秋の空は変わりやすい。
30分ほど前には確かに晴れていたはずなのだが、今は灰色の雲が広がり、雨が降っている。
その中を急いで走る影がひとつ。
寝子高2年の手繋大志である。
空はゴロゴロと鳴っていて、今にも稲光が見えそうだ。
と大志が思ったのも束の間のこと。
バリバリと裂けるような音をともなって、雷が落ちた。
なぜかまっすぐ、大志を目がけて。
不思議と痛みは無かった。
ただ、今まで意識して思い返すことのなかった記憶が鮮明になる。
手を、繋いでいた。
彼女? まさか、彼女なんていた記憶はない。
今よりもっと幼い頃。大志の手を初めて繋いでくれたのは、姉だった。
手を繋いでは、幼い大志を公園やいろいろなところへ連れて行ってくれた。
途中で大志が泣き出しても、宥めて、面倒を見てくれた。
歳の離れた姉は、今は寝子島にはおらず、本土へ嫁いでしまっている。
だから普段は特に思い返すこともなかった。
「姉ちゃん、元気かな……」
少ししんみりとした気持ちになって、大志は空を見上げる。
秋の空は変わりやすい。
雨雲はどこへやら、空は青く晴れていた。
こちらは、忘れていた「初めての体験」を思い出すシナリオです。
◆概要
突然の夕立で、屋外にいる人の身体に、雷が落ちます。
これをきっかけにして、初めて何かをしたときのことを思い出します。
◆アクションについて
・雷が落ちたすぐ後から、「初めての体験」を書いてください。
(例)手を繋ぐ・テストで良い点を取る・恋人を下の名前で呼ぶなど。
・他のPCさんとの「初めての体験」を書かれる場合は、GAでの参加をお願いします。
・NPCや、今回のシナリオに参加していないPCさんとの「初めての体験」を思い出すことはできません。
・雷が落ちたことによる人体への影響はありません。
ご参加お待ちしております。