そこは剣と魔法が支配する世界【レストティア】。
国を守る壁から一度外に出れば、そこは魔物が徘徊する危険地帯が広がる。だが人々は、彼ら魔物と戦う力を持つ人々【冒険者】の力を借りて、この厳しい世界でも逞しく生きていた。
そんなレストティアの辺境にある、小さな王国の王都【ネーベル】。その冒険者ギルドから意気揚々と飛び出していく少女がいた。
彼女の名は【リリア】。まだ駆け出しの冒険者であり、最底辺のFランクだ。手に持っているのは依頼書だろう、討伐する魔物の名前が書いてあるように見える。
「装備よしっ! 回復薬よしっ! 地図も持ったし、準備は万端! いざ行かん、魔物討伐ッ!」
元気よく走っていく彼女に仲間はまだいない。駆け出しの冒険者は昔馴染みや友人と共に登録するのが一般的だが、彼女は田舎から出てきたクチでありそんな友人も知り合いも皆無だった。
だからこそ、上位のパーティーに入れてもらったり、他の冒険者とパーティーを組むには実績を積み重ねるおが重要だと誰よりも分かっていた。
「ここから始まるんだ、あたしの……冒険者生活が! よーし、ばりばり稼ぐぞーっ!」
赤い髪をたなびかせ、軽装な胸当てに包まれた豊かな胸を軽く揺らしながら、小柄な彼女はすばしっこく街路を走っていく。腰の剣帯には真新しいロングソードが下げられていた。
冒険者として実績を積み重ね、一流になることを望む。
それはこの世界では誰しもそうであり、一般的だ。
だが一流の冒険者は数えるほどしかいない。トップランクとなれば尚更。それはなぜか。
答えは簡単。世界は――――そう“甘く”はないのだ。
暗い洞窟の中、滴り落ちる水音だけが響き渡っている。
日の光も届かないその洞窟の奥で、半分ほど人型の液体状の魔物【ゴアスライム】が少女を一人、捕縛していた。
少女……リリアは青く奇麗で大きな瞳を見開きながら、身体を小刻みに痙攣させている。彼女の体はゴアスライムの触手によって縛り上げられてしまっている。両手を万歳の状態で拘束され、上から吊るされる形だ。胸元の胸当てはすでになく、衣服もそのほとんどが破れ、きめ細やかな柔肌が丸見えだった。
触手が体の上を這いまわり、彼女の胸を縛り上げる。ぐっと持ち上げられ強調された胸はゴアスライムの玩具となっているようだ。
「やめっ、こんなのっ、やだぁあっ、うぐぅうっ、離してっ、離してよぉっ!」
ゴアスライムは本来であれば彼女が戦うべき相手ではない。現に彼女が持っていた依頼書の討伐対象はスライム、となっていたようだ。
だが事前に何かしらの冒険者を捕食したのだろう、スライムはリリアが到着する前にゴアスライムへと進化していたのだ。
進化した魔物の危険度は数段跳ね上がる。相手によってはFランク相当がBランクになり得ることもあった。
これを冒険者ギルドは把握してはいるが、その全てを事前に把握することは不可能である。
なぜなら、魔物は生物の生気を吸収し、吸収した生気を元に進化する為、当然、逐一全ての魔物を監視するわけにもいかず勝手に進化していることはよくあるのだ。
だからこそ冒険者はその可能性を考え、細心の注意を払って相手を観察、調査してから攻撃を仕掛けるのが一般的だ。
だが、リリアは駆け出し。そんな知識さえない。ただのスライムが相手だと判断し、勇猛果敢に襲い掛かったのだろう。そして返り討ちである。
ぬるぬるとした粘液を出しながら、ゴアスライムの触手が彼女の柔らかい尻を撫でまわす。ぞわぞわっと悪寒がリリアの背中を駆け上がる。
「ひぃいい!? き、気持ち悪いぃっ! やっ、なんで脱がすの!? やめてぇーー!」
リリアの足をガバっと開いたゴアスライムは彼女のスカートやパンツを脱がしていく。どうやら破るよりも脱がすことにこだわりがある魔物のようだ。顔を背け羞恥に染まるリリアを見て楽しむ辺り、良い趣味をしている。
涙目になったリリアの目に映ったのは、表面をごつごつとしたイボが覆った異形の触手。それは彼女を拘束している触手よりも数段太かった。下腹部に伸びていくのを見て、リリアの顔から血の気が引いていく。
へその下辺りに触手の先端が触れると、リリアはびくんっと腰を震わせる。その瞬間、小さな魔法陣が現れた。それは三重になっており、複雑な紋様をしている。
ぐっと力を溜めた触手はまず最前面の魔法陣の中心へと、触手の先端をぶつける。小さな火花が散ってパッと洞窟が一瞬だけ、明るくなった。
「嘘でしょ!? ライフシールドを破ろうとしてる!? やだ、そんなのやだぁあっ! やめてっ、もうやめてぇえっ!」
ライフシールド。それはこの世界の冒険者ならば誰しも持っている技能の一つ。冒険者か否か、その判断基準でもある。
レストティアに生息する魔物は“全てが生気で進化”する、という特性を持っている。これを防がなければ、最悪の場合は戦っている最中に進化を果たし、より強い存在になってしまう可能性があるのだ。
故に冒険者はこれを防ぐ為、ライフシールドという能力を習得する。魔力で生気吸収を防ぐ防護膜を身体に張る、という技術だ。これは子供でも魔法陣一つであれば簡単に習得可能な物ではあるが、魔法陣を重ねる【二重防御】【三重防御】になってくると中々、一般市民では習得は難しい。
その為、冒険者は冒険者学校に通い、それぞれの剣士や魔法使いなどのスキルを伸ばしながらこの魔法の習得と研鑽を行う。強度は人ぞれぞれだが、三重防御は冒険者としての最低ラインで、そこから魔法陣を重ねる数が増えるごとにより強い冒険者となっていくのである。優秀な上位ランクでは20、30の魔法陣を重ねていることも珍しくはない。防御特性も踏まえれば、それらは多岐に渡る。
パリンっとガラスが割れるような音が響き、リリアの魔法陣が二つほど一気に割れた。どうやら強度不足だったようだ。触手の先端は更に彼女の肌に近づく。最後の魔法陣にぶつかり、火花が散った。徐々に魔法陣が軋み、明滅を始める。
「お願い、お願いだから割れないでっ! いやだっ! こんな所で終わるのは、いやぁああ!」
なんとか脱出を試みようと、彼女はもがくが……拘束された身体が自由になることはない。触手で縛り上げられた豊かな胸がゆさゆさと揺れるだけだ。
彼女の願い空しく最後の魔法陣が音を立てて割れ、触手の先端がリリアのへそのすぐ下辺りに食らいつく。びくんっとリリアの身体が脈打った。
足の指先までもぴんっと伸ばし、びくびくと小刻みに痙攣しながらリリアは目を見開いて吐息を漏らす。吸われているのだ、彼女の生きる気力……生気を。
身体を倦怠感が襲い、抵抗する力を徐々に奪われていく。こうなってしまえば、もう脱出は絶望的だろう。後は搾りかすになるまで吸い尽くされるだけだ。その後は、名もわからぬ骸として朽ちていくのだろう。
「いぎっ!? だめぇっ、そんなにぃっ、じゅるじゅるってぇっ、吸っちゃ、やだぁあっ、んひぃいっ!?」
口をだらしなく開き、垂れた舌に涎が伝う。涙目のまま、漏れる吐息が艶めかしい。
今まさに、リリアという冒険者の人生が……ゆっくりと終ろうとしていた。
一方。
現在、寝子島。某所の公園。
通りすがったあなたは何者かの声を聞いた。
「どうか、この言葉に応えて欲しいのです。誰か、聞こえる……誰か」
その声が気になったあなたは、公園の中を歩いて音の発生源を探した。
すると大きな木の裏側に光り輝く扉があるのを見つける。周囲では子供が遊び、親たちもいるが誰も扉には気づいていないようだ。
「誰か……この声を、聞いて……お願い……っ!」
切羽詰まったかのような声を聞いたあなたは光り輝く黄金の扉を開くと、まばゆい光に包まれた。
次に目を開けると、そこは真っ白い部屋。床だけが存在し、壁はない。ただ白い世界が地平線まで続いている。上空には真っ白な空が広がっていた。
「やっと来てくれたー! いや、ほんと来なかったらウチ、どうしようかって思ったじゃん!」
先ほどとは全く違う口調が響いたかと思うと、まばゆい光と共に声の主が現れた。
声の主は女性であり、和服……それも巫女服姿に近い衣装を着ている。頭には狐の耳があり、お尻には尻尾が二本あるようだ。
「あっは、びっくりしてるー? ウチ、境界の女神やってる【ダナテ】っていうの。よろしくぅー」
きゃぴっとまるでギャルのようなポージングをとるとダナテは可愛らしく笑って見せた。威厳の欠片もない。
「ちょっと、呆れんなし。いい? マジヤバな案件なのは、確かだから。実は……」
彼女が言うには、剣と魔法の異世界【レストティア】に危機が迫っているらしい。
だがその危機はまだ遠く先のことであり、本来では呼ぶ予定がなかったのだが緊急事態ということであなたを呼んだようだ。
「あんね、勇者っぽくなれる救世主認定してる子がいるんだけど、運が悪い上にめちゃよわなんよ。救世主が弱いとかマジウケるんですけど!」
そういうとダナテは小さなモニターのような物を映し出した。そこには少女が拘束され、生気を吸われている場面が映っている。
「この子なんだけどさ、いい子なんだけどちょっとダメダメな子なんだよねぇ。力貸してあげるからさ、パパっと救ってきてくんない? やってくれたらマジで助かるんだけど!」
まるで買い物でも頼むようなノリだが、相手は魔物。危険性の塊だ。あなたは非常に悩んでいる。
するとダナテは各種サポートアイテムを見せると、アピールを始めた。
「ウチら女神はね、自分で手を出しちゃいけない決まりがあるだよね、マジめんどうだけど……従わないと怒られるし。んで、剣と魔法を扱えるようにしたり、能力だって貸してあげるから、いいっしょ?」
もう一つモニターを映し出すダナテは真剣な表情で語り始める。先ほどの軽さはそこにない。
「このままじゃね、小さな国の滅びを始まりに、滅びの炎は世界全体に広がる……そうすればあの世界は滅びることになっちゃうんだよ。罪なき魂が消えちゃうの」
モニターには激しい剣戟を交わしながら勇敢に戦う“成長したリリア”の姿が映っている。その表情は切なく、辛そうだ。だが最後には魔物に心臓を貫かれ、絶命してしまったようだ。
「あの子はね、一人でもここまではやるんだ。うん、すっごい強くなるの。どんな脅威にも立ち向かえるぐらいに。でもね、誰も仲間にせず、孤高になって孤独に戦い続けた果てに、擦り切れて、絶望して、それでも世界を諦められなくて、散るの。志半ばで」
ダナテが腕を振ると、ふっとモニターが消える。
「でもね、あなたがいれば……そんな未来は来ないんだよ! 隣で歩んで欲しいの。あなたなら、脅威に立ち向かえる力を持つから! まだ曲がっていないあの子を、救ってあげて。絶望の、未来から……お願い」
俯いてダナテはあなたの手を握った。その手は微かに震えているようにも見える。
ダナテの手を握り返し、あなたは助けに行くと伝えた。その瞬間、ダナテの顔がパッと明るくなる。
「ありがとっ! ほんとマジ超、超感謝だかんね! うんうん、できる限りのサポートはするから。それじゃ、装備を選んでね。どれも自慢の装備だから」
異世界レストティアであなたの冒険譚が今、始まる。
お久しぶりです。ウケッキです!
異世界にて始まる冒険譚。皆様はどういった物語を紡ぐのでしょうか。
今回のシナリオに至っては、このシリーズのみライフシールドの数や選んだ職業を私が記録します。
シナリオと共に成長していくと思いますので、様々な行動をとってみてください。
もしかしたら、私のシナリオ限定ではありますが冒険者スキルが覚えられたりするかも?
なお、せくしーな展開をご希望の場合は、その旨を記載ください。
記載がない場合は、せくしー展開はありません。
◆場所
辺境の洞窟
:入り口は一つ。最奥までは入り組んでおりいくつもの小部屋に分かれている。
天井や壁は武器を振り回せるほどに広い。大小様々な岩が点在しており、障害物として利用可能。
◆成功条件
:リリアの救出及びゴアスライムの討伐。
◆失敗条件
:リリアの死亡。
※スタートと同時に徐々に生命力が失われ、吸い尽くされると死亡。
もって時間は10分程度になる。
◆登場敵
ゴアスライム
:洞窟の最奥でリリアを捕縛している。
粘液を吐きかけての移動阻害や触手を槍状に投擲、鞭のように叩くなど
その攻撃方法は多彩。どうやら雷に弱い模様。
ゴアスライム(複製体)
:防衛の為にゴアスライムが作り出した複製体。
能力はほぼ同じですが、ゴアスライムと感覚を共有しており
一体に発見されると複数体が集まり、群れで襲い掛かって来る。
捕縛されると生気を吸収されてしまう。
◆クラス選択
初参加の際に選択いただくクラスです。こちらで記録し少しずつ成長します。
途中での変更した場合、こちらで記録していたスキル、数値は初期化されます。
また、シナリオ中で取った行動により新たなスキルが付与される場合があります。
魔法に限り名前を設定できますがアクションにそれを記載する際、
最後に【雷魔法】や【回復魔法】と記載してください。
・剣士
:素早い剣技や重い一撃が可能なクラス。ちょっと打たれ強くなれる。
・槍使い
:しなやかな一撃や、まとめて攻撃ができるクラス。少しだけ素早くなれる。
・魔法使い
:炎、雷、氷の初級魔法を扱える。(魔法の名前はご自由に設定可能です)
初期では威力は最低クラスで、空き缶を吹き飛ばせる程度の威力です。
・司祭
:回復魔法が使用できるクラスです。(魔法の名前はご自由に設定できます)
初期では擦り傷をゆっくり治せる程度の回復です。それ以上の負傷は治せません。
・夜の蝶
:魅惑的な動きと話術で誘惑するクラスです。
異性と交流する際にボーナスが入るので、有益な情報とか聞き出せたり、
無理なお願いでも通る可能性があります。
・無色
:何色でもないクラスです。能力もスキルも何もありませんが、無限の可能性がある……かも?
◆ライフシールドについて
皆様は異世界に降り立った際、ライフシールドが付与されます。
これは【三重防御】から始まり、シナリオが終了するごとに【最大値まで回復】します。
シナリオ中になくなると生気を吸収され、行動不能になり相手の魔物が強力になってしまいます。
※エロ展開希望ではない場合、光が吸収される描写になりますのでご安心を。
ライフシールドはシナリオ中の行動によって成長する場合があります。
四重防御、五重防御のように成長していけばより強い攻撃にも耐えられるかもしれません。
※こちらで記録していきます。
◆登場人物
リリア
:模倣する、というスキルを持った少女。
見た技や魔法、技術をコピーしストックできる。ただストック数はまだ多くない上、
元のスキルよりも大幅に劣化してしまう。
女神ダナテ
:やたらとギャルギャルしている狐っぽい女神。
世界の境界を守護する存在らしいが、詳細は不明。