寝子温泉にある古びた温泉宿。
この宿にはいつ頃からか、
「少女の幽霊が出て、若い男を連れ去ってしまう」
なんていう噂がたち始め、その影響あってか次第に客足が遠のいていった。
そんなある日の温泉街の活性化を考える会合において、
この幽霊宿の問題が議題としてあがった。
「やはり妙な噂は取り除いてもらわないと周囲への影響もありますしねぇ」
「でも、この手の噂は経営者としては致命的だぞ」
「なんせ幽霊ですからなぁ……」
「そんな恐怖を消せるだけのウリがあればいいのだが……」
議論はなかなか決着を見せない。
そんな中、じっと黙って座っていた一人の老婆が、
「わかってないさね。ウリがあるかどうかじゃね。ウリにするのさ」
不気味な笑みを浮かべながら提案する。
彼女は幽霊宿の女将マオ婆さんである。
「ウリにって……なにを?」
みんなの視線が老婆に集まる。
「幽霊退治できる者を募集すればええ。タダで宿泊させるという条件付きでな」
「噂を逆手に取ると?」
「それだけじゃない。実際に幽霊が出なければ、あの噂はウソだったと広める事もできる」
「なるほど。妙案というわけですな」
あの少女の幽霊で有名な温泉旅館に限定20名様を一泊二日無料宿泊ご招待!
ただし、幽霊を退治できる者のみ。
こんにちは、裕竜です。
タダで温泉に入っておいしいものを食べられるチャンス!
ただし、いつ、どこに現れるかわからない少女の幽霊を退治しなければなりません。
勇気ある方の参加お待ちしています。
あなたは幽霊を信じますか?