実に、長い歴史のある寝子島高校。相応に年季が入りつつもあたたかみを感じさせる校舎は、これまで多くの寝子高生たちを見守り、育み、そしてその巣立ちの時を見送ってきました。
今や寝子島中で、あるいは日本中で、もしかしたら世界中で、様々な方面で活躍する寝子島出身者、寝子島高校のOBたち。彼らは、自分たちを育ててくれた母校に大変に感謝していて、その多大なる恩をいつか返す時が来ることを、日々心待ちにしていたのです。
折りしも今年は、創立60周年を迎えた寝子島高校。そんな卒業生たちの積もり積もった感謝の念がようやくにして形を成し、今。
主に、
図書室をチョクゲキしておりました。
「ど、ど、どうしよう……」
図書委員長を務める
日野 満は、テーブルの上に平積みになった
本、本、本の山! を前に、おろおろ。
「困ったっすね、これは……」
読書好きで図書委員の
成城 千里も、目の前にそびえる高い頂には、いささか遠い目をしています。
卒業生たちや、在校生の父兄や関係者などなど、諸々の方面から図書室へと寄贈される本たち。60年の節目に、どうせならまとめて届けて、びっくりさせてやろうぜ!
なんて、水面下でのやり取りがあったかどうかはさておき。
何の因果か、今日という日に集中して、届くのです。小説、児童書、辞典に図鑑に専門書、ありふれた文庫本からやたらに豪華な洋書の類に至るまで、大きさも装丁も、ジャンルもバラバラな無数の本たちが、次から次へと!
どたどたどた、がらららら。ばんっ!
「ひっ!?」
「はいはーい、追加分が届いたわよー!」
びくりとして飛び跳ねた満を押し退け、抱えた本の山をテーブルへどさっと積み上げた、図書委員会顧問の
久保田 美和先生。彼女は、今朝方から届き始めた本の運搬に大忙し。意外にパワフルです。
「って、全然整理進んでないじゃない! ほらほら、頑張って!」
「あの、いやでも久保田先生、あまりにも量が……あっ」
どたどたどたっと、先生は足早に行ってしまいました。まだまだ、運ぶべき本があるそうです。
彼ら、図書委員会の面々に任された役どころはつまり、これらの本を
規則に従って分類し、管理番号を割り振って、所定の場所に収めること……なのですが。
「ちょっと、多すぎるよね……」
満はため息とともにがっくりと肩を落とし、
「確かに、ちまちまやってたら、日が暮れるっすね……」
何か効率の良い方法は無いものかと、千里はうーんと首を捻ります。
すたすたすた、がらららら。ばんっ!
「ひっ!?」
「さあ、次が来たよ!」
びくりとして飛び跳ねた満を押し退け、抱えた本の山をテーブルへどさっと積み上げた、司書教諭の
早川 珪先生。彼はなんだか、いつになく浮き浮きとした様子で、
「まだまだ来るみたいだよ。いや、ありがたいね、こんなにもたくさんの本を寄贈してもらえるなんて」
「あの、いやでも早川先生、整理の手が追いつかなくて……あっ」
すたすたすたと、先生もまた足早に行ってしまいました。まだまだ、運ぶべき本があるそうです。うんざりするほどに。
「……ここは、役割分担っすね」
「えっ?」
「それに、図書委員以外からも手伝いを募りましょう。本好きな人は、案外多いっすから」
一見寡黙でクールな千里ですけれど。街の図書館でもアルバイトをしていたりするほどの本好きでありまして、この状況はちょっと、見過ごせないものがあるのでした。
と、言うわけで。
「皆で協力して、何とか乗り切るっすよ!」
という千里に続き、
「お、おーっ! って、あれ? おれが委員長……」
いまひとつ頼りない図書委員長もまた、首を捻りつつも腕を振り上げました。
墨谷幽です、よろしくお願いいたします~。
今回は、成城 千里さんにガイドへご登場いただきました。ありがとうございました!
このシナリオの概要
今回は主に、寝子島高校の図書委員会の活動にスポットを当てた日常シナリオになります。
ガイドでは少々慌ただしい状況ですが、図書室では大量に寄贈された本の整理作業が行われる傍ら、本の貸し出し・返却など通常通りの業務も行われています。
図書委員の皆さんは、受付カウンターにて生徒に本の貸し借りの応対をしたり、収められている本や、今回寄贈された本の運搬、整理その他、委員としての作業を行うことになります。
メインは図書委員さんですが、一般生徒の皆さんもご参加いただけます。
本を借りに来て委員の誰かに応対してもらったり、状況を見かねて手伝いを申し出てみたり。それぞれにきっかけを見つけて、図書委員さんと交流してみてください。
なお、寄贈された本は本当に多岐に渡っていて、探せば大抵のジャンルのものは見つかりそうです。
中にはおよそ学校の図書室には置いていないような、妙なものも混ざっているかも。
アクションでできること
以下の【1】~【3】からご自分のしたいことに近いものをお選びいただき、アクションに記述してください。
図書委員、一般生徒でかけられるアクションが異なりますので、ご注意をば。
【1】寄贈された大量の本を何とかする
作業を大別すると、主に以下の三つになります。お好きなものを担当してみてください。
○運搬
特別教室棟の職員玄関前に、ダンボール詰めで置かれています。
取り出して小分けに運ぶなり、ダンボールごと持っていくなりで、3階の図書室まで運んで下さい。
○管理
届けられた本の背の部分に、寝子高校章マークと管理番号を記したラベルシールを貼ります。
ラベルはパソコンで必要事項を入力し、プリンターで印刷します。
また、見返し部(表紙と中身の間)に、貸し出し管理カードを収める小袋を取り付けます。
※この作業のみ、図書委員以外の方は担当できません。
○整理
準備が整った本を、本棚の所定の場所へと収めていきます。
※届いた本は大量ですが、収めるべき空きスペース等の問題は別途解決済みとし、今回は考慮しません。
【2】通常通り、図書委員の仕事を行う
図書委員として、通常通りに図書室の運営を行うのも、重要なお仕事。
カウンターでの利用者への応対、既存の本の整理作業など。少し騒がしい状況に、利用者へフォローを入れておくのも良いかも。
その他、図書委員の仕事として必要なことがありましたら、校内で出来ることに限り、何でも構いません。
【3】通常通りに図書室を利用しつつ、図書委員と交流する
一般生徒の方が、通常通りに図書室を利用する場合はこちら。
本を借りたり返却したり、室内で本を読んだり、勉強をしたりしつつ、図書委員の方に応対してもらったり話しかけたりと、何かしら交流をしてみてください。
アクションには、
・本は好き? 嫌い?
(本好きで良く図書室を利用する、読書嫌いだが手伝いはする、どちらでもないが知り合いがいたから、など)
・どんなことを、どんな風にする?
(気合を入れて運搬作業を、平常通りにカウンターで受付、本借りつつ何してるの?と聞いてみる、など)
といったあたりをお書きいただけましたら。
その他
●参加条件
今回は、寝子島高校の生徒さんが主な対象となります。
もし妥当な理由があれば、その他の方もご参加いただいて構いませんが、校内に入るには、それなりの必然性が必要になります。
●舞台
主に、寝子島高校の図書室、またはその周辺が舞台となります。
●NPC
○日野 満
図書委員長。物腰穏やかな典型的文系男子。ビビリ。
主に、寄贈された本の管理作業を担当しています。
今回が初登場ですが、絡みたい場合は、顔見知りとしてアクションをかけていただいても構いません。
○久保田 美和
図書委員会の顧問。寄贈された本の運搬に借り出されています。
張り切って図書委員たちのお手伝いをしてくれていますが、ついついお喋りに熱が入ってしまいがち。
○早川 珪
図書室を取り仕切る、司書教諭を務める先生。
全体を見ながら、適度に指示をしたり、手が足りないところの手伝いに回ったりしています。
●備考や注意点など
※上記に明記されていないNPC、及び今回のシナリオには参加していないPCに関するアクションは基本的に採用できかねますので、申し訳ありませんが、あらかじめご了承くださいませ。
以上になります。
それでは、ご参加をお待ちしております~!