まだ午後二時を回ったところだというのに、あたりは真っ暗だった。
風の音は凄まじく、猫鳴館は建物全体が、ガタピシと揺れてきしんでいるかのようだ。
「まーったく。たかがこれぐらいで、避難とか大げさなのよ」
その猫鳴館の廊下を、五代 春香はぶつぶつとぼやきながら、歩いている。手には板切れやトンカチ、釘の入った袋などを抱えていた。
彼女は、寝子島高校の二年生で、この寮の住人の一人だ。
外の風は、台風のせいだった。
そう、またやって来たのだ。
しかも、今度のは神魂の影響か、寝子島では雹が降るとか吹雪になるなどという、とんでもない予報が出ている。
どちらにしろ、まだ雨も雹も雪も降っていないが、ニュースでは今夜から明日の朝にかけてがピークで、雨もしくは雹、もしくは雪と、風は更に強まるだろうと報じられていた。
それを受け、猫鳴館では避難勧告が出された。
警報が出ているため、学校はそもそもが休みである。が、それでなくてもボロい猫鳴館は、台風の雨風に耐えられない危険もある。そこで自治会が避難を決定。寮生は一時退去となったのだった。
その決定を受けて、寝子島町内に自宅がある者は帰宅し、そうでない者たちは桜花寮、星ヶ丘寮へと一時的に移っている。
だが、その決定を受け入れず、いまだに寮に残っている生徒もわずかながらいた。
春香も、そんな生徒たちの一人なのだ。
彼女は、立ち止まると壁の見るからに壊れそうな一ヶ所に、手にしていた板切れを当てると、釘を打ち込み、補強し始めた。
「台風ぐらい、ここできっちり耐え忍んでみせるわよ。築六十年の建物の底力、舐めんじゃないわよ!」
などと、呟きながら。
だが、外では更に風が強くなり始め、それと共に雨が叩きつけるように降り出したのだった。
こんにちわ。マスターの織人文です。
今回は、嵐の中の猫鳴館で一夜を過ごすというシナリオです。
【参加について】
・どなたでも参加いただけます。
・猫鳴館の住人でなくても、問題ありません。
【アクションについて】
・猫鳴館の住人でない場合→なぜ、猫鳴館にいるのか、事情など明記して下さい。
・寮生の場合→残った理由を書いていただけると、助かります。
・嵐の一夜を、どうやって過ごすか、遊ぶ、眠る、探検するなどご自由にどうぞ。
それでは、皆様の参加を心よりお待ちしています。