中学生の期末テストのあれやこれや＜点数編＞｜リアクション

中学生の期末テストのあれやこれや＜点数編＞

期末テストを終えて

　職員室には頽廃的な空気が漂っていた。教師達は虚脱した姿でイスに座っている。
　逸早く立ち上がった三年三組の担任、川村絵美子は窓から帰っていく生徒達の姿を眺めた。
「ようやく期末テストが終わりましたね」
「いつものことながら身体に堪えます。まあ、私は今年度で退職になりますが」
　三年四組の担任、志村旭が柔和な顔で言った。耳にした二年三組の担任、加藤秀雄が酒を呷る真似をした。
「行きますか」
「この年ですから、加藤先生の調子に付いていけるかどうか。武田先生、渋い顔をしていますが、どうかされましたか」
　話を振られた三年二組の担任、武田剛志が苦々しい顔で言った。
「今回のテストの平均なんですがね。数学が一番、悪いんですよ」
「そうでしたか。数学を受け持つ武田先生には頭の痛いことですねぇ」
　そこに豪快な笑い声が上がる。一年一組の担任、瀬田川香代であった。
「二番目に悪いのが家庭科だけどな！　ま、実技が大半だから筆記には面食らうよな！」
「呑気なことを言っている場合ではないざます。九教科の平均点は七十四点ざますが、零点も少なくないざます。もっと気を引き締めして生徒の指導に当たって欲しいざます」
　校長の杉村小春が捲し立てる。トレードマークの赤い眼鏡に付けた銀色のチェーンが鋭い光を放っていた。
「大きな問題が発生しなくて良かったです。無事に期末テストが終わったことを今は喜びましょうよ。そうですよね、校長先生」
　やんわりと声を掛けたのは三年一組の担任、住森葉子であった。その優しい語り口と自然な明るさが多くの生徒に受け入れられていた。
「今日は小言をいうつもりはないざます」
「それじゃあ、飲みに行きますか」
　秀雄は一同を見回した。絵美子は軽く手を上げた。
「私は久しぶりにカラオケに行きたいから飲みはパスで」
「カラオケ、いいわね」
　音楽教師でもある葉子が賛同した。
　他の者は飲み会で一致した。ただし校長はどこにも参加しないことを告げた。
「私は夜回りをするざます。テストが終わって気の緩んだ生徒をビシバシ取り締まるざます」
　校長らしい一言に一同は思い思いの表情で笑った。

　寝子島中学校の期末テストは和やかに終わりを迎えるのだった。

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あとがき

担当マスター：黒羽カラス
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寝子島中学　３学期期末テスト

【平均点】
国語：71.2点
数学：68.0点
英語：76.6点
理科：77.1点
社会：78.2点
家庭：69.9点
音楽：75.0点
美術：76.3点
体育：77.6点

合計：669.9点

※運営部より

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