夏もそろそろ終わりに近づいた、ある日のこと。
ふと気が付くと深民 実々は、切手になっていた。
「Σ えええええええっ!? みっ、みみが切手の中にいるぅ!?」
切手の四角いフレームの中をせわしなく見回し、愕然とする実々。さっきまで自分は机に向かって、残暑見舞いを書いていたはずだったのに……。
「ハガキを書き終えて……えっとそうそう、切手を貼ろうとしたんだよね?」
ぺろりと舐めてハガキに貼ったとたん、
うっかりその切手に、魂が吸い込まれてしまったらしい。
このうっかりさんめ。いやいや、きっとこれも例によって、神魂の影響だろう。
「しかも、額面が33……33円って!」
自分の右上にプリントされた数字を見て、ガックリとその場に膝を付き、
「何で? みみだから33? こんな切手じゃ、
郵便屋さんだって配達してくれないよー!」
『ぶぶぅー!』
おや、けれどその可愛らしいおしりを、ツンツンと鼻面で押す者がいるぞ?
ふぇ……と四つん這いのまま実々が振り返れば、そこに蚊よけの蚊遣り豚みたいにまん丸なお口を開けた、じつに奇妙な生き物がいた。
「えっ、郵便屋さんが届けてくれないなら……
自分で直接、このハガキを届けに行けばいいって?」
『(頷き)ぶっふぅー!』
つぶらな瞳で頼もしく、そう力説する相棒に、
「そっか。それもそうだね……あっ、意外と自由に動けるし!」
切手の中で試しに実々が足踏みすれば、すっくと直立したハガキが、机の上をひょいひょい軽やかに歩き出す。
今の自分は紙だ。机や窓から飛び降りたって、怪我はしないだろうし、ドアの隙間をすり抜けることだって、この身体なら造作も無い。
「何だかヘンなことになっちゃったけど……いっか!
無事に
このハガキを配達したら、元の姿に戻れるかもしれないしね!
よーし! それじゃーあの人の所まで、残暑見舞いを届けに、れっつごー!」
『ぶー!』
夏の終わり。
ささやかなメッセージを届けに、
小さな者たちの、勇敢な冒険が始まる。
こんにちは、マスターを担当させていただきます、鈴木二文字です。
こちらのシナリオガイドは、プロフィールコンプリート☆キャンペーンでご当選された、
深民 実々さんのイラストを題材に、作成させていただきました。
実々さん、おめでとうございます。無料でご参加が確定しているかと思いますので、ご確認下さいませ。
もちろんその他のPCさんもお申込みいただけますので、シナリオへのご参加、お待ちしております〜。
かんたん状況まとめ
残暑見舞いを書いていたら、あなたは残暑見舞い(切手+ハガキ)に変身してしまいました。
・切手部分が頭、ハガキが身体だとお考え下さい。こんな姿でも、話したり歩いたりは可能です。
・宛名の人に無事このハガキを届ければ、元の姿に戻れるようです。
(PL情報ではなく、PCも「何となくそんな気がする」として行動して構いません)
シナリオ目的
自分が書いた残暑見舞いのハガキを、宛名の人の住所まで届けてあげよう。
・受取人宅の郵便受けにハガキ(つまり自分)を投函すれば、
ミッション達成で元の姿に戻れます(郵便受けの外に身体が自動的に吸い出されます)。
暑中見舞いのハガキと切手(とその中のスタンプアニマル→※後述)は、郵便受けの中にそのまま残ります。
アクションの書き方
▼メインアクションについて:
・今のあなたは小さな紙に過ぎませんので、道中は様々な危険が予想されます。
風に飛ばされたり車に轢かれたり、猫に遊ばれたり犬に埋められたり、子供に拾われてラクガキされたり……
・よってアクションには、そんなアクシデントへの対処方法や、目的地までの移動手段をメインにお書き下さい。
・もれいびの場合、ろっこんも使用可能です。
ただし今のPCは切手、つまり2次元の存在になっておりますので、
その状態で発動条件を満たせない場合は、残念ですがご使用になれません。
▼その他の記載事項について:
・アクションには、以下の情報もお書き添え下さい。(1)〜(3)の記入は必須です。
(1)スタート地点……あなたが最初にいる場所。猫鳴館の自室、海外の旅先から〜等々。
(2)ゴール地点……受取人の住所。同じ町内の友人宅、他県の実家まで〜等々。
(3)受取人の名前……以下の区分に注意の上で、ご指定下さい。
・キャラクター登録の無いキャラ宛てであれば、自由に指定できます。
ハガキを受け取った際の相手の反応なども、ある程度アクションに書いて頂いてかまいません。
・キャラクター登録されているPCさん宛ての場合は、
恐縮ですが、リアクションにはその氏名を出すことができません。
両親、兄、舎弟などと言い換えて表記させていただきますので、ご了解下さい。
・例外として、本シナリオに参加されているPCさん同士で残暑見舞いを出し合う場合は、
リアクションにもそのお名前を出せます。
その場合、ハガキになった2人がいずれかの地点で「出会った」時点でミッション達成とし、
元の姿に戻ることができますので、【GA】やグループ参加機能などをご活用下さい。
・NPCは野々 ののこのみ、登場させることができます。ののこを受取人に指定した場合は、
ハガキを受け取った際の彼女の反応なども含めて、リアクションで描かれます。
・それ以外のNPC宛てにハガキを出すことも可能ですが、こちらはリアクションには登場いたしません。
(4)ハガキのメッセージ内容……暑中見舞いの挨拶、あればイラスト等の描写も。
(5)切手のデザイン……自由に設定可。切手の中の生物、スタンプアニマルについては以下もご参照下さい。
▼スタンプアニマルについて:
・切手の中には、吸い込まれた差出人PCさん以外にもう1匹、
切手内意匠生物=スタンプアニマルを登場させることができます。
・その種類や外見、鳴き声などをアクション内で設定することができます(言葉は喋れません)。
・スタンプアニマルの反応や行動も、アクションの中に書くことができます。
・スタンプアニマルは、人間の身体以下のサイズの動物であれば、
自由にチョイスして頂いてかまいません。蚊遣り豚など、架空の動物でもOKです。
・そのスタンプアニマルの「一般的な生態・習性」に応じて、ハガキにもその能力が付与されます。
例えば、アニマルに鳥を選べばハガキが空を飛び、魚ならハガキが海を泳げるようになります。
・ただし、ハガキの素材は所詮は紙ですので、破れたり燃えたり濡れたりはします。注意!
・スタンプアニマルは、登場させなくても全然かまいません。
その他
▼その他の注意:
・本シナリオにご参加されたPCさんは全員、
残暑見舞い(切手+ハガキ)になった状態でスタートするものとします。
「受取人のみ」など、その他の役回りでのご参加は、すみませんがご遠慮下さい〜。
▼NPC情報・野々 ののこ:
・暑中見舞いは送るのがフツウ、と聞いたののこは夏休みの始めに、大量の暑中見舞いを書きました。
・もしかしたらあなたも、そのうちの1通を受け取ったかもしれませんね!
(ののことこれまで面識がないPCさんでも、受け取ったよ/知り合いだということにして構いません)
・ののこは首を長くして、その返事を待っているようですので、
お礼がてら彼女に、残暑見舞いのハガキを送ってみるのも良いかもしれません。
・ちなみに、彼女から送られてきた暑中見舞いは、校長室の3匹の仔猫のイラストが、
『暑中お見舞い』『おめでと』『ばっひゅーん!』とフキダシで挨拶している、
というものでした(ののこは年賀状とごっちゃに勘違いしているようです)。
それではまた、リアクションでお会いできたらいいですね! 鈴木二文字でした。