「さあ、皆の衆席についたな？」
　そう言って、黒板の前で出席簿を広げるのは、教師道二十年の永田先生である。
　名前は 永田 孝文という。
「お前らもいい加減文法とか飽きてきただろう？　だから今日はちょっとお遊びをしてみるぞ」
　そう言って、黒板に三首の和歌を書いた永田先生。

　ぬばたまの 黒髪変り 白けても 痛き恋には 逢ふ時ありけり
　逢ひ見ずは 恋しきことも なからまし 音にぞ人を 聞くべかりける
　なにとなく さすがに惜しき 命かな あり経ば人や 思ひ知るとて

「この三首を知っているものはいるかー？　いないなら全員で居ないですって答えてくれー」
　そう言って、三首の歌を指し示す永田先生。
　ざわつく教室。いや、先生それは無理でしょう。
「……」
　その中でスっと手を挙げた生徒がいた。
　八重崎 五郎八である。
「それぞれ、万葉集、古今和歌集、新古今和歌集の歌で、恋を詠んだ和歌です」
「ほうほう、そのとおりだ。歌意や作者は分かるか？」
「えぇ、分かりますが……？」
　一体、この三首に何があるというのだろう？
　教室にいて講義を聞いている誰もがそう思った瞬間だった。
「今からこの恋の歌を現代風に訳してもらう」
「「「「えっ！」」」」
「あと、ただ現代語訳に訳すのではなくてなぁ……。そうだな、教科書に書いてあるように訳すんじゃなくて、今風にこの歌をリメイクするんだよ。つまり若者語訳ってやつだな」
　と言って、例を書いていく先生。
「タイムリミットはこの時間中だ。さぁ、好きな歌を一首と言わず、三首でも選びたまえ。プリントの字数？　それは知らん。各自工夫してくれ。先生、生徒に和歌にもっと親しんで欲しいと思ってな。頑張って考えてきたんだぞー」
　そう言ってにやにやしながらプリントを配っていく永田先生。
「おっと、早くしないと時間がないぞ。ルールはプリントに書いてあるからなー」
　五郎八たちはそう言われて、一斉にプリントに取り掛かったのであった。

　

担当ゲームマスター

じんの

マスターコメント

サンプルアクション（1）

プレイヤーの目的・意図

恋と突然言われて慌てながらもなんとか完成させる我が子を見たい（一人用サンプル）

キャラクターの目的・理由

うぅぅぅぅ！　いきなり恋の歌って言われてもわかんないよぅ。でもこれやんなきゃダメなんだよねぇ？

キャラクターの行動・手段

せ、先生……。
と、とりあえず先生をもう一回呼び止めて正気かどうか確認してみようかなぁ。
「先生、正気なんですかぁ！？　恋とかっていきなり言われてもわかりませんよぉ！？」
そ、想像とかは、恥ずかしい（ボムッと赤くなります）
え、ぇっと。
【い】を選んでみようかな
（あれやこれやと葛藤しますが、最終的には【い】になります）
えーっと。うわぁぁぁん。なんかこれってふわふわしていい感じかも！
えっと
僕はね、おじいちゃんやおばあちゃんになったとしても、いろんな恋があると思うんだぁ。楽しい恋もたくさんあるんだろうけれど、やっぱり悲しかったり苦しかったりもするんだよねぇ。これってやっぱり歳は関係ないんじゃないかと思うよ！
と訳します。
え？５，７，５、７，７？
えっとぉ
歳なんて　関係ないよ　恋愛は　悲しくもあり　苦しくもある
なーんてね！

え！？　これ発表するの
ちょ、ま、え　やぁぁぁぁぁぁぁぁぁ！
（恥ずかしさのあまり転げまわります）

サンプルアクション（2）

プレイヤーの目的・意図

と、とりあえず意中のあの人とラブラブな短歌を詠みたい！という我が子を見たい（相手〇× △◆君）（二人

キャラクターの目的・理由

え？　一緒の授業をとったんだけどラッキー！　ねぇねぇせっかくだから想いを確かめ合おうよ！　やるのー！

キャラクターの行動・手段

GA【二人で短歌を作り隊】
プリントを見た瞬間、目がくわっと見開かれるよ
だってね！　あたしは今恋する乙女なの☆
もちろん、ダーリンである△◆君をまっ先にほしょ……捕まえに行くよ
で、本人はうううぅぅぅんって真面目に考えてるだろうから、まずはボディアタック！　どーん。
で、驚いたところに
「ねぇねぇ！　一緒に考えよ二人の名前を入れて考えよ！！！」
後で発表？
「えぇー？　いいじゃん。もっと校内で公認になちゃえば浮気しても大丈夫だしー」
え？浮気なんてしない？やだー愛してるー！！！
えっと、相談した結果【ろ】をチョイス！
△◆君は別のかもしれないし同じのかもだけど
あたしはこれでしょ！
訳はー　多分ね△◆君と合うことがなかったらこんなにドキドキすることがなかったと思うの、優しいとかカッコイイとかそんな噂に憧れるだけだったらこの気持ち味わえなかったと思うよ
だから、やっぱりあえて良かった大好きだよーーーー！
えっ？　何か間違えているって言うの？
やっ、あたし何も間違えてないもん（ぷいっ）
機嫌直してって？　んーパフェかお豆腐で許してあげる！
ね、先生！もそう思うでしょ？

サンプルアクション（3）

プレイヤーの目的・意図

せっかくなので先生と古典トークをさせたい。というか先生が何読んでいるか気になる。（その他

キャラクターの目的・理由

先生、課題早く終わったんでお話しませんか！！！　と先生に突撃する。したい！和服かっこいい！

キャラクターの行動・手段

えっとね、課題は【は】を選ぶよ
特に悩むことなくサクサク書いてしまう
恋もしないで死ぬなんて、やっぱりやだよね。一回くらい現実で恋くらいしてみたいよ。けど、やっぱり自分が生きていると恋が知られるのはなんとなく怖いけどね。
なんとなく　死ぬのは嫌だ　でも恋も　怖いよ僕は　どうしても
こんなもんでいいかな？

さ、先生、古典トークをしようしてくださいして！
え？五段活用じゃない？
これは一本取られたなぁ
「それで、先生最近なんの本を読んでいるんですか！」
あ、先生と話すときは「敬語」で
やっぱり目上の人だし敬語って大事だよね

へぇ、先生ティーンズとか読んでいるんだ。
最近のは発想が面白いって？
「先生はその本のどこが気に入ったの？」
「その懐中時計はなんですかー！」

で、あとで新聞に載せちゃっていいかとか
色々聞いてみるんだ。

あ、質問は以下の通りだよ！
・なぜ和服なのか……
・ーーーーー！
・～～～～～～？
・〇×◆△〇～？
（字がない部分は質問が書いてあると想像してください）