「うーん……」
その日の
神野 マキナは、大いに迷っておりました。スイカマンゴー味のアイスを食べながら。
「あの
サクッとしたクッキー生地は、やっぱり定番……いやいや、
パキッと軽やかな食感のクラッカーも捨てがたい……」
割りといつも、そんなことには悩みがちではありましたけれど。
甘味限定大食漢。端正なマスクも相まって、誰が呼んだか、人呼んで……お菓子の王子様!
そんなマキナですから、やっぱり今日も、大いに迷ってしまうわけなのです。
「『なめこの山』と『つちのこの里』……今日はどちらを食べるべきか……?」
と。なかなかに深遠な命題へ頭を巡らせながらに道を歩いていたマキナは、そこで妙なものを目にしました。
「……うん?」
ぺたん。ぺたん。
ぺたぺた、ぺったんぺったん。
アスファルトの道に、そこらじゅうの壁に……二色のインクで、何やらハンコのような、
スタンプのようなものがぺったん、ぺたんと押されているのです。周囲を埋め尽くすかのようにぺたぺたぺったんと、押されまくっているのです。
しかも、そのスタンプの模様ときたら、
「これは……『つちのこの里』の、
ロゴマーク? こっちは、『なめこの山』のロゴじゃないか」
それは今しがた迷いに迷っていた、脳内における両者のせめぎ合いを現実にしたかのような光景だったもので、マキナは思わず首を傾げました。
ぺたぺたと押されている二色のスタンプをたどって、道を進んで行きますと……。
「ああ、そこのお前さん! ちょいと手を貸しちゃあくれんかの、ワシひとりじゃあ、あのバカどもを止められんでな」
「え?」
マキナへ声をかけてきたのは、いささか薄汚れた格好に、ぼろぼろの白衣を羽織った
おじいさんです。
彼が手をかざして示した先は、とある公園の中。そこではさらにふたりのおじいさんたちが、何やら罵りあいながら、どうやらケンカの真っ最中でありまして。
「なあーにが、つちのこじゃ! あんなもんクッキーにチョコぶっかけただけじゃろが、
なめこの山の洗練された造形にゃ及びもせんわ!」
「
つちのこの里の高尚な味わいも理解できんアホたれが! 固めたチョコにクラッカーぶっ刺しただけのなめこが勝てるわけもなかろうが!」
「何じゃとエジソン、このジジイが!」
「やかましいぞアインシュタイン、ジジイめが!」
相対するふたりのおじいさんたちの手には、ごてごてと色んな部品がくっつきまくった、
奇妙な銃が。
互いにトリガーを引けば、どばばっ! と勢い良く噴出したインクがそこらじゅうに、
ぺたぺた、ぺたぺったん! あっという間に周囲は、なめこの山とつちのこの里、二色のロゴスタンプに埋め尽くされていきます。
「あー。ワシは、
寝子島少年科学団のコペルニクスちゅうてな。あのジジイどもは仲間じゃ、あんなのでものう……研究の合間につまむオヤツを買いに出てきたら、あやつらつまらんことでモメおって、おかげでこのザマじゃ。お前さん、手伝っちゃあくれんか? 道具はほれ、ここにあるでな」
ずっしりと手渡されたのは、おじいさんたちが手にしているような、奇妙な銃です。これでどうにか、騒ぎに決着をつけて欲しいということのようですけれど。
マキナは、眼前で展開する争いをひとつ眺めて、
「……どっちも、美味しいんだけどねぇ?」
ある種の真理を語りつつも、がしゃこんっと銃を構えました。
墨谷幽です、よろしくお願いいたします~。
ガイドへは、神野 マキナさんと、イラストにてお友だちの皆さま(夢宮 瑠奈さん、山野 無花果さん、鴇波 羽衣さん、岡野 丸美さん)にもご登場いただきました。ありがとうございました!
(なおこちらにご参加いただける場合は、上記のシーンによらず、ご自由にアクションをかけていただいて構いませんので!)
このシナリオの概要
今回は、墨谷シナリオにはたびたび登場するおじいさん三人組、『寝子島少年科学団』の作った奇妙な銃を使って、サバイバルゲームのようなものを楽しみましょう! と言ったシナリオになります。
(墨谷はサバゲーしたことないもので、あくまで『のようなもの』ですけれど)
国民的と言っても過言では無いお菓子、『なめこの山』と『つちのこの里』。時として争いにも発展しかねない『山派』と『里派』のしがらみが、とある公園にて現実のものとなり、おじいさんふたりが撃ち合いを演じています。双方ともに相当ヒートアップしておりまして、ちょっとやそっとじゃ止まりそうにありません。
皆さんはこのどちらかの派閥に加わり、長きに渡る対立の歴史に決着をつけるべく、撃ち合いに参加することになります。
ただし手渡される武器は、少年科学団のお手製。例によって神魂の影響を受けているらしく、使う人によって様々な効果を発揮する奇妙な銃です。
もちろん、ノリノリで飛び込んでいっても構いませんし、通りすがりに巻き込まれてしまっても構いません。
あるいは、不毛な争いを止めるべくどうにか調停に乗り出したり、第三勢力を興して更なる混沌を呼び込むのもOKです。
おじいさんたちは割りとマジですが、皆さんはともかく、楽しんでください!
アクションでできること
アクションではまず、使用する銃と、どういった立場で動くかを決めてください。
●1.使用する銃を決める
まず、ご参加が確定した時点で、本シナリオの<コメントページ>にて何かしらの発言をしていただき、サイコロを振ってください。
出た目の左側←が、『銃の種類』。出た目の右側→が、『銃の形状』になります。
以下の表と照らし合わせて、ご自分が使用する銃を確認してください。
<左←のサイコロ:銃の種類>
1.高圧塗料押印銃(スタンプガン):所属派閥に応じて、それぞれ『なめこの山』『つちのこの里』の
ロゴマークを当たった場所、部位にスタンプする。
この銃でスタンプした領域が広いほうが勝利。らしい?
(無所属の場合は好きな図形をスタンプすることができる)
2.低周波電気銃(ビリビリガン) :当たると電流ビリビリで痺れてしばらく行動不能になる。
その後、ちょっと健康になる。
3.流体物質噴射銃(スライムガン):当たった場所、部位を中心に、ヌルヌルのスライムまみれになる。
動きにくい。
4.服飾透過銃(スケールガン) :材質や色などを問わず、当たった部位の服が透ける。
恥ずかしい。
5.年齢退行銃(ワカガエルガン) :当たると1発につき1歳ずつ若返る。精神的にも退行してしまう。
幼児以下にはならない。
6.勝利者祝杯銃(ビールガン) :ねこ☆ビールの液弾を発射する。当たると酔っ払う。
酒癖は人それぞれ。戦場を離脱すると酔いは覚める。
<右→のサイコロ:銃の形状>
1.ハンドガン :取り回しの良い拳銃型。可もなく不可もなく。
2.二丁拳銃 :拳銃型を両手に二丁、連射力アップもリロードに難あり。
3.マシンガン :銃弾を高速で連射する機関銃型、弾切れに注意。
4.スナイパーライフル:一発必中の狙撃銃型。扱いは難しい。
5.バズーカ :着弾点を中心に爆風を起こし、広範囲へ効果を及ぼす。
6.ミサイルランチャー:複数の標的をロックオン、一斉に追尾弾を射出する。
例)サイコロの目が4-3なら、『当たった部位の服が透けるマシンガン』になります。
●2.立場を選択する
以下の【1】【2】【3】から1つを、やりたいアクションに合わせてお選びください。
【1】『なめこの山』派に所属
どちらかと言えば『山派』、という方はこちらの派閥へ。
アインシュタインさんと共に、打倒『里派』を目指して戦います。
【2】『つちのこの里』派に所属
どちらかと言えば『里派』、という方はこちらの派閥へ。
エジソンさんと共に、打倒『山派』を目指して戦います。
【3】その他
その他、どちらともいえない、どちらも好きすぎて選べない! とか、争いを止めたい! なんて方はこちらへどうぞ。
全く別のお菓子の派閥を新たに立ち上げるとか、その他にやりたいことがある方もこちらへ。可能な限り描写させていただきます。
アクションには、上記の要素に加えて、
・心情
(楽しそう!と自分から、巻き込まれてしまってイヤイヤに、争いはやめて!、など)
・運動能力
・銃の腕前やサバゲー的練度
といったあたりもお書きいただければ。ドジっこなのも個性ですよ?
なお、アインシュタインさんとエジソンさんは、『スタンプガン』を持っています。
ちなみに【1】と【2】の派閥の人数に大きな偏りが出る場合は、残ったコペルニクスさんがとっておきの武器か何かを持って少ないほうへ参戦することで、バランスを取ります。
『寝子島少年科学団』とは?
少年の折に、『将来は絶対に科学者になる!』と誓い合い、そんな夢を抱いたままフツーに歳を取ってしまった、三人のおじいさんたち。それぞれにアインシュタイン、コペルニクス、エジソンなどと愛称で呼び合うのは、その夢の名残です。
九夜山の中腹にあるほったて小屋を秘密基地と称し、日夜怪しげな実験や発明などを行っています。
最近は、小屋の周辺一帯に影響を及ぼした神魂のおかげで、彼らが適当な理論で作った大雑把かつ奇妙なメカが、いかにもそれっぽい効果を発揮するようになってしまいました。
そんなこととは露知らない科学団は、この歳にして科学者としての才能が開花した! と喜んでいるようです。
その他
●参加条件
特にありません。どなたでもご参加いただけます。
●舞台
寝子島小学校の近くにある、『風の原公園(かざのはらこうえん)』。
園内には樹木や様々な遊具などがあり、遮蔽物として利用することができます。
なお、事が終わればおじいさんたちが責任を持って後始末をします(させられます)ので、園内の汚れなどはひとまず気にしなくてOKです。
●NPC
○寝子島少年科学団
偏屈なリーダーアインシュタインさん、女好きなコペルニクスさん、シニカルなエジソンさんの、おじいさん三人組。
●備考や注意点など
※上記に明記されていないNPC、及び今回のシナリオには参加していないPCに関するアクションは基本的に採用できかねますので、申し訳ありませんが、あらかじめご了承くださいませ。
以上になりますー。あまり深くは考えず、楽しんでいただけましたら。
それでは、皆様のご参加をお待ちしております~!