(なんだか最近おもしろくあらへんなぁ)
とある昼下がり。ふくれっつらで街を歩くのは、切れ長の目と右目の下のほくろが印象的な少年だった。
「おいかけっこやかけっこ、おもろいのに誰も一緒にしてくれへんし、なんだかつまらんわぁ」
そう言いながら、足元を見る。父親に買ってもらったばかりの黒い靴で、今日はおもいっきり友達と遊ぼうと思っていた。しかし、皆用事があって断られてしまっていた。それも相まって余計に機嫌が悪いようだ。
「なんかむしゃくしゃしてきた。しゃあないから走ろうっと」
少年は、誰もいない道をとん、と勢いよく走り……
近くのゴミ箱を踏み台にしてブロック塀の上へと上った。
「……ん?」
末息子をおんぶして買い物をしていた
牛瀬 巧は、足音に気付いて振り返る。と……高さにして150cmほどのブロック塀の上を軽々と走る三男坊……名を『ひかる』と言った……の姿を目撃する。
「なっ?! ひかる! 何しとん?!」
「あー、お父ちゃん! あんなぁ、わい、おいかけっこしてくれる人探してるんよ」
猫のような笑みでひかるは とても楽しそうに言い、巧は苦笑する。
「落ちたら怪我するで。ほら、父ちゃんが手を貸すさかい、降りや?」
「だいじょーぶ! わい、飛び降りられるもん」
そう言ってひかるはぴょん、とブロック塀から降り、にっ、と笑った。
「なぁ、お父ちゃん。わいな、ものすっごくおいかけっこがしたいねん。でもお父ちゃんはつーちゃんおんぶしとるし、できへんねぇ。せやから、今から遊びに行ってくる」
ひかるはそういうとあっという間に走っていってしまった。巧が「お昼ご飯もう直ぐできるで」といったのにもかかわらず、である。
(行ってしもうた)
ふぅ、と溜息をつく巧。彼はなんとなくだが、ひかるを見て「無自覚のもれいび」ではないか、と考えてしまう。何故か、
普段以上に脚力があるように思えるのだ。
「ちょいと、様子みよか」
巧はやれやれ、と溜息をつくとぐずりだした末息子をあやしながらひとまず家に戻る事にした。
菊華です。
今回は牛瀬先生の三男、ひかる君とおいかけっこで遊んだりできるシナリオです。
難易度:★★(シナリオガイドと注意事項は読みましょう)
※難易度について、くわしくはマスターページをご覧ください。
概要
牛瀬 ひかるについて
牛瀬先生の息子の1人で、小学1年生です。
走る事と父親が大好きで、毎日元気に遊んでいます。好物は母親が作ってくれるオムライスだそうです。
普段から足が早く、最近お友達をおいかけっこに誘っても一緒に遊んでもらえないようです。その為、おいかけっこや鬼ごっこをしたがります。
舞台
日時は11月のとある日曜日の正午ごろ。
追いかけっこ、鬼ごっこは寝子島神社周辺や境内を中心に行います。
・ひかるとは友達だった
・ひかるに誘われた
・ひかるが遊んでいる様子を見、楽しそうだったので加わった
・ひかるの様子を見て挑戦を吹っかけたくなった
など色々な経緯が考えられるかと思います。どなたでもご自由にご参加くださいな。
登場NPC
吉田 熊吉
吉田 ちか
吉田先生とその娘さんです。旧市街で買い物をしています。
ちかはひかると年が近い事もあって普段からよく遊んでいるそうです。
牛瀬 巧
ひかるの父親です。
荷物を置き、末っ子を奥さんに預けてひかるをさがしにいきました。
それではよろしくお願いします。