大きく一つ溜息をついて、
白沢 絢子は呟いた。
「困ったわ。……どうしたらいいのかしら」
彼女の目の前には、たくさんの栗が詰まった段ボール箱が置かれている。
段ボール箱は、今さっき、宅配便で届いたばかりのものだった。差出人は、今は関西の方に住んでいる学生時代の友人で、中に入っていた手紙によると、自宅の裏山の栗が豊作でたくさんあるので、おすそわけだそうだ。
だが、いくらなんでもこの分量は多すぎる。
絢子はしばし、頬に手を当てて考え込んでいたが、ふいに小さく手を打った。
「そうだわ。希望者を募って、料理やお菓子を作ってもらえばいいわ。……それなら、このたくさんの栗も、無駄にはならないわね」
呟いて、彼女は楽しげに笑う。
その翌日。
寝子高の食堂や校舎の掲示板に、募集を呼びかけるポスターが貼られた。
そこには、こんな文面が書かれている。
『栗三昧の会、開催。
栗を使った料理やお菓子を作って、一緒に味わいませんか?
栗の料理・お菓子を作りたい方なら、誰でも参加可能です。
開催日時:来週日曜、朝10時より
場所:寝子高家庭科教室
参加費:無料
持参するもの:エプロン。
参加申し込みは、白沢 絢子まで』
最後の一枚を貼り終え、絢子は呟く。
「たくさん集まってくれると、いいわね」
そして、彼女はポスターを見やって微笑んだ。
こんにちわ。マスターの織人文です。
秋といえば、なんだろう……と思い、栗を存分に味わうシナリオを考えてみました。
開催日:来週の日曜、朝10時より
場所:寝子高家庭科教室
持参するもの:エプロン。
なお、絢子が用意する栗は、生ですので、その点、ご注意下さい。
また、食材などは家庭科教室にひととおりそろっていますが、特殊な食材や調味料は、ご持参下さい。
参加に制限はありません。
寝子高の生徒はもちろん、小中学生でも料理ができれば参加可能です。
また、大学生や一般市民の方でもOKです。
なお、栗の処理など、手間がかかることが予想されますので、何人かで手分けして料理する形の、グループ参加も歓迎です。
出来上がったものは、最後にみんなで試食する予定ですが、多く作って持ち帰る、家族・友人などにあげるのもありです。
それでは、みなさまの参加を心よりお待ちしています。