【冬季球技大会】ネココー式サバゲー大会（黒猫組サイド）｜リアクション

【冬季球技大会】ネココー式サバゲー大会（黒猫組サイド）

【黒猫達の出撃準備】

　寝子高。体育館。黒猫組陣地。
「みんな、準備はいいな？」
　黒猫組の総司令官、八神修がゴーグルの位置を確かめながら、スタートエリアに集まるチームメイトに言った。
「もちろん。いつでも大丈夫だべ」
　バシッと自らの胸を叩いて、鈴野海斗が自信ありげに答える。
「前衛の指揮はオラに任せるっちゃよ」
　海斗は小柄だが、実際には程良く引き締まった敏捷性の高い肉体を駆使した斥候と前衛指揮官役である。
「狙撃は俺に任しとき」
　気さくな関西弁でそう応じたのは須藤清一郎だ。
「みんなの背中は俺が守るで」
　特に女子に対して、いい男アピールを行う清一郎。
　その口ぶりだけを見ればただのお調子者にも思われがちな清一郎だが、試合前にメンバー全員に銃の試射とホップ調整を促すなど、きちんと仕事もしている。
「サバゲーは初めてだが、やるからには勝ちたいよな。とはいえ、みんなリラックスしていこうぜ」
　爽やかな口調で、龍目豪も仲間を鼓舞するように言った。
　探検部部長である豪の引き締まった肉体はスポーツマンオーラに満ちた爽やかな笑顔もあいまって破格の頼もしさを見せる。
「基本戦術は打ちあわせた通りだ。狙われたら無理に返す必要はねぇ。捌きながら仲間を信じろ」
　何故か銃が異様に似合う夜海霧楓の言葉も、豪のそれとはまた違った種類の頼もしさを感じさせ、仲間の士気を高めた。
　というのも、彼は過去にサバゲーではなく、実際の銃を扱ったことがあったのだが。
（……戦場の勘を取り戻すきっかけになれば、と思ったが。銃、軽すぎだろ……。逆に感覚狂うな）
　と思った以上に勝手の違う電動ガンの感覚に秘かに嘆息していたのはここだけの秘密だ。
「真央ちゃんは攪乱担当なのだ。ちょろちょろ動きまわって敵の連携を乱すのだ。豪ちゃんセンパイ、弾幕ヨロなのだ！」
　後木真央がビシッと敬礼すると、豪も「任せとけ！」と礼を返す。
「射撃部で鍛えた腕をお見せするのです！　やるからには勝ちたいのです！」
　ジャキッと銃を構え、そう宣言するのは椿美咲紀だった。いつになく闘争心に燃えているように見えるのは敵チームに負けたくない相手がいるからだろうか。
　黒猫組の構成メンバーは彼ら七名と、見るからにモブっぽい見た目をした三人の寝子高生――黒野一郎（仮）、黒野二郎（仮）、黒野三郎（仮）の計１０人だ。
　対する白猫組も、モブっぽい見た目の生徒四人を含めた計１０人の構成。
　形式的には１０ＶＳ１０だが、実質的には７対６と言っていいかもしれない。モブの活躍を許すほど、黒猫組は甘くない。だが、当然油断もしない。戦術や個々の選手の能力でこの程度の数の差などいくらでもひっくり返るからだ。
　そして、フィールドに試合開始の笛が響く。

「さあ、ゲーム開始だ」

　総指揮官役の修の声に応じて、武装した黒猫達がそれぞれの配置に向かってダッシュを開始した。

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