「ない、ない、ない! 何にもない!!」
それは、寝子島高校の、とある昼休みのことだった。
昼休みと言えば、美味しい学食、あるいはお弁当と過ごす至福のひととき。
けれどその日は、阿鼻叫喚の地獄の1時間となった。
「ごめんねぇ。おばちゃん、食材の発注するの忘れちゃって。今日は何にもないのよ」
「ええーーっ!!」
「でもみんな若いから、お昼ぐらい食べなくても平気よねぇ」
「おばちゃん、私たち育ち盛りなんだよ……。いっぱい食べないとだめなんだよ……」
がっくり肩を落とす
野々 ののこ。
さらりと犯罪級の大ポカを告白する食堂のおばちゃんに、他の生徒たちも、開いたくちが塞がらなかった。
「まいったなぁ。じゃあ、今日は購買のパンにするか」
「あー、そうするか。たまにはパンってのもいいよな」
その時、ドタバタと購買部に行った生徒が戻ってきた。
「た、大変だ!
購買のパンがもう売り切れてる!!」
「な、なんだってぇ!?」
購買の食べ物は、この異常事態を素早く察知した生徒によって、完売に追い込まれていた。
「……あ、コンビニは? 近くのコンビニなら昼休み内に行けるだろ?」
「いや、無理だ。今朝、通りかかったら
改装工事やってた……」
「まじかよ。どーすんだよぉ。腹へったよぉ」
このままでは、午後の授業に耐えられそうにない。
中には、そのあと部活を控えている者だっているのだ。
絶望にうちひしがれる生徒たちの横を、購買のパンやお弁当を持った生徒が通りすぎて行った。
楽しそうに笑う彼らを、生徒たちは獣のような目で見つめた。
「かくなる上は……!」
「ああ。
奴等に、飯を食う厳しさを教えてやろうぜ……!」
生徒たちが、はらぺこの修羅となるまで、そう時間はかからなかった。
ゲームマスターの梅村象山です。
今回は、コメディ&バトルなシナリオになります。どうぞよろしくお願いします。
このシナリオは、ある日の昼休み、その1時間のお話になります。
皆さんの目的はただひとつ、はらぺこをどうにかすることです。
自分のお弁当を食べるもよし。
お弁当をぶんどるもよし。
その辺の草花を食むもよし。
心頭滅却して空腹を忘れるもよし。
お昼休みの過ごし方は、皆さんの自由です。
ただし、ガイドにもあるように、学校のまわりのお店では食べ物は手に入りません。
また、1時間しかないので遠くに行くと午後の授業に間に合わなくなります。
それはちょっと学生としていかがなものかと思うので、
学生の本分を忘れず、このはらぺこウォーズを生き残ってもらえればと思います。