寝子島を横断する299号線。シーサイドタウンの中程の歩道沿いに屋台が出ていた。日曜日の夕方で人通りは多い。
狐の目のように細い若者が手前の大型ワゴンに向けて両手を広げて見せる。中には各種の縫い包みが零れんばかりに盛られていた。
「さあ、見てらっしゃい、いらっしゃい、そこのシャイなお嬢さんも寄ってらっしゃいな!」
良く通る声で通行人に呼び掛けた。興味を覚えた人々が足を止め、次の口上に備える。縁日で見られる、どこか楽しげな表情に変わっていく。
「ここにある縫い包みは、ただの縫い包みじゃないよ。もちろん、タダではなくてお代を頂戴します」
若者が頭を下げると、年配の女性がクスリと笑う。
絶妙な間で若者は口上を続けた。
「この愛くるしい縫い包みがたったの五百円! おっと安いだけじゃないよ、抱いて寝るのに最適な大きさで、
なんと夢に出てくる夢のような商品だよ!」
「そこの犬さんで、コロの夢が見れる?」
小学生くらいの女の子が犬の縫い包みを指差した。若者は犬を手に持って事情を聞く。
なるほど、と天に向かって呟いた。
「思いが強ければ見られるかもしれないねぇ。だけど、それでもそっくりではないから、思い通りにはならないかもしれないんだ、ごめんよ」
うん、と女の子は頷いた。若者は犬を近づけて、ごめんね、と声の調子を変えて言った。
若者は集まった人々に目を向けた。
「さあ、今宵の夢のお供に、夢のような縫い包みを一つ、いかがですか!」
今回のシナリオは不思議な縫い包みに纏わる話になります。効果は一日に限定します。
購入した縫い包みを抱いて眠ることで、夢に縫い包みが現れます(夢を拒絶すれば見ないことも可能)。
売られている縫い包みの種類は豊富(PCの自由)ですが、抱いて眠れるサイズまでとします。
夢の中で出来ることは多いです。PCの強い想いと縫い包みによって様々に変化します(PCの姿は現在が基準)。
もちろん、舞台も自由。あまりに荒唐無稽な世界は想像が困難なので希望通りにはいかないかもしれません。
縫い包みをNPCや参加していない登録PCに見立てて登場させることは出来ないので、その点はご注意ください。
説明は以上になります。購入した縫い包みはあとでアイテム化しても良いですね。
もしかしたら、長い付き合いになるかもしれませんよ。
一時の夢をお楽しみください。