機械や文献というものが喪失したこの世界において、時計は一種のオーパーツである。
砕いた石は百年たっても元に戻らないように、分解した機械が元に戻る保証は無い。
しかし好奇心には勝てなかった。瀬莉は時計をばらばらにして、なかみをつぶさに観察した。
ギザギザの輪っかや棒。ひとつが回れば連動して動く無数のパーツが、魔法のように連なっている。
ひとつひとつを理解し、試行錯誤を繰り返し、瀬莉は時計の仕組みを解明していった。
太陽や水晶の振動や、一定のリズムで動くあらゆるものが時計になることを理解した。
そして。
「やろう。これ一つだけじゃ、もったいないよ」
大量に自作した時計のパーツを抱え、瀬莉は町へと繰り出した。
ゾンビ社会に建設業者というものはない。
というより業者という概念がない。
飲食睡眠を必要としないため、通貨の概念自体がほぼ喪失しているのだ。
しかし趣味や娯楽は残ったために、おのおのが価値を見いだしたものどうしで『価値のトレード』を行なうことがあった。
そんな中で異彩を発揮したのが、瀬莉の起こした『時間の販売』である。
そもそも時間感覚の無かったゾンビたちに時計を手渡し、一秒や一時間や、日の流れを認識させるという価値だ。
これは娯楽が生まれた寝子島で瞬く間に広まり、ゾンビたちが互いの間に共有するものとして『時間』を計るようになった。
たとえば待ち合わせ。
たとえば約束ごとの期限。
たとえばものを早める競争に。
人々は時間を、そして時計を愛した。
「それでは、稼働のスイッチをどうぞ」
「うん……!」
大きなスイッチを押し込む瀬莉。
すると巨大な柱時計がガチンと音をたてて動き始めた。
決して狂うことのない時計として。瀬莉が同志たちと共に作り上げた塔は、寝子島にそびえたったのだ。
寝子島のあちこちには時計がたち、人々の家には時計が並び、時を知らせる鐘の音が島を包む。
ある者は綺麗に整った時計を腕に巻き、ある者は首から金の鎖でさげ、ある者は家に柱彫刻のような時計を置く。
人々は時計という娯楽を、手に入れたのだ。
■無限の花園、無限の街
人類滅亡を絵にしたとき、崩壊した町に植物が生い茂るさまに行き着くことがある。
それは植物が人類よりもはるかにタフで、水と土と日の光さえあればいくらでも生い茂るからに他ならない。
地球ではじめに地上を支配していたのが植物だとされているキッカケもまた、同じ理由だ。
地球人類がすべてゾンビになってしまうまでそれなりの時間がかかったし、すべてゾンビになった後もしばらくの間はうーあーしてばかりだったので、多くのものが喪われた。建物は劣化し、花畑は荒れ果てた。
しかし植物は変わらず花を開き、虫や風を通じて種を運ばせ、土に植わってまた芽を出す。それを何百年も繰り返し、そしていくつもの種が生存した。
「けど、花が開くのはほんのちょっぴりの間だけなのですねぇ」
最近手に入れた花柄の懐中時計を手に、美咲紀は土からはえた紫色の花を観察していた。
白いヤマユリや小さい紫の花は放って置いても山ほど花をつける。美咲紀は、虫たちに目立つよう色鮮やかに育った花々を喜び、自宅の周りに沢山植えるようにしていた。
最初は花を上から引っこ抜いて庭に撒いていたのだが、それではすぐに色あせてしまう。だから土ごと持っていって移すことにした。
花には根というものがあって、どうやらそこから水を飲んでいるらしく乾いた土やコンクリートでは死んでしまうことも分かった。過剰に水を飲ませてもダメらしい。
なんと脆弱な存在か。
しかしその反面、抜いても抜いてもいつのまにか生まれ、そして増えている。
死なない代わりに増えもしないゾンビたちとは、ある意味逆の存在だった。
美咲紀は、彼ら『花』を沢山育てることにした。
生命とは不思議なもので、かけあわせを変えると別の花が生まれることがあった。
新しい花を作ることはそれだけで娯楽になったし、その花がどんな癖をしているか調べるのはおもしろかった。
ゾンビの時間は無限にあるので、無限の可能性をいくつも試して遊ぶことが出来たのだ。
やがて美咲紀の家の周りは色鮮やかになり、気候の違いが花の違いを生むことに気づいてからは寒い場所や暖かい場所、湿気の強い場所や乾いた場所を再現しては花の育成を楽しんだ。
そんな日々の中で……。
「あっ、シュー君。おかりなさい!」
隣に住む修を見かけた。
修が気づいたときには、街は緑に覆われていた。
ビルはツタと草でいっぱいだったし、橋は落ちて水草に包まれていた。
ゾンビたちは濡れようが焼けようが関係ないので橋を必要としなかったし、食料を求めないので一切移動をしない者すらいた。
壁が草でいっぱいでも特に困らないし、そういうものだと思って暮らしているゾンビが大半だったのだ。
そこに違和感を覚えた最初のゾンビが、修である。
「俺たちは確かに動く必要はない。けれど新しいものを見つける時、遠くへ行く必要がある。何かを作ったとき、それを望んだ形のまま維持する必要がある」
そう提唱して、まず何人かの暇そうなゾンビを説得した。
「俺たちには、道と橋が必要だ」
ゾンビとて人。でこぼこしていて歩きづらい場所よりも、平坦に整った場所を通りたがる。
道を作るということはそこを自然と人が通るということで、そこに文明が生まれることを意味している。
石を敷き詰めた道路は勝手がよかったが、劣化が早く安定はしづらい。
道路の管理を任せていたゾンビのひとりがコンクリートの作成方法を見いだし、これを使えば平らな道を無限に作れると言い出した。
自由に整形できる石。何百年も前に喪われたその技術を、修は早速道作りに活用した。
勿論それを使えば劇場や暗室を作ることもできるし、大きな塔を建設することもできる。
人々はこぞって建築遊びをはじめ自由気ままにへんてこな建物を作って住み始めた。
だが問題はある。コンクリートの寿命はきわめて早いのだ。ゾンビがぼーっとしている間に朽ちてしまう。
定期的に手入れをする必要があるが、気が向いたときにしか行動を起こさないゾンビは手入れを怠ることが多かった。
「俺たちは社会を作るべきじゃあないか?」
分業。
あやめや瀬莉がやったような『価値観のトレード』を広く極端にしたものである。
もちろんゾンビによって趣味も好みも異なるので、絶対的な基準を間に挟む必要がある。時計のように決して動かない数字で、尚且つ膨大に行き来しても影響が少ないものだ。
「鉱物を使えばいい。例えばこの金の塊に価値を設定して、お互いに合意したグラム数で交換するんだ」
修は金塊を一定の重量ずつにかため、円盤状に整形した。
最初の重量単位を1とし、その数字を円盤の片面に刻印する。
それを計った責任者として修の名前を入れることを求められたが、それではどこの『しゅーくん』かわからないので修の横顔を刻印することにした。
さて、たちかえって定期メンテのお話だ。
修は社会のサイクルに加わる条件として、この『1シュー』を一定時間ずつ提出することを定めた。天体を計算した一恒転。つまり一年に一回ずつだ。
集めた金は、ゾンビたちに分配される。しかし分配する条件として、建造物のメンテナンスやそれに関わる計算を任せた。
社会が持つ価値と、個人が持つ価値。その価値観をトレードしたのだ。これを税金と呼んだ。
町はみるみる形を整え、道路や建物が美しい形に整っていった。
「けれど、ずっとこればかりやっていると疲れるな」
睡眠も食事も必要ないとはいえ、同じ作業を繰り返すと心が疲れていく。ゾンビが娯楽を求めた理由の根源である。
修はそういうときにはふらりと自宅に帰るのだが……。
「シューくん、おかえりなさい!」
隣の家の美咲紀が、今日も花を咲かせている。
「今日は作った野菜をサラダとポトフにするのです。食べていきますか?」
美咲紀は立派な人だ。いつも新しいものを求め、綺麗なものを作る。
社会の維持という趣味をもつ修にとって、彼女は大事な癒やしだった。
花と料理。それを作る彼女がだ。
「シューくん、なにやってるのです?」
食事を終え、暖炉の明かりに照らされる部屋。
紙になにやら書き込んでいく修を見て、美咲紀が首を傾げた。
「道路を使うルールを定めているんだ。例えば、お互い片側だけを通れば逆方向の相手とぶつからないだろう?」
「ふむふむ……でもなんでそんなに頑張るのです? 金なんて集めて、楽しいのです?」
「金は重要じゃないんだ。重要なのは価値だよ」
修は1シューの金貨をテーブルに置いた。
「例えば美咲紀が作った料理に、俺が1シューの価値を見いだし、トレードを申し出たとする。けど土や草だった頃の物体にはこの価値を見いだしていない」
「ですね」
「けどこのトレードが成立した時、1シューの金貨と、1シュー分の料理という二つのものが世界に誕生したことになるんだ。そうして金貨は美咲紀が価値を見いだした別のもの……たとえば肥料なんかに変わる。すると肥料を作った人はまた新しく価値あるものを生み出したことになるだろう?」
「価値が増えるのですね!?」
「そういうことだ。そして、それが社会だ」
ピン、と金貨を弾いて、修は美咲紀へそれをよこした。
社会はまわり、ゾンビたちは互いに価値あるものを生み出していく。
永遠に、とまることなく、いつまでも。
このページにイラストを設定する
あとがき
担当マスター:
青空綿飴
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ごきげんよう。ゾンビ映画には死への忌避感や、グロテスクなものへの恐怖や生命の滑稽さなんてものが描かれますが、生命という枠を外して考えるよい機会でもあったりします。
このたびお送りした『愛と希望のネクロニカ』は、娯楽や価値や社会といった人間が生命とは別にもっているものをクローズアップしてお見せすることができたように思います。
そして同時に、キャラクターたちが本来感じている『価値観』をクローズアップすることもできたのではないでしょうか。
さて、名残惜しくはございますが。
再び終末が訪れるその日まで。
ごきげんよう。
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グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
SF・ファンタジー
定員
10人
参加キャラクター数
4人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2017年09月08日
参加申し込みの期限
2017年09月15日 11時00分
アクション投稿の期限
2017年09月15日 11時00分
参加キャラクター一覧
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