仲良くなりたい、その２｜リアクション

仲良くなりたい、その２

☆小日向つばめ

　２年６組の教室で、呉井陽太は先日の出来事を思い出していた。
　担任の小日向つばめ先生が、異界の月の王に求婚された事件。
　陽太は囚われた先生を救出するべく頑張ったのだ。
（小日向先生が無事に元の世界に戻ってこれたのはいいけど。それ以来、バタバタしちゃってなかなか話せてないなぁ）
　教壇に立つ先生は、いつも通り明るくマイペースだ。
　ホームルームも終わり、生徒たちが帰り始める。
「んー、今日は少し時間があるし」
　呟いた陽太は立ち上がった。
「あら、陽太君どうしたの？」
　近づいてきた陽太に気づき小日向先生が尋ねる。
「もし先生の手が空いてたら、前から先生が撮った写真を見させてもらってもいいですか？」
「写真？　海外旅行のかしら？」
「あ、そういえば先生は海外旅行も好きなんでしたっけ。じゃぁ、海外で見かけた面白い瞬間を撮ってたりするのかなぁ。見せてもらえたら、すっごく嬉しいでっす♪」
　陽太の言葉に、先生の顔が輝いた。
「待ってて、今持ってくるね」
　走らんばかりの勢いで小日向先生は教室を出て行った。
（先生って掴みどころがなくて、そうくるんだーって行動多いし。そーいう楽しい人が撮った写真って見てみたい）
そう思いながら待っていると。
「お待たせ～」
　書類袋を抱えて小日向先生が戻ってきた。
　教卓の上に写真を広げると、陽太とのやりとりを聞いて残っていた生徒たちも覗き込んだ。
「たくさんありますねえ」
「どれからいこうか？　これはね、ガンジスで撮った子供たち」
　期待通り、いやそれ以上だった。
　アジアの子供達にお年寄り。さまざまな先生の写真は、いずれも見るものを微笑ませる暖かさに満ちていた。