ウサギ戦隊バニレンジャー！｜リアクション

ウサギ戦隊バニレンジャー！

■それは、少女がさらわれる前の話
　俺の名前は鴻上彰尋。
　どこにでもいる高校２年生だ。

　だけど、ひょんなことから金色のバニーガールに怪しい薬を飲まされて。バニーガールに変身する身体になっちゃった！
　声は高くなるわ、胸は大きくなるわ……そりゃあ、健全な男子ですもの、女性の身体を持つことに少しは喜んだけれど……。
　それ以上に、敵のセクハラ攻撃に辟易するわ、バニー変身がとけた後は男の姿×バニー姿というマニアにしか受けない格好になってしまうのだから、それはもうやってられない。
　しかも先日、家族に男バニ姿を見られてしまってから家族の視線が生暖かい。生き地獄とはこういうことか、と実感している毎日だ。
　こんな生活に終わりを告げるためにも、今日も俺は世界平和のためにバニー服でたゆんたゆんをぷるんぷるんに揺らし、胸の谷間に青いネクタイを挟み込み、ガーターベルトをチラつかせながら戦うんだ……！

「……ゴールド。何勝手にナレーションつけてるんですか」
　死んだ魚の目で彰尋はマイクを持った金色バニー、通称ゴールドに突っ込んだ。
「そんな気持ちかと思って、えへ」
「やめてください」

　今、彰尋はゴールドに直談判していた。
　なんとかしてバニレンジャーを卒業できないか、と。
　彰尋の知人である来島アカリも彰尋同様、変身したら女体化してしまうバニレンジャーの一人であったが、風の噂でバニレンジャーを卒業できたと聞いたわけで。
「そうねぇ、考えておくわ」
　バニーアジトでゴールドが気楽な声を出す。
「でも、男性が女体化バニーになるのはとってもレアで名誉なことなのよ？」
「全く名誉じゃありません。これで学校の奴らとか……ましてや気になる子とかにばれたら俺は社会的に死ぬ……」
　果てしなく遠い目をする彰尋に
「わかりました、前向きに検討させていただきます」
　事務的な声色のゴールドだった。

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