それは既に廃れた昔話。
むかしむかし、それは大変栄えた王国がございました。
その王国は女王が民に慕われ、土地に恵まれ、神からも祝福された王国でした。
女王の隣には常に魔導師が付き従っており、片時も離れませんでした。
女王が微笑む時も、優しく子供に接する時も、魔導師は居り、影の魔導師などと呼ばれます。
平和で豊か、笑顔絶えぬその王国を妬ましく思った者がいました。
傍若無人なれど一つの国を治める遠く離れた帝国の王でした。
帝国の王は珍しい女王と影の魔導師に興味を持ち、自分の物にしたいと思いました。
その行動力は凄まじく、次々と王国との間の国を攻め落としていきます。
ついに辿り着いた帝国の兵士に屈強な王国の兵士の抵抗もむなしく制圧されてしまう。
女王と魔術師は最期まで抵抗しましたが王国は敗れ、命を落としてしまいました。
悲しい悲しい、亡国のお話。
そんな物語を耳にした一人の寝子島高校、男子生徒。
中肉中背の彼はなぜかその話がリフレインしていた。
「お話って基本、後から人が伝えやすいようにして伝わってるんだよねぇ?」
友人宅へ遊びに行った帰り道、独り言ながらそんな事を言う。
そんな事を言っていたからか、信号待ちをしていた時にフラッシュをたかれた時のように強烈な光を浴びる。
溜まらず目をふさぎ、顔を護る。
「…えっ?」
目を開いた時には、中世ヨーロッパ風の城…謁見の間のような所に居た。
移動した記憶もなければこんな所に来るはずがない。
考えていた男子生徒に悲鳴が聞こえてくる。
「馬鹿者! 傷はまだ浅い! 気をしっかり持て、アルノルト!」
「召喚…成功、だ。…ルイーゼ、お前と共に居られて、良かった、よ…」
「ああ! 妾もだ! だから、まだ、死ぬな…!」
女王風の格好をしたルイーゼと呼ばれた女性はアルノルトと呼ばれた魔術師風の男性を抱えていた。
周りをフルアーマーの人物たちに囲まれ、警戒をされている。
その外側に位置する所に男子生徒はいた。そして、
「召喚術ったぁ良い物持ってるじゃねぇか…っかし、歯ごたえの無さそうなのが揃ってんなぁ!?」
緋に濡れた鎧を纏う人物がハルバードを横薙ぎして男子生徒は攻撃をされ、モロに受ける。
召喚されたらしい寝子島の男子は体が真っ二つになり、意識を失った。
「僧侶ども! さっさと魔術師を回復させろぉ! 死んでも脳みそん中に色々情報があんだろぉ!?」
召喚された者たちを見て勝利を確信するハルバードを手に持つ人物。
指示をしつつ、すでに帰国する算段と女王の捕縛に意識を向けていた。
「貴様ら、生きて帰れると思うなよ! この国の王、ルイーゼ・ヴォン・ファルエーンが」
「ハッ! 帝国を治めるヴォルデマール様に勝とうなんざぁ、いい度胸だ!」
声を発したのはルイーゼ。アルノルトは既に事切れているようだ。
ルイーゼは構えたレイピアで、すさまじい速度での突きをし、生温い水音と共にフルアーマーが倒れる。
ヴォルデマールと名乗った男は再度ハルバードを構え、いやらしく笑う。
「召喚された者達よ、妾に力を貸せ!」
そう言って歯を食いしばり、ルイーゼが振り返りもせず、召喚された者に激を飛ばす。
●●●背景●●●
とある世界のとある城の謁見の間。
よくある悲恋の物語に巻き込まれ、大勢の敵に囲まれた所に召喚されます。
女王ルイーゼの王国と帝国王ヴォルデマールの帝国は戦争中で、帝国が王国を圧倒しています。
女王ルイーゼは追い詰められ、援軍は見込めず、伏兵や起死回生の一手もなく、絶体絶命の状態です。
そんな中、王国の魔術師、アルノルトは最期の力を振り絞り、あなたたちを召喚しました。
アルノルトの意思を受け継ぎ、女王ルイーゼを護る事が目的になります。
ですが、目的に縛られずに行動することも可能です。
帰還条件は女王または帝国王の死亡となります。
●●●舞台●●●
召喚された場所は謁見の間の玉座の周り。
付近には既に事切れた王国軍と所持していた剣や盾、槍や銃、盾と重盾などがあります。
謁見の間には兵士が300人ほどが入った後、玉座まで若干の距離が出来る程度の広さです。
また、玉座以外の装飾はほとんどなく、出入口は帝国兵が押し寄せているため、逃げる事も敵いません。
●●●登場人物●●●
この項目は召喚時の情報として知っていることが可能です。
・ルイーゼ
職業 :王国の女王
性格 :温厚で情に厚く、民から慕われている女王。
武芸に秀でているが、学問の才は薄い。
戦闘能力:レイピアでの素早い突きが十八番で、その力は防具を貫き、心臓をも貫く。
・アルノルト
職業 :王国の魔術師
性格 :様々な知識を持ち、女王に仕える魔術師だったが、現在は死亡中。
実は女王とは幼馴染であり、2人きりの時は名前で呼び合うほど親密。
・ヴォルデマール
職業 :帝国の王
性格 :武力と恐怖で国を興し、拡大を続けている帝国の王。
戦術・戦略に秀でるが、人徳は驚くほどにない。
●●●敵情報●●●
以下の情報はプレイヤーのみが知ってる情報として、アクションに活用してください。
名称 :ヴォルデマール
性質 :ハルバードを手に斬り・突きを身体の一部のように自在に操って攻撃を繰り返します。
また、ハルバードがなくとも近接での戦闘も難なくこなします。
大きさ:192cm
弱点 :魔法の抵抗が低いが、僧侶のシールドが存在。
人脈が低いため、ある程度ダメージを受けると、帝国軍の兵士からも攻撃を受けます。
しかし、その度に見せしめとして、関係のない兵士を何人か殺します。
また、近代兵器には抵抗がありません。
名称 :帝国軍・兵士
性質 :僧侶を守るように位置しており、フルアーマーを着こみ、上質な剣と大きめの盾を持っています。
大将格の相手はヴォルデマールが行うため、対峙した事はありません。
ヴォルデマールの指示に忠実に動きます。
数 :男女混成の150人
弱点 :一部兵士はヴォルデマールの指示を無視し、内部の防具を外しているため、
関節などの部位に攻撃が通り易くなっています。
名称 :帝国軍・弓兵
性質 :兵士の左右に展開しており、鋭い矢を扱う。
指示された時にのみ矢を番え、射る、という攻撃をしてきます。
数 :男女混成の20人
弱点 :武器がなくなれば逃げます。
名称 :帝国軍・僧侶
性質 :ヴォルデマールの後方に待機し、ヴォルデマールと兵士のシールドを出し続けています。
魔法の効果距離はさほどある訳ではないので、アルノルトの回復は出来ない様子。
数 :男女混成の20人
弱点 :近接での攻撃に弱く、自分の身が危なくなれば即白旗を出す。
※帝国軍共通の弱点
恐怖から戦いをしているため、熟練度は低く、威圧に弱い。
また、王国までの道のりをほぼ休まず強行したため、疲弊している。
恐怖から解放されるためなら何でもする様子。
●●●その他●●●
Q:王国の民と兵士は今どうしているの?
A:帝国軍は真っ直ぐに城に攻め入ったため、民は自宅または大きめの施設に避難しています。
城の内部の兵士はほぼ壊滅状態で、外部の兵士は応戦をしています。
Q:武器の類は持って行ける?
A:召喚される直前に持っている場合はOKです。
Q:寝子島には帰ってこれる?
A:条件を満たせば死んでいたとしても生きている状態で寝子島に帰ってくることが出来ます。