突然だが、世界はゾンビに支配された!
全人類がゾンビウィルスにおかされた今日!
あらゆるものが人類から喪われた。
たとえば食糧問題!
日光と水さえあれば充分な栄養をとれるゾンビたちは飢えることがなくなり、世界から飢餓が喪われた。
たとえば老化現象!
ウィルスによって常に細胞が更新されるため実質不老不死となり、世界から老いと死が喪われた。
たとえば睡眠不足!
脳が常に活性化状態のまま更新され続けるゾンビは眠る必要がなくなり、睡眠不足に苦しむサラリーマンはいなくなった。
言語の壁!
ウーアーいうことで全ての意志が伝わるダイレクトゾンビコミュニケーションシステム(略してダゾコン)によって言語の壁は取り払われ全世界の思想が共有された。
「あれ……? もしかして俺ら、生前よりずっと暮らしやすくなってね!?」
ゾンビとなって道路をうろついていた
屍 骸は、はっと大事なことに気がついた。
気がついてから……約百年の月日がいきなり流れた。
なぜならゾンビは永遠にぼーっとしてても死なないので、危機感が生まれなかったのだ。
しかし、あるゾンビが大事なことにもう一回気がついた。
「でもなんか……退屈だねぇ」
そう、食べることも眠ることも必要とせず、子孫も増えないので土地を奪い合うこともせず、意志疎通も完璧なので思想による戦争すらおきず、100年かけてぼーっとし続けた結果、最大の敵が現われたのだ。
「僕らには娯楽が足りない!」
「僕らには愛が足りない!」
「僕らには未来が足りない!」
「僕らには希望が足りない!」
ゾンビたちは立ち上がった。
これから下手すっと一億年くらい生きるであろう自分たちが、退屈せずに暮らすため。
子孫も残せず一人きりの孤独にやられてしまわぬため。
「俺たちの手で、娯楽を作ろう!」
TOPの絵柄から打って変わってスーパーポジティブなこちらのシナリオ、世界がゾンビを相手にワーワーやった後も後、世界中がゾンビだけになって逆に平和になってしまったIF世界のお話です。
皆さんは娯楽の先駆者となり、世界に娯楽をもたらしましょう。
最初はどこかの誰かがラジオ局を開いて、そのまた誰かが喫茶店を開き、ミュージシャンになり映画監督になり、この世が娯楽に満たされていくでしょう。
そう、ゾンビとはいえ、娯楽と孤独にだけは飢えるのです。
ざっくりと、この世界におけるゾンビを解説しておきましょう。
・見た目は人間といっしょ
・生前(?)の記憶はない
・腐らない、年老いない、死なない、怪我をしてもすぐ直る
・食事の必要が無い。睡眠の必要も無い。
・子孫を残せない。
・寂しさや悲しさ、退屈といった一般的な感情がある。
そのうえで、時間は永遠にあるので『宇宙船を作る』とか『メカペットを作る』突飛なことを言い出してもそのうち叶ってしまうでしょう。
さあ、あなたのてで『終末の先のハッピーエンドレス』を作りましょう。