人は死ぬ。誰でも知っていることだ。
人も、動物も植物も、どんな生き物であれ、最後には死を迎える。人生を謳歌した者も、どん底を這いつくばるように生きた者にも、死の瞬間は等しく平等に訪れる。
誰しも、運命の死から逃れることはかなわない。
しかしながら、必ずしも、死が人生の終わりであるとは限らない。
「よーう! 今日も元気に死んでるねェ」
道行くゾンビが声をかければ、ただようゴーストは笑顔を返す。
「そっちもね。いい腐り具合じゃないの」
「いやいやそれほどでも。やあ、こりゃキョンシーさんにスケルトンくん」
ぴょんぴょん跳ねるチャイナ服の少女は固い身体を折り曲げておじぎし、動く骨格模型のようなスケルトンはかぶったシルクハットをひょいと上げてみせた。
「おはようアル。今日もいい天気アルな」
「ごきげんよう諸君! うむ、この素晴らしい曇り空、なんとも心が躍りますな」
ところどころにはがれた石畳、朽ちかけた家々。
街を行き交うのはゾンビに幽霊、キョンシーにスケルトン、グールにマミー、デュラハン、ヴァンパイア……死してなお活動的な、彼らはアンデッド!
空は曇天、雲の切れ間からは時折赤く焼けた岩が降りそそぐ。風は荒ぶり大地は割れ、ところによっては溶岩が噴き出す様はまるで、物語の終末世界そのものだ。
ようこそ、アンダイイング・キングダムへ。
ここは不死者が暮らす、死の王国なのだ。
「女王さま! イスズさま! 大変です!」
侍女のマミー少女が宮殿を慌ただしく駆ける。
「騒がしいですね。どうしたんですか?」
不死者を統べる王族たちの一人、強大な闇の力を持つ女王
鶴見 五十鈴はけだるげに身を起こし、部下の報告に耳を傾ける。
「人間です! 我が王国に、多数の人間が迷い込んだようです」
「あら、大変ですね。それでは……狩りの準備をしなくては、ね?」
人間が生死の理を逸脱し、こうして王国の領域へ迷いこむのはままあることだ。
そんな時、さんざんに脅して元の世界へ追い返すも、あるいは食料として飼ったり食らったりするも不死者によりけりだが、いずれにせよやることは一つ。
追いかけ、狩り立て、捕らえるのだ。
「まったく、騒がしいことです。
私はただ、静かに暮らしたいだけなのに」
憂い顔の女王が望むと望まざるに関わらず、事が起これば対処せざるを得ない。
生者と死者が交わることは、決してないのだから。
墨谷幽です。よろしくお願いいたします~!
今回は、転生キャンペーンに当選された、鶴見 五十鈴さんのイラストから着想を得たお話となります。
プレゼントシナリオを担当させていただき、とっても光栄です。
ご参加の際は、ガイドのイメージによらず、自由にアクションをおかけくださいませ~。
このシナリオの概要
ここは、UNDYING KINGDOM! 死なないモンスターたち、アンデッドが住まう世界です。
不死者の王族の統治のもと、ゾンビやゴースト、スケルトンやヴァンパイアなどの、
アンデッド種族が暮らしています。
彼らは死なず、老いることもなく、永遠の王国で無限の時を過ごしています。
しかし時おり、王国へ人間たちが迷いこんでしまうことがあります。
生者と死者の交流はタブーとされており、アンデッドたちは逃げ惑う人間を追い詰め、
狩ることになります。
今回のシナリオは、『人数非対称の追いかけっこ・バトル』です。
1~2人のアンデッドと4~8人程度の人間たちが、限られたフィールドの中で相対し、
アンデッドは人間を全て捕らえれば、人間はフィールドから脱出することができれば勝利となります。
人間は持ち前の知識や技術、フィールドに配置されたアイテムやギミックを利用し、
アンデッドの追跡をかわして脱出を目指しましょう。
アンデッドは種族により、多様な能力を持っています。
物陰に潜む人間を見つけ出し、仲間との連携を逆手にとり、
彼らを捕らえましょう。
あなたは人間? それともアンデッドでしょうか?
お好きな立場でご参加ください。
いつもと同じ人物でも、転生してこの世界へ生まれ変わったことにするのもOK。
自由にお楽しみくださいませ~。
アクションでできること
アンデッド(不死系のあやかし含む)陣営、人間(ほしびと、生きてるあやかし含む)陣営に分かれて勝負!
勝敗の基準は、PCさんのプロフィール、アクションによる作戦や情熱・気合、
諸々加味してのマスターの判断など、様々な要因で決まります。
といってもあまり厳密なものではありませんので、勝っても負けても、気軽にお楽しみいただけましたら。
なんか難しそう……と思った方は、アクションのおまかせもOKです。
お話が盛り上がったりいい感じに活躍できるよう、マスターがアクションを考えます。
やりたいことだけ端的に書いて、あとはおまかせで! というのもアリ。
お気軽にご参加くださいませ。
<ルール>
一定の広さを持つフィールドに、アンデッド1~2人:人間4~8人程度の割合で入ります。
人間はこのフィールドから脱出すれば勝利。
アンデッドは全ての人間を捕らえれば勝利。
人数はマッチングにより適当に増減します。
また、組み合わせによっては、NPCのアンデッド・人間が相手となる場合もあります。
<人間陣営の動き>
フィールドには、隠れるための遮蔽物や建造物、
脱出のためのアイテムやギミックが配置されています。
それらを活用し、条件を満たせば脱出することができます。
フィールドは広く、一人で全てを網羅するのは難しいため、
必要なら連携してみるのも良いでしょう。
しかし、必ずしも全員が脱出できるとは限りません。
状況によっては、仲間を見捨てることも必要かも……?
ろっこん、あやかしの特殊能力などは使用可能です。
アイテムの持ち込みも、あまりかさばるような物でなければ可。
ただし、アンデッドを攻撃して怯ませることはできても、
倒すことは難しいでしょう。
<アンデッド陣営の動き>
アンデッドはそれぞれに特殊能力を持っています。
ゾンビなら怪力やタフネスだったり、ゴーストなら壁をすり抜けることができたり、
強すぎない程度で自由に設定して構いません。
アンデッドは、人間を捕まえ、一か所に監禁することを目的とします。
フィールドには監禁に適した場所があり、全員をそこへ捕らえることができれば勝利。
ただし、監禁場所が他の人間に見つかると、せっかく捕らえた人間を解放されてしまうかもしれません。
彼らの位置や動向には気を配りましょう。
勝利後、監禁した人間をどのように扱うかは、あなたの自由です。
<フィールド>
大火に見舞われた田舎町。朽ちた建物にはまだ残り火が燻っている。
焼け落ちた小学校を中心に、数軒の民家が並んでいる。一部はまだ形を残しており、物資が補給できる。
中央には噴水があり、破裂した水道管から水が噴き出している。
燃え上がるゾンビが徘徊しており、動く者を見つけるとじわじわと近寄り襲ってくる。
【脱出条件】
・小学校のスクールバスへガソリンを一定量供給する
バスに乗っている者だけがフィールドを脱出できる。
ガソリンは民家跡のガレージに保管されており、全部で4カ所ある。
【アイテムやギミックなど】
・野球のバット、鉄パイプ、レスキューアックス
武器になるが、低級なゾンビくらいにしか効果はないだろう。
・土嚢、レンガブロック
積み上げればゾンビの進行を止めたり、遮蔽物が作れる。
・ロッカー
隠れることができる。見つかるかどうかは運次第。
・マンホール
地下の暗渠に繋がっている。一時的に身を隠したり、落とし穴に使えるかも。
・立てかけられた鉄板
崩してアンデッドの行く手を塞ぐ、加工して何かを補強するなど。
【監禁場所】
捕らえられた人間が自分で脱出することはできない。
別の人間が外から鍵を開け、解放することは可能。
・小学校の屋上
・保安官事務所の鉄牢
・民家の地下シェルター
<人間? アンデッド?>
どちらにするか決められない、どっちでも楽しそう。
という方は、コメントページでサイコロを振ってみてください。
サイコロの【右の目】によって、どちらになるか決まります。
・1、2、4、6:人間
・3、5 :アンデッド
なお、上記の勝負には参加せず、アンデッドな生活を満喫したり、
人間がただただアンデッドに追いかけられて恐怖体験したり、といったアクションも可能です。
自由な発想でお楽しみいただけましたら!
NPCについて
マッチング時に人数が偏る場合、以下のNPCが登場するかもしれません。
<人間>
・リーダーシップの持ち主、黒崎 俊介
冷静沈着で理知的。可能な限り仲間を導き、救おうとする。
行動の前にアンデッドを観察し、作戦を立てることを重視する。
・臆病な、久保田 美和
追い詰められると恐怖にすくんで、動けなくなってしまうことがある。
臆病ゆえに身を潜めるのは得意で、アンデッドに見つかりにくい。
・手先が器用な、野菜原 ユウ
アイテムを使った工作が得意。
やや好戦的なところがあり、ゾンビを武器で攻撃しようとする。
・屈強な、吉田 熊吉
隠密行動は苦手。運搬や破壊など、力仕事を得意とする。
また、アンデッドの攻撃を一度だけ耐えることができる。
・転生少女、テオ
異世界転生すると、なぜか中学生女子になっていた。
落神の力などは特に使えず、特別な能力なども持たない。
<アンデッド>
・悪霊、餅々 きなこ
恐るべき悪霊として転生した、無邪気に無惨な幽霊少女。
触れただけで生命力を奪い取り、念動力で人間を監禁場所へと運ぶ。
壁をすり抜けることもできるが、移動速度は遅い。
・さまよえる骨格、寝子 サンマ
動く魚の骨と化したサンマさん。
視界や感知範囲は狭いが、獲物を見つけるとすさまじい俊敏さで接近し、飛びかかる。
骨を伸ばして突き刺したり、小骨を射出する飛び道具もあり。
・ゾンビクイーン、胡乱路 秘子
つぎはぎだらけのゾンビとして転生した胡乱な少女。
常に周囲へ呪詛をばらまき、近づくだけで徐々に狂気に侵されてしまう。
動きは鈍いが、怪力で獲物を引き裂き食らう。周囲のゾンビを使役する能力も。
その他、登録済みのキャラクターでしたら誰でも登場可能です。
また、墨谷のシナリオに登場したNPCでしたら、登録・未登録問わず登場OKです。
ただし、不自然でないシチュエーションに限ります。登場が難しい場合もありますので、ご了承ください。
Xキャラクターも登場可能です。
口調などのキャラクター設定は、アクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いていただければ大丈夫です。
NPC・Xキャラともに、いつもとは違った肩書きや人物像を指定しても構いません。
以上になります。
それでは、ご参加お待ちしております~!