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ヘルプー・ミー・エンジェル
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●思い出を探して
「いててて」
羽を怪我したマイケルを気遣い、
緋紅朱 赫乃
は尋ねる。
「大丈夫、です……か?」
マイケルが頷いたのを確認すると、赫乃はおそるおそる申し出ることにした。
「私にも、手伝える、こと、ありません、か……?」
すると、なんでも落っことした霊魂を探して欲しいなんて言うではないか。
「俺達は星ヶ丘住まいだし倉崎さんを探してみるよ」
快く了承した
八神 修
はマイケルから鈴を受け取ると、それを赫乃に託すのであった。
「あの、八神、さん」
「ん?」
自転車で思い当たる場所を回ることにした修に、赫乃はおずおずと希望を口にする。
「あの、お花を、持って行きたいんです。もし、よければ、私の寮に、寄って頂けますか……?」
「ああ、もちろんいいよ。じゃあ、自転車を取ってこよう」
大急ぎで自転車を取りに行き、修の運転で赫乃は後ろにちょこんと座る。赫乃は寮に到着すると、急いで部屋に走り、先日作ったばかりの白バラとカサブランカのアレンジを抱えた。
(献花の、秀作、だから、大丈夫、だよね)
自信満々とは行かないけれど、きっと喜んでもらえるはず。
外で待つ修は、マイケルから聞いた倉崎 青太郎の葬儀を執り行ったという教会へ電話をかける。
「あ、もしもし。……倉崎さんのお墓の位置を教えていただきたいのですが」
「え……? どちら様ですか?」
電話の向こうの事務の人は心当たりがないと言ったように伺ってくる。
「八神と申します。お墓参りをしたくて……」
「……すみませんが、プライバシーの問題もあるので電話では詳しい場所などはお教えしていないんです。でも、うちの教会は小さいので、来ていただければすぐわかると思いますよ」
ですから、どうぞお越しください。と遠まわしに許可してくれたことを内心ホッとして、修は礼を言って電話を切る。倉崎さんと奥さんの事も聞きたかったが、プライバシー保護の観点を大事にしている教会は話してくれないだろうと判断できたから詮索するのは止めにした。
「お待たせしました」
花束を抱えた赫乃を自転車の後ろに乗せ、まずは倉崎氏の家へ向かって走る。赫乃は鈴を鳴らすように揺らしながら倉崎を探すが、全くなる気配は、無い。大きな門のインターフォンを押すと、彼の身辺整理を手伝っていたヘルパーが顔を出した。
「あれ? どちら様でしょう……?」
「八神と申します。倉崎さんのお墓参りをしたくて……」
「お知り合いですか? ……寝たきりの倉崎さんと何処で知り合ったのかはわからないですが、お世話になったことがあったんですね」
快く迎え入れてくれたヘルパーに、話を伺おうと修は話を切り出す。
「あの、倉崎さんにはどこか思い出の場所は有りましたか?」
少し考え込んだ後、ヘルパーは申し訳なさそうに首を横に振った。
「わからないです……私がお世話をしていたころはあまりお話なさらなかったから」
そうですか、と気落ちした様子を見せながらも、修は立ち上がる。急がなければ。次は、教会だ。自転車を飛ばす。
教会に到着し、自転車から降りて教会の扉を開いたところで、鈴が、鳴った。
ちりちり、と優しく、連続した音を奏でる。
「いらっしゃる、んですね」
赫乃が問うと、鈴の音に合わせて小さな聖堂の椅子に腰かける小柄な老人が見えた。
『……? お嬢さんは……?』
品の良い微笑みを浮かべた老人に、修はそっと声をかけた。
「倉崎青太郎さん……ですよね?」
『なぜ私の名を……? 不思議な坊ちゃんだなぁ』
ふわふわと優しく微笑む老人に、修はどうしようかと逡巡した。老人は、自らの死を自覚しているのだろうか。どう問えばいいかわからず、口を噤む。そして、ひとつ尋ねることにした。
「どうしてこちらにいらしたんですか?」
『……ん……? そうさなあ、気付いたら、来ていたんだ』
目を細めてステンドグラスを見つめる青太郎は、どこか懐かしそうにそう言った。
「……あの」
『……ん?』
気持ちを傷つけないようにしたいと思ったが、修にはなんといえばいいのかわからなかった。困り果てた修に気付いたのか、倉崎は、笑う。
『はは、もしかして、気にしているのかい』
「え?」
『私が、死んでいるのか生きているのか。まあ、正直自分でもちょっと自信が無かったんだ。で、私は死んでいるのかね?』
からっと笑う倉崎になんだか拍子抜けしたが、修と赫乃は小さく頷く。
『はは、そうか。で、なんだ、お嬢さん方には私が見えるのだね』
動かないはずの身体がしゃきしゃき動いてふしぎだなぁと思っていたんだよ、と朗らかに笑う老人の方が、二人には不思議に見えたが、修は倉崎の横へゆっくりと腰かけて優しく言った。
「ゆっくり話をしませんか?」
『話かい?』
こうやってこの教会の聖堂にいるのは、きっとなにか理由があるはず。それを聞けば、正しく天へ昇れるだろう。そう考え、修は倉崎へ話を促した。倉崎を挟むようにして赫乃もちょこんと腰かける。
「この教会には、何か思い出があるんですか?」
修が尋ねると倉崎は嬉しそうに頷いた。
『ここはね、妻にプロポーズをした場所なんだ』
少しだけ照れくさそうに、倉崎は祭壇へと目を向ける。
『当時にしては珍しく、私達は恋愛結婚だったんだよ。まだそのころはお金もなくて、立派な指輪も式もプレゼントできなかった。でもね、どうしてもプロポーズをしたかったんだ』
真っ赤なバラを、一輪だけ。このバージンロードの上で跪いて差し出した。その時、喜びにあふれ、真っ白な頬が薔薇色に染まって一滴の涙をこぼした妻の顔が、忘れられないという。
『そして、妻を見送ったのもこの教会なんだ』
三年前、突然その妻も天国へ召されてしまったという。お互い年齢的な意味で覚悟はしていたが、妻に先立たれた哀しみはとても大きくて、自分までどんどん弱っていったと倉崎は話した。赫乃は不意に瞳を潤ませると、次から次へと涙を零す。
『あぁ、お嬢さん、すまないね……』
悲しくさせてしまったね、と倉崎は赫乃の背を擦る。
「ごめん、なさい。……大丈夫、だから……」
ふと脳裏によぎったのは『あの人』のこと。赫乃は修に差し出されたハンカチで涙を拭いて倉崎の話の先を促す。
『ここは、妻との思い出が詰まった教会だからね……来れば、会えるかなぁなんて、思っていたんだろうね、私は』
はぁ、と小さくため息をついた倉崎に、赫乃はそっとアレンジを差し出した。
『花束……?』
「倉崎さん、このお花、奥様の、ところに、持って、行きません、か?」
ぱぁっと倉崎の顔が明るくなる。
『いいのかい? そう……手ぶらで妻の元へ行くのも難だと思っていたんだよ、嬉しいねえ、……本当にいいのかい?』
「はい」
是非、奥様へと微笑む赫乃に、倉崎は何度も礼を言う。
「もしかして、奥様が迎えにいらっしゃるんじゃないかな」
修がそう言った時、ちりり、ちりり、と鈴が鳴った。姿は見えぬものの、どこからか柔らかな声がする。
『……なた、あなた』
『……っ!』
倉崎は弾かれるように顔を上げた。
『初恵? 初恵なのかい!?』
呼ぶのは愛しい妻の名前。
『青太郎さん、いつまで待たせるの? だめよ、そんなところに居ちゃ』
優しく諌める声に、倉崎は涙を一滴零す。
『初恵っ……初恵……!』
こんなに愛しくて、こんなに会いたいのに。花束を抱えたままもどかしく虚空へと叫ぶ。赫乃は天使の名を呼んだ。
「マイケル、マイケル、マイケル……!」
お願い、二人を会わせて。その願いをマイケルは優しく受け止める。
白い翼を広げて舞い降りたマイケルは、真っ白なワンピースを着た年老いた女性と手を繋いでいた。
『初恵……!』
たまらず駆け出した青太郎は、もつれる足さえものともせず妻を抱きしめる。
『いやだわ、青太郎さんったら。天使さんもお二人も見てらっしゃるわよ』
ふふ、と擽ったそうに笑う倉崎夫人は、どこか少女のような笑顔で頬を薔薇色に染めている。
『お二人とも、ありがとうございます、よかった……見つかって』
マイケルはそんな二人を微笑ましげに見守り、赫乃と修に頭を下げた。
さあ、天へとマイケルが手を差し伸べた時、倉崎は恥ずかしそうにつぶやく。
『あの……式が、まだだったんだ。この教会で、式をしたかった』
『青太郎さん……』
マイケルはぽんと胸を叩く。
『そういうことなら!』
「あぁ」
修も頷くと、参列者の椅子へと腰かけた。赫乃はアレンジメントの中からミニバラを選び、小さな指輪を作って青太郎へと手渡した。
祭壇の前に青太郎と初恵は並ぶ。マイケルが問うた。
『新郎、倉崎青太郎さん。健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、『その命尽きても』真心を尽くすことを誓いますか?」
『誓います』
青太郎は凛とした声で宣言する。初恵の瞳が揺れた。
『新婦、飯野初恵さん。あなたは健やかなるときも、病めるときも、喜びのときも、悲しみのときも、富めるときも、貧しいときも、これを愛し、これを敬い、これを慰め、これを助け、天の国でも、真心を尽くすことを誓いますか?」
『はい、誓います』
嬉しそうな、涙に震える声が聖堂に響いた。青太郎は初恵の額に口づけると、赫乃が作ってくれた指輪をそっと初恵の指へ通す。
その時、あたたかな真っ白い光が二人をふわりと包んだ。赫乃は預かっていたアレンジメントをそっと倉崎へ手渡す。
「空の、向こうで、奥様と、末永く、お幸せに」
『ああ、ありがとう……もう、思い残すことは無い。私の傍にはずっと彼女がいてくれるのだから』
ね、と青太郎は初恵の手を優しく握った。
『お嬢さん、お兄さん、どうもありがとうね。私、今とても幸せだわ……』
皺の刻まれた顔が、綻ぶ。
『それでは、参りましょう』
天から差し込む光のはしごを上り、二人は天の国へと旅立つのであった。その背を見送り、修は呟く。
「大好きな人と再会出来たんだもんな。これからはずっと一緒だ」
「そう、ですね、……よかった」
二人が旅立った後の聖堂は、甘く優しい白バラの香りが満ち、幸福な気持ちを二人に伝えるかのようであった。
●天使たちに、ありがとう
こうして、全ての霊魂は皆の手に寄り正しく天へと導かれた。マイケルは改めて一同へと頭を下げる。
『本当に、本当にありがとうございました!』
赫乃が自宅から持ってきた薔薇の花で、マイケルの羽を癒すとマイケルは嬉しそうに笑う。
『わ、もうちっとも痛くないです! 何から何まで、ほんとにありがとう……!』
「よかった、です……今度は、もう、怪我をしない、と、いいです、ね」
『はい!』
マイケルが飛び立つために羽根を広げると、あたりに白い羽根が舞う。
「マイケルさん、よかったね」
万里は全てが上手く行ったことに安堵し、優しくマイケルへと微笑みかけた。
『すべて、皆さんのおかげです……! このことは忘れません。きっと、皆さんにも幸福が訪れますように!』
寝子島の、地上に暮らす同業者であるあなた方の幸福を! と笑むと、マイケルは高く高く、天へと舞い上がるのであった……。
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あとがき
担当マスター:
寿ゆかり
ファンレターはマスターページから!
みなさんのおかげで、全員無事に天国へ昇ることが出来ました。
みなさんのアクションありきで、お話が成立しています。
はっきり申し上げて、ガイドの時点では何も決まっていませんでした。
赤石さんのお母さんとのやり取りとか、萌黄ちゃんの行動とか、倉崎さんの奥さんとか。
すべて、みなさんの真心があったからできあがった最善のルートだったと思います。
みなさんのこころが少しでも温まっていたら、嬉しいなと思います。どうもありがとうございました。
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3人まで
シナリオジャンル
日常
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
8人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2016年07月15日
参加申し込みの期限
2016年07月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2016年07月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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