どんよりとした雲が空を覆う、六月上旬。今日も今日とて寝子高では授業が行われている。
「授業はじめるよー」
つむじ周辺、明るいパッションオレンジ。毛先は真っ赤なグラデーション。
トップスはシャーベットカラーの大きめトレーナー。
ボトムスはブルー&ホワイトストライプのショートパンツ。
足元はシンプルなニーソックと左右色違いのスニーカー。
アクセントに大きな黒縁メガネ。
いわゆる『原宿系ファッション』の女が授業開始を告げた。
彼女は芸術科・服飾担当の
笠原 七穂(かさはら ななほ)。れっきとした寝子高教諭である。
まだまだざわつく中、気にせず笠原は続けた。
「今月は服を作りまーす!」
この言葉に反応した男がいた。
「おい、七穂よぉ? 服を作るって言ったのか?」
X 我威亜、その人である。
ブレザー全開。
Yシャツ全開。
中のヒョウ柄インナー丸出し状態。
ついでに乳首も丸見え状態。
校則の全力否定を体現しているような伊達ワルボーイが、右口の端をクイと上げた。
笠原は怒りのあまり顔がひきつるのを懸命にこらえて、注意を促した。
「あ、あら? 相変わらず口の利き方を知らないのね。
もしかして、あたしが服飾担当ってこと忘れてるんじゃないの?」
「おーそれは悪かったな。後で好きなだけキスしてやるからそんないい声で啼くな」
笠原は俯いて、プルプルと震えている。
Xはそれを見て笑みをより濃くした。
「ああ、なんてこった。俺としたことが、メス猫を授業中に発情させちまうなんてな!」
プチり。なにかが切れる音がした。
「……ざけんなよ」
「あ?」
「ふふふふふ」
笠原は不気味な笑みを浮かべる。
そして、びしっとXを指差した。
「決まったわ。服のテーマは『もうひとりのワタシ』!」
笠原の唇が弧を描く。
「他人を変身させるより自分が変身する方が難しいからね。
あたしみたいに毎日チェンジしろとは言わないけど、ちょっとくらい新しいモノに挑戦しなさいよね!」
言葉の通り、彼女は毎日新しい自分に挑戦している。
今日はあまーい原宿系。昨日は精巧なクラシックロリータ。その前はほとんど布はなし。
「ヒョウ柄大好きなキミには難しいかなぁ~?」
ドヤァ。
笠原はこれでもかというくらい勝ち誇った笑みを浮かべた。
被服実習のはじまりはじまり。
はじめまして。新キャラ、はじめました。つるこ。です。
今回は芸術科三年生の授業を担当させていただきます。
つるこ。は高校時代、音楽も美術も家庭科(被服)も選択するくらい芸術系が好きでしたが、びっくりするくらい不器用でした。残念。
そんな私でも服は作れたので、不器用でもきっと大丈夫。
それに皆さんには強い味方・笠原先生がいます!
思う存分好きな服を作りましょう!
◆概要
このシナリオでは六月上旬から下旬の一連の授業を描写させていただきます。
六月中に服を作ることになります。
テーマは『もうひとりのワタシ』
普段着ない服を着てみよう。ということです。
普段と違うあなたであれば、GAで統一感を出したり、過激なコスプレをするなど自由度の高い課題です。
【授業の流れ】
採寸
(最初の授業・あるいは各自放課後などを利用して)
→デザイン
(最初の授業から次の授業まで。足りない場合は各自放課後などを利用して)
→作製
(主に授業中ですが、それでは時間が足りない場合はこちらも放課後などを利用しても構いません。
既存の型紙を使用しても、型紙を一から引いても構いません)
→最後は簡易的なファッションショー。
(最後の授業は四時間目。
授業中に準備をして、昼休みに他生徒らの前で簡易ショーを行います。
会場はトリエンナーレと同様に講堂です)
※ファッションショーの際は化粧、装飾類の着用などを許可します。
という流れです。
不真面目に受けていただいても構いませんが、その場合はショー参加ができない可能性があります。
ご了承ください。
◆アクションのポイント
基本的には自由に好きなように書いていただければ大丈夫です。
ただ以下の点を留意していただくと、キャラクターの細かい描写が可能になったり、登場シーンが増えるかもしれません。
・技術について
裁縫が得意なのか、デザインが得意なのか。
時間がかかりそうなのか、てきぱきと授業時間内に終わらせてしまうタイプか。
長く記述する必要はありませんが、設定があるようでしたら一言お願いします。
特に記載がない場合は基本的には触れません。
・ファッションショー
乗り気か否か。その際の注意点があれば。
◆他学科、他学年の皆さんへ
まずは運営からの注意点を熟読お願いします。
放課後の絡み、ファッションショーのお手伝い・観賞の場合は特別な説明がなくても大丈夫です。
しかし一ヶ月間、授業に潜り込む場合は、理由の記載をお忘れなく!
◆NPC
笠原 七穂(かさはら・ななほ)
芸術科服飾専攻の先生です。
毎日のようにウィッグを駆使して髪型も髪色も変える。
というように、全力でおしゃれを楽しむ女性です。