夏休みをとうに過ぎ、次の長い休みは冬休みだ。
晴れているのに何となく曇り空というはっきりしない空模様は勉学にも影響があるようだ。
突然出された小テストを解き終わった後、持て余している時間で答えの見直しなんてしない。
代わりに窓を見るわけにもいかないから、思いついた言葉を小テストの端に書き連ねる。
自分で書いて訳が分からない言葉に面白くなくなって、ついに寝てしまう。
「おい。…おい。起きろ!」
机が揺らされ、目を擦りながら起きると、違う生徒が怒られていた。
不機嫌そうな態度に業を煮やしたのか教師がチョークを投げた。
―――この時代にチョークを投げるとは時代錯誤な。
フツウであればそう思っただろう。
だが、教師が放ったチョークは目には追えぬ速度で生徒に迫る。
いくらチョークとはいえ、そのまま当たればひとたまりもないだろう。
肝を冷やしたが、それは杞憂に終わる。
生徒が机の中に手を入れたと思った瞬間、下敷きを取り出していた。
チョークの軌道を読み、下敷きだけで直撃を避けた。
恨めしそうに教師は後で職員室に来るように、と言っている。
フツウ、とは何だっただろうかと思う。
チャイムがなり、ホームルームもなしに帰宅し始める生徒たち。
そこでも、驚くべきことが起きる。
じゃ、と短く言ったのは陸上部だったと思うが、その姿はすでにない。
硝子が割れた音がしたと思えば映画のように地面で受け身を取り、何事もなかったかのように歩き始める。
…フツウ、とは何だっただろうか。
帰らないの?と誘われた帰り道では猫の喧嘩で鎌鼬が飛び、犬はコンクリートを掘っている。
車は器用に車体を斜めにして二輪で走り、自動販売機は桁が3つ多い。
無事に到着した家では満漢全席が振る舞われ、ゲームの棚を見ると最新作が並んでいる。
お風呂に入ろうとしたら露天風呂、寝ようとしたらふっかふかの羽毛布団。
さすがにおかしい、と寝る前に思い直す。
パジャマから制服に着替えて街に行く。
原因を探そう、と。
●●●舞台・背景●●●
うたた寝から覚めると全ての行動が何倍か増しに過剰演出された世界。
超人にも似た力が種族に関わらず発揮され過ぎています。
しかし、異変に気が付いている人はフツウで居る事も出来ます。
ダイナミックに演出されたフツウ、楽しんでみませんか?
●●●注意●●●
ろっこんの強さや使い勝手は元のままです。
戦闘を行なった場合はフツウに警察にご厄介になります。
世界形成の原因は気紛れです。
また、この世界から脱出する方法は「寝る事」です。
●●●その他●●●
Q:ダイナミックって…あんまり想像つかないんだけど?
A:映画的なご都合主義で死亡する事がない感じだと思って頂ければと思います。
具体的には窓ガラスを割って5階から飛び降りてもかすり傷一つ追ってない感じです。
Q:武器とかは強化されているの?
A:武器自体の強化はされていませんが、武器の扱いは強化されています。
銃を扱えば一流のガンマンやサムライもびっくりな腕前になっています。
Q:ところでシリアルって美味しいですよね。
A:牛乳たっぷりな感じでいいですよね。ダイナミックに大皿一杯でいかがですか?