カルティック・レボリューション　武装カルタバトル！｜リアクション

カルティック・レボリューション　武装カルタバトル！

　次の瞬間、無数の龍すべてが、もだえ苦しみ始めた！
　血を噴き上げて墜落していく。
　スローモーションのように、ゆっくり竜が全身を崩れさせながら、次々に落ちていく。
　
　――カウンター？！
　
　唖然と様子を見守っていた刀は、とっさに前を見る。
　視線の先には五郎八。

　とっくに気づいていた。
　彼女も、円と同じ。
　溜めの必要な、強力なカルタ能力の発動。
　――万の竜を一瞬に屠る大量破壊能力。

　確かに此方の攻撃布陣は潰えた。
　だが、相手も無防備だ。
　
　――攻めるのは、今しかない！
　
　両足を踏ん張って、龍ごと突撃しようとする刀。
　が、何か本能的な恐怖が、彼を押しとどめる。
　
　刀の竜。それも血を流していた。
　両の目から。
　その眼球は存在していない。
　漆黒の眼窩から血の涙を流し、そして刀の龍も力尽き消失する。
　
（ただの……大量破壊ではない……！）

　五郎八の背後に立ち上る幻影。
　長い首に翼、そして黄金の鱗。間違いなくこれも竜。
　だが、刀や円のそれに比べ……その忌まわしさはどうだ！
　隆々たる体躯、巨大な牙……洋の東西を問わず、畏怖を一身に集めてきた、神の化身。
　黒々とした眼窩には、これも瞳がない。
　
（『画竜点睛を……欠く』）
　
　先ほどの大量破壊は、このいまだ目覚めざる巨竜の、その能力の一端……。
　
　ここで刀は、はっきり五郎八の手札を視認する。
『行きかけの駄賃』効果：ドロー加速。
『遠きにいくに必ず近きよりす』『急がば回れ』効果：相手を束縛しての行動遅延。
『一難去ってまた一難』『二度あることは三度ある』：コンボによる再利用。

　全て、時間稼ぎの技。

　最初から彼女が必要だったのは、膨大な時間！

　――機は、熟した。
　
　あとは、ほんの僅かでも、命の予兆があれば……。
　
　五郎八の手に、一枚のカルタ。
　本来なら、どんな解釈があろうと、ろくな能力を引き出せないはずの札。
　
　だが、あらゆるカードゲームに通暁する五郎八。
　なんという事もないその札が＜止めの一撃＞となることを、彼女は読み切っていた！
　
　
「小さき体に秘めし、大いなる魂……。
　今、龍の瞳に宿りて、蒼天へと還れ――」
　
　
　『一寸の虫にも、五分の魂』
　
　弾かれた札が妖しい光に溶けて、夜光虫のようにドラゴンの瞳に収まる。
　竜の全身が、昏い光を帯びる。耳を聾する鼓動の音が、天地を震わせる。
　
「あなた達に……『王』を見せてあげるわね……」

　激しい風に黒髪を乱れさせ、己の何倍もある巨竜に、五郎八は『勅令』を下す！
　
　――いでよ、私の相棒、翼竜王ドレイクザドレイク！