ある日の午後。寝子島駅を出発したバスは、旧市街を抜け、一路九夜山方面へと向かう。
バスの中には30人ほどの男女の姿。皆一様に荷物を抱え、これから訪れるであろうちょっとした非日常に夢を膨らませている。
バスの行先は寝子温泉の片隅にある温泉宿「龍宮旅館」。立派というには程遠い、むしろ寂れた風情のある和風旅館だ。このバスの乗客たちは、その龍宮旅館のお客なのだ。
龍宮旅館ではいま、
<謎解きイベント「玉手箱を探せ!」>なるものが行われていて、それを目当てにこのバスに乗り込んだ者も多い。もちろんイベントのあとは龍宮旅館に一泊。寝子島漁港で採れた海の幸で舌鼓を打ち、宿自慢の――といってもこじんまりした――温泉で、日ごろの疲れを癒してもらおうという趣向だ。
このバスの後方の席でお団子頭が揺れていた。
窓の外をぼんやり眺めている彼女は、
坂内 梨香。寝子高3年生だ。「伝説の宝の島」を探しているシーノという組織の一員でもあるが、どうも彼女の仕事ははかどらずにいるらしい。疲れが溜まっているのか「ふぅ」とひとつため息をつく。
彼女の膝の上には、古い温泉ガイド雑誌が乗っていた。
開かれているのは寝子温泉の特集ページだ。
そこには他の寝子温泉の旅館にまじって、小さく龍宮旅館の写真も載っていた。
梨香はちらりとそこに目を落とすと、そのガイドをぱたりと閉じて、また窓の外に目をやった。
バスは山道に入っていた。
窓の外を、6月の雨を糧にすくすくと伸びた緑の若枝が過ぎ去ってゆく。
やがて、バスの行く手に、寝子温泉街が見えてきた――。
こんにちは。
ゲームマスターを務めさせていただきます笈地 行(おいち あん)です。
なんと初シナリオの「被服室~」から約1年経ってしまいました。個人的にらっかみ1周年です!
さて、温泉、お好きでしょうか。わたしは大好きです。
今回は、寝子温泉のはずれにあるちょっと寂れた温泉宿「龍宮旅館」にみなさまをご案内致します。
謎解きイベントにチャレンジしたり、
お友だちや恋人とまったり温泉宿の夜を楽しんだり。
龍宮旅館でのひとときをお楽しみいただければ幸いです。
【アクションの選択肢】
1.<謎解きイベント「玉手箱を探せ!」>にチャレンジする。
2.謎解きイベントにはチャレンジせず、龍宮旅館の滞在を楽しむ。
3.その他
謎解きイベントについては、下記をお読みください。
<謎解きイベント「玉手箱を探せ!」>
◆参加方法……帳場でお手製の謎解きマップ(一部500円)を購入します。
受付をすると、マップと一緒に、懐中電灯を渡されます。
この懐中電灯は強い光がでて、どこまでもまっすぐ照らすことができるようです。
マップを開いた瞬間からゲームスタート!
龍宮旅館だけに、龍宮にちなんだ宝、玉手箱を探していただきます。
ヒントは「雲を裂き 亀の視線の先へ 輝きの道を曲がりながら追い 玉手箱へたどりつけ」。
時間制限は到着(午後3時ごろ)~夕食(午後6時ごろ)まで。どうぞお楽しみください。
◆謎解きマップについて
【オ】~【ヨ】:調査できる場所 (グレーで塗りつぶされている場所は調査できません)
【オ】玄関
龍宮をイメージした大きな水槽が置かれています。
水槽の前の空間は砂浜をイメージして小石や砂が敷き詰められ、
そこに巨大な亀の置物があり、背に乗せるべき者を見ています。
【タ】春の庭
小川が流れていて、梅や桜の木、春の草花が植えられています。
川の向こうに浦島像があります。
釣りの帰りでしょうか、浦島像は釣竿を背負っています。
腰につけたびくの中はからっぽ。しかし、その表情はなにやら満足そう。
何かを手に乗せるようなポーズで両手を前に出していますが、
その手には何も乗っていません。
庭の奥、橋を渡った辺りに、赤いバラの花束が水に活けてあります。
【ウ】夏の庭
夏を模した庭で、中央には池があり、水連の葉が浮かんでいます。
池の中でピカピカ光っているのは魚でしょうか。それにしては動きませんが……。
【ハ】秋の庭
モミジやイチョウなどの秋の木々、秋の草花が植えられています。
庭には、瓢箪の形をした芭蕉扇を持った乙姫像がありますが、なぜかお部屋に背を向けています。
乙姫像の乗った円形の台座は二段重ねの石で出来ていて、上下の石の境目は、角がうっすら削れています。
乙姫が手にした芭蕉扇は、キラキラと光を跳ね返しています。
【ヒ】お風呂への廊下
お風呂上りの姿を確認するためでしょうか、男湯と女湯の間(黄色)に姿見があります。
【カ】春の間
春の庭を臨むことのできる和室です。
襖には春の朧雲が描かれています。
東の壁になにかを引っ掛けるフックのようなものがあります。(黄丸の箇所)
庭側の障子は開け放たれており、縁側から庭へ出ることができます。
【ト】夏の間
夏の庭を臨むことのできる和室です。
襖には夏の入道雲が描かれており、庭側は開け放たれた障子で、庭へ出ることができます。
床の間には梅の木にウグイスが描かれた掛軸が掛かっています。
ところでこの掛軸、紙にしては厚みがあるようです。
【ゲ】秋の間
秋の庭を臨むことのできる和室です。
襖には秋のうろこ雲に赤とんぼが飛んでいる様が描かれており、
庭側の障子は開け放たれています。
庭側の廊下には壁がなく、お部屋から庭を臨むことができます。
部屋の北側には棚には赤い壺のような置物があります。
1枚のメモが乗っていて、
「乙姫は振り返り蜻蛉を見る」と書かれています。
【ラ】お手洗い前
男子トイレと女子トイレの間に鏡があります。(黄色)
身だしなみはここでチェックできそうです。
【ダ】廊下
どこからか隙間風の入る長い廊下に、ポスターが貼られています。
どれも、どこにでもありそうなポスターですが、それぞれ落書きが。
・寝子温泉のPRポスター「うまい温泉たまごあります」
・ビールを片手ににっこり笑う水着のお姉さん「脱がして」
・陽気なサンマさん「オレのボディはピッカピカ」
【ヨ】冬の離れ
冬の庭を臨むことのできる離れの和室です。
襖には冬の雪雲の中、白い雪がちらつく様が描かれています。
部屋には屏風と箪笥があります。
屏風には、薄墨で抽象的な絵が描かれています。
箪笥には12の引き出しがありますが、一番下のひとつは開きません。
それ以外の引き出しは開きますが、中は空です。
それぞれの引き出しには1文字ずつ、マップにあるのと同じ
【オ】【タ】【ウ】【ハ】【ヒ】【カ】【ト】【ゲ】【ラ】【ダ】【ヨ】
の11の文字が書かれています。
◆アクションの書き方
・謎解きイベントに参加する方は、アクションに【イベント参加】とご記入ください。
・GAを組んでいただいた場合は、グループでの謎解き参加になります。
・GAを組む相手はいないけれど、誰かと一緒に謎解きをしたい場合は【仲間希望】とお書きください。
こちらでマッチングさせていただきます。
・キャラクターが謎を解くには「調べる」アクションが必要です。
リアクション描写の都合上すべてのシーンに登場することは難しいので、
特に調べたい箇所を【オ】~【ヨ】の中から1~2つ選んで
くわしくアクションを掛けると、そのシーンで活躍できるかもしれません。(参考:サンプルアクション1)
・もし玉手箱の在り処について、見当のついた方は、それを記載してください。
(謎解きの過程をすべて書くと文字数が足りなくなりそうなときは、
特に描写を希望する箇所+答えのみのアクションでも、宝に辿り着いたと理解させていただきます!)
(プレイヤーさんが分からなくても、
仲間との協力などでキャラクターは玉手箱を発見することもあります)
・謎解きマップの掟にありますように、
謎解きイベントですので、もし解けた場合でも、
コメントページなどでのあからさまな回答の提示、ネタバレはお控えいただければありがたいです。
・最後に質問です。
◆龍宮旅館について
寝子温泉のはずれにあるちょっと寂れた和風旅館。
二階建てで、二階にも何室か個室があるが、夕食までの謎解きタイムの間は二階へ上がることはできない。
四季を模した庭が自慢のひとつ。
食事は大部屋、お風呂は男女別に内湯と露天がある。
夜の描写をご希望の方はどうぞアクションに、今宵のご希望のお部屋をお書きくださいませ。すべて和室です。
一階の部屋=他の方と一緒の大部屋です。みんなとわいわい過ごしたい方はこちら。
二階の部屋=グループやカップルで1部屋お取りいたします。あの人と一緒の夜を過ごしたい方はこちら。
◆登場NPC
・亀屋 豊海子(かめや とみこ)
龍宮旅館女将。
40前後かと思われる落ち着いた佇まいの女性。
龍宮旅館を盛り上げようと謎解きイベントを企画。
イベント主催者らしく基本的に謎解きの内容についての質問には答えないが、
あまりに困っていたら助け舟を出すこともあるかも?
・坂内 梨香(ばんない りか)
お団子頭がチャームポイントの高校3年生。密かに温泉好き。
今回は古い温泉ガイドを手に、謎解きイベントに参加。
実は、「伝説の宝の島」を探す組織・シーノの一員。
先日、地下帝国で発見した紅梟の壁画の謎はまだ解けずにいる。
男子が苦手。だが、克服したいとは思っている。
※今回は、女将と梨香以外のNPCとの絡みをご希望いただいても、登場致しませんのでご了承ください。
それでは皆様のご滞在、心よりお待ちしております。