最近、寝子島全土で『ある噂』がまことしやかに囁かれています。
それは――。
「九夜山で幸せの青い鳥を見た」
「青い鳥を見つけて、見失うまえに三回願い事を口にするとその願いが叶う」
幸せを呼ぶ青い鳥の噂。
普通なら誰もそんな眉唾ものの話を信じたりはしないことでしょう。
実際、初めは誰もそんな話を真に受けたりはしなかったようです。
しかし。
「いやー、まさか本当に願い事が叶うとは思わなかったぜ!」
ある日、サンマさんこと
寝子 サンマさんが青い鳥にお願いして貰ったというクルーザーで寝子ヶ浜に乗りつけたときから多くの人がその認識を改めました。
「(やべぇ、こいつはマジだ!!)」
こうして寝子島で青い鳥ブームが巻き起こることになりました。
ちなみにサンマさんはそのクルーザーを寝子島観光協会に寄贈したそうです。男前ですね。
さて、サンマさんの証言によると青い鳥は願いを叶えると青い光の粒子となってどこかへ消えてしまうそうな。
さらに青い鳥が消えゆく瞬間、サンマさんの耳(耳?)には「残りあと一羽」という謎の声が聞こえたともいいます。
サンマさんの言葉を信じるなら願いを叶えられる者はあと一人だけということに。
かくして、今日も九夜山は我こそが願いを叶えんとする大勢の人達で賑わっています。
おや、あそこにいるのは
野々 ののこさん。
どうやら彼女も青い鳥を探しにここにやってきたようですね。
おっと、もしかしてあなたも?
それは失礼。随分と長話をして引き止めてしまいましたね。
では、長話のついでに最後にもう一つだけ訊かせてください。
『あなたの叶えたい願いは何ですか?』
初めまして。新人マスターの水月 鏡花(みなづき きょうか)と申します。
新参者なりに微力を尽し、皆様に楽しい寝子島ライフを満喫して頂けるよう努力していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
さて、堅苦しい挨拶はここまでにして本題へ。
今回はPCの皆様に九夜山で大変な目に遭ってもらう――つもりはございません。
自分の願いは二の次で、ののこと一緒に青い鳥を探してあげるもよし、ののこよりも先に青い鳥を見つけて自分の願い事を叶えるもよし、青い鳥なんてそっちのけで山にこもって修行をするもよしです。イッツァフリーダム。
と、ここでPLの皆様に耳より情報。
ののこの今回の願いは何なのか、みなさんにだけこっそりお伝えしちゃいます。彼女が青い鳥を見つけて叶えたい願い、それは――
だそうです。ほかに何かなかったんでしょうか。
まあ、だいたいそんな感じ。
なお、ののこの今回の『願い』は、先述したとおりのささやかな、彼女の望む「フツウ」とはまったく性質の異なるものです。なので、今回、彼女が青い鳥を見つけても見つけられなくても、ののこが望む「フツウ」にとって特に問題にはなりません。なので、そこはばっちりご安心のうえご参加くださいませ。
というわけで、みなさんどうかくれぐれもお手柔らかにお願いします(震え声
それでは、物語の始まりです。