★そこはフシギのあるところだった
意識がある日の方が珍しくなってきた。
今になって想う、あのフシギがあった日々。
座敷わらしにはいろんなところで世話になり、猫又には面倒をみられて、ろくろ首には脅かされ、天狗とはいつも勝負をしていたっけ。
こんなことを言っても、きっと世間の人間からは、ウソだの、老人のモウロクだのと言われるに違いない。
ただ一縷の望みを賭けて、途切れる意識の中でなんとか筆を動かす。
もう一度、会いたかったんだ――君達と――。
★見知らぬ葬儀屋が現れた
――その男は、寝子島の外からやってきた。
船で揺られ盛大に酔っているその若い男は、船員にたずねる。
「ウェー……お、降りたら……行きたい場所があるんですけど……」
「大丈夫かい、あんた? ……行きたい場所って?」
「花緑青駅って言うんですけれども……」
「なんだいそりゃ、聞いたことないけれども。寝子電にそんな駅はないよ」
「えぇ~……」
聞いていた話と違う……と、男はうなだれた。
……なんだかフシギな客だな、そんな印象を船員は持った。
★駅を探して
「あ、どうも~。僕の名前は『葬儀屋』といいます。全然名前じゃない? ま、そこは気にしないでいただいて」
喪服姿の男が、ぬ、と顔を出して、道を行く学生や島民に声をかけている。
なんでも、話を詳しく聞くと、『霊界』に行きたいらしい。あやかしや幽霊が存在するというその場所。
フツウの場所なら、きっと誰もが、変なことを言っている不審者だと思うことだろう。
でもここはフシギが身近に存在する場所。だから、親切な誰かが手を上げた。
――寝子島高校の学生服を着た、誰かが。
★花緑青駅前にて
「霊界があるっていうの、本当だったんですねぇ……さて、僕は観光に来たワケじゃないんだ。仕事をしないと」
と、感慨深そうにしているのかしていないのか、よくわからない様子の男は、手にしている鞄からするすると何かを取り出す。
――一定の長さのあるそれは、どうやら遺言状のようだった。
「さて。元寝子島島民の方が、この霊界に住むあやかしの方々にお礼を申し上げたい……と。最期はお独りの方でして、生前は随分とフシギなことを申し上げてたそうです。曰く、寝子島はたくさんのフシギがある場所……ってね。僕も実際見てみてびっくりどっきりしております」
本当か? と問えば、こう見えてオカルトの類に慣れてなければ葬儀屋は務まりませんので、と事もなげに返してくる。
「なんでも、ここに住まう『座敷わらし』の御方に、生前お世話になったお礼を言いたいようです。それと、他にもお会いしたい方は多々居たようで――」
全部列挙すると大変なんですけれども、皆と会いたかったんですって。
だから、『出会ってくれてありがとう』、とお礼を言いたい。
可能な限り生前のお客様のお話を叶えて差し上げたく。
葬儀屋は恭しく頭を下げた。
tkです! 霊界に行くシナリオです。
★寝子島の外で亡くなられた元島民が、遺言にて生前世話になったあやかし達へ、『出会ってくれてありがとう』、というお礼を言いたいと『葬儀屋』に託しました。
しかし、葬儀屋は、土地勘は全然ないし、あやかしに対しても不慣れです。お手伝いをしてあげましょう。
皆様は、道端で偶然出会って協力を求められたり、いつの間にか霊界にいたりして、協力することになります。
お好きなシチュエーションでご参加ください!
★主に座敷わらし、猫又、ろくろ首、天狗の方々にお礼を言いたいようです。
手分けして探しても良し、まとまって探しても良しです。
★少し探す必要はありますが、『羽場 正太郎』という名前を出して聞き込みをすれば、若い頃に霊界でかなり遊んでいたことから、彼らを見つけることは簡単でしょう。また、故人に対しての感想や、若い皆様への将来の言葉を寄せることもあるかもしれません。
この名前で反応するあやかしは、人間である貴方達には非常に好意的です。
葬儀屋は聞き込みをして回っていますので、彼と一緒に聞いて回るのも手でしょう。
★皆様はいろんな方法で、探しているものたちを探すことができます。
また、かなり自由に好きなシチュエーションに出くわすことができます。
下記は例となります。
・『羽場 正太郎』の名前を出してとにかく聞き込み!
・聞くより足だ! 居そうな場所に突撃してみるぞ!
・アレッ!? 探していたはずが見知らぬあやかしとバトルに!?
・葬儀屋さんと一緒に探そう!
などなど! 最終的に見つかればOKです!
★今回の舞台は、すべて霊界となります。
★登場人物は、先に挙げた葬儀屋やあやかしの他にも、いろんなあやかしに出会えるかもしれません。
もちろん、葬儀屋とも交流が可能です!