日が暮れるのが早くなってきた秋のはじまり、
神野 美野梨は寝子島駅の前に立っていた。
「どうしたのかな、随分と騒がしいわね」
彼女の目の前では、野良猫が大きな声をあげてケンカしている。
1匹2匹なら珍しくもないが、たくさん集まってきて、あちこちでバトルが始まっているようだ。
漁師からもらった魚や、人間から奪ったお財布やスマホを奪い合っていて、寝子島の玄関口とも言える寝子島駅では見たくない、実に醜い光景だ。
「なにか、おかしいわね」
ミステリ研究会にも所属している彼女は、記憶を辿った。
たしかこの界隈はオスの野良猫
ボン太が仕切っていて、野良猫たちが派手に勝手なことをするはずはない。
しかも、
人間から何か奪うようなイタズラは、この春からほとんどなくなったという。
彼女はろっこん<猫とのかたらい>を利用して、喧噪から離れて様子を見ている一匹の黒猫に声をかけた。
『みんな、どうしたの? ずいぶん荒れてるわね』
『寝子島じゅうの荒くれどもが集まってるのさ。仕切る奴がいなきゃ、こんなもんよ』
『仕切る奴がいない……? ボン太、どこか行っちゃったの?』
『ボン太ならいるさ』
黒猫は冷たく笑うと、首をくいっとやって七福猫の石像に目をやった。
石像の上には、ぽかーんと宙を見つめる太った猫、ボン太の姿があった。
「ぶにゃ~ご……」
子分や仲間のトラブルに見向きもしないボン太の様子に、美野梨は首をかしげた。
『あそこで、何してるのかしら?』
『お嬢ちゃん。恋したこと、あるかい?』
『え、恋……?』
突然の質問に戸惑う美野梨をよそに、黒猫は首を少しかいてから彼女に教えてやった。
『恋、しちゃったのさ』
マスターの梅村です。
ガイドには、神野 美野梨さんに登場して頂きました。
ありがとうございます!
ボス猫のボン太は、「モモ」という白猫に恋をしているようです。
モモは花が好きな、おしとやかな猫です。
しかし思いを伝えることもできず、ご飯ものどを通らない状態のようです。まだ太ってますが。
恋の成就、恋を忘れさせるなど、なんらかの方法でボン太を元気づけるのがよさそうです。
ボン太が元気になるまで、野良猫たちのケンカの仲裁、イタズラの対処も必要でしょう。
たとえ猫と会話ができたとしても、ただ言葉で何か言うだけではあまり意味はありません。
「行動」で示すことが大切になるでしょう。
シナリオの舞台になるのは、漁港、寝子島駅、参道商店街、それから杜の湯になります。
その他、必要に応じて変化する可能性があります。
ちなみに、モモは参道商店街のどこかにいるようです。
皆さんのご参加お待ちしております!