黒兎 都は、有り得ない光景に目を凝らした。
「……ぬこ?」
向こうの公園で猫が遊んでいる、だが近場の遊具の大きさとの、対比がおかしい。
具体的に言えば、考えられない程、猫の方が大きい。
「というか、あの柄……もしや……!?」
背中を冷や汗が伝う。
「もう少し、近くで見てみるかの」
いつも近付くと逃げられてしまうけれど。ぬこ、好きなんだもん。
都が近づけど近づけど、猫は大きい姿のままだ。
「ぬ、間違いない……あれは、
ミエコ!!」
「ミエコ、ミエコォー!! 君の大きな愛で、疲れた僕を包んでおくれ!」
一人の青年が、ミエコの足元に取りすがった。
都は こいつにも、見覚えがあった。
「う、あのヨレヨレの兄さんは――!!」
確か、ミエコの飼い主だ。以前より若干やつれて、丸坊主になってはいるが間違いない。
『何だ、あのデカイ猫は! まるきり猛獣じゃねえか!!』
頭の中で声がした。
らっかみ、
テオドロス・バルツァだ。
忌々しそうに舌打ちすると、テオは猛獣と化したミエコと、周囲の者達を巻き込んで世界を切り分けたのだった。
『――どうやらあの猫、もれいびなようだな。
尻尾につけられたヘアゴムのせいで、巨大化しちまってるようだが……。
幸い30分程で元に戻れそうだ。
飼い主らしき男も、こっちの世界で引き裂かれても、基本世界で生き返るようにしといてやるから、面倒なら放っておいていいぜ?
そんなワケで、てめえら……まあ、好きにするがいいさ』
え、投げっぱなし? 戸惑う都にも、ミエコが迫った。
巨大なにくきゅうが、眼前に迫り。
ここからスローモーション
――パッシィーン……!
ぶたれた、前足で。ナニコレ、相変わらず むっちゃ柔らかい……。
巨大な にくきゅう……とか。
反則、じゃないかの?
ここまでスローモーション
ころころと地面を転がりながらも、起き上がる。
お気に入りのパーカーが砂だらけだが、にくきゅう効果で怪我はないようだ。
だが。
ミエコ、またこっちに来る!?
足取りは、可愛らしいと言えば可愛らしいが、生後2ヶ月のあの時とは桁違いに逞しい。
もし爪でも出されたら、命は無いかもしれない。
――テオは、ああ言っていたが。さて、どうする?
メシータです。
あいつが帰ってきました。
猫に もふもふしたりされたり、あまつさえ蹂躙されたい皆さんのみ、どうぞ。
場所は旧市街の児童公園です。
それなりに広いので、皆で遊べます。
今回テオが切り分けた世界は、自由に出る事が出来ます。よって残っているのは、希望者のみです。
(*テオの声が聞こえなかった、などの理由で居残っても構いません)
コメディです ←重要!
切り分けた世界で死亡しても、戻ったら生き返ります。
■登場NPC
・ミエコ
生後7ヶ月のメス猫。三毛で、性格はやんちゃです。
ろっこん『大きいにゃんこ』の力で、尻尾にヘアゴムがついている間のみ、巨大化します。現在のサイズは、四足で立った時の地面から肩までの高さが1、5メートルくらいです。
ヘアゴムを外す、或いは30分経過すると、自然と巨大化が解除されます。
(ヘアゴムもミエコと一緒に大きくなっています。ボウリングの玉大の大きさで、取ろうとするとツルツル滑ります)
室内飼いのお嬢様なので、肉きゅうがプニプニです。
かなり興奮しているので、動物に好かれる設定のPC様でも、不用意に近づけば もれなく蹂躙します。
<ミエコ行動予想>
前足ではたく → 地面に転がされます、にくきゅうです
前足・スペシャル → 連続8回という、目にも留まらぬネコパンチ。最後はお空に飛ばされます
押さえつけてぺろぺろする → くすぐったいです、猫缶くさいかも?
甘噛み → 齧られます、本当に甘噛みで済むレベルなのかは謎
しっぽを振る → 吹き飛ばされます、ほわほわですが稀にヘアゴムの玉がヒットするかも
爪で切り裂く→切れ味を増した凶器、かっこよく(?)散りたい人向け
・勉(ツトム)
29歳、社畜。近所に住むミエコの飼い主で『ひと』です。
仕事で見積もりのケタを一つ間違い、上司から大目玉。二人で頭を丸め、先方に頭を下げに行った模様。そちらはどうにかなったようですが、精神は不安定です。
ヘアゴムは彼がワザとつけたようです。
・テオ
猫の姿の、らっかみ。世界を切り分けた後は、俺の仕事は済んだとばかりに去ってしまいました。
*テオに干渉するアクションはご遠慮ください。
ではでは、お気が向かれましたら。