(……なんだ?)
とある夜。
ヨハン・プレストンは居候している親戚の家を出て、街へ出た。
虫の知らせとでもいおうか。何か奇怪な……見過ごせない事態がそこで進行している。そんな予感は、幾度となく寝子島の事変に関わり、荒事をくぐり抜けてきた彼のカンによるものか、あるいはかすかに遠く、誰かの悲鳴や物音でも風に乗って届いたからかもしれない。
(こいつらか……)
人通りの絶えた大通りを歩けば、今夜の異変はすぐにも現れた。
「兄ちゃあん。こいつはどうだぁい」
「おお、いいね! 斬りがいがありそうだぜえ」
「ちょっと、ふたりとも……私のぶんも残しておいてよね……」
それらは、三人の……いや。
三体の獣であった。
大きさは、ライオンや牛ほどもあろうか。
四肢を広げ立つ姿はイタチのようだ。しかし、前後の足先には、鋭利な鎌に似た湾曲する刃が伸びている。その長さは彼らの巨体をもしのぐほどだ。
彼らはあやかしで、
『鎌鼬』と呼ばれていた。
「転ばせるよぉ」
「斬るぜえ、斬るぜえ!」
「でも安心して、薬を塗ってあげるから……ふふふ」
伝承によれば鎌鼬は三位一体で行動する。
一の鎌鼬が風で転ばせ、二の鎌鼬が小さな切り傷をつくり、三の鎌鼬が薬を塗って去る。
己の生息圏を守るため、風の仕業に見立てて人を驚かせるのが彼らの習性なのだ。
しかし、
(……あの刃で斬られれば、人間などひとたまりもないな)
ヨハンは顔をしかめた。
三体の獣たちのうち、一体はひどい肥満体で、一体は筋骨隆々なまでに自身を鍛え上げており、もう一体は逆に骨と皮ばかりに痩せこけている。
総じて己の現状を省みないらしい彼ら鎌鼬に、伝承のとおり繊細な技を披露できるとは思えない。
捨て置けば今夜のうち、獣は不運な誰かを両断するだろう。
(仕方がないな)
ヨハンは物言わぬまま、懐中へ手を差し入れ愛銃を取り出し、身構えた。
こんにちは、高城ヒトです。
ヨハン・プレストンさん、ガイドにご登場いただきましてありがとうございました。
ご参加いただける場合は、ガイドに関わらず、自由にアクションをおかけください。
概要
真夜中のシーサイドタウンの、人や車の通りも絶えた交差点に現れたあやかしは、『鎌鼬』。
彼らは本来、人を驚かせて遠ざける程度で、致命的な傷を負わせることはないはずなのですが……。
今夜現れた鎌鼬たちの場合、ちょっと事情が異なるようです。
皆さんは、事態を察知したテオに呼び出されたか、たまたまその場に出くわしたか、
あるいは異変についてどこかで知り、自ら駆けつけたのかもしれません。
あやかしを放っておけば、一般人に被害が出ることは避けられないでしょう。
どうやらあやかしに致命傷を与えれば、霊界へ叩き返すことができそうです。
危険な相手へ、覚悟をもって挑んでください!
アクション
鎌鼬は常に三体で連携して動きます。
その連携を崩すのか、こちらも合わせてチームプレイで挑むのか、やり方は自由です。
あなたなりの最善と考える手段で、強敵に挑んでください。
<第一の鎌鼬(弟)>
三位一体の鎌鼬のうち、先頭を走り、つむじ風を放って人間を転倒させる役割。
しかしこの鎌鼬は無精な生活や不摂生がたたり、でっぷりと肥満しており、
四方八方へ放つつむじ風は巨大、かつ本人にも制御が効きません。
転倒どころか、触れるものすべてをまっぷたつにしてしまうでしょう。
<第二の鎌鼬(兄)>
転んだ人へ小さな傷を負わせる役割を担う、二番手の鎌鼬。
鎌鼬三兄弟の長男であり、肥大した筋肉を持つ巨漢で大変な自信家です。
己の肉体を鍛え上げることに没頭するあまり、その鎌は長大で鋭利なものとなり、
斬りつければ手の施しようもないほどの致命傷を与えてしまうでしょう。
<第三の鎌鼬(妹)>
傷を負った人へ薬を塗る、三番手の鎌鼬。
ひどくやせ細り、常に暗く卑屈な笑みを浮かべています。
かめに満たした薬は本来、傷をいやす治療薬のはずですが、彼女はその薬効を変化させ、
強力な毒薬としてしまいました。獲物にそれを与え、悶え苦しむ様を眺めては楽しむサディストです。
NPCについて
登録済みのNPCなら、特定のマスターが扱うキャラクターを除き、基本的に誰でも登場可能です。
一緒にあやかしの戦いに巻き込まれて逃げ惑ったり、一緒に立ち向かったり。
Xイラストのキャラクターを描写する場合、口調などのキャラクター設定をアクションに記載してください。
Xキャラ図鑑に書き込まれている内容は、そのURLだけ書いてもらえれば大丈夫です。
以上になります。
どなたでも、お気軽にご参加ください!