しくしくと少女の泣く声が聞こえる。
しんと静まりかえった霧の深い森の中で、かぼそいすすり泣くような声が聞こえる。
「……えーん。迷っちゃったよぉ。お兄ちゃんはどこ?」
声の主は5歳ぐらいの女の子。
彼女は、寝子島から霊界に迷い込んだ、とある夫婦の子供であった。
名前は涼花(すずか)。
涼花は、はぐれた両親や兄に助けを求めるように、えーんえーんと泣き続けた。
だが、その声は兄にも両親にも届くことはない。
ただ、深く立ち込める霧に迷い込むように、少女の声は森の闇に溶けていくばかりだった。
「ふう~。いいお湯だったあ~」
その日、稀によくあることに、気がつけば霊界に迷い込んでいた
白 真白は、何かに引き寄せられるように駅に出現した温泉に浸かり、バスタオル一枚で脱衣場の扇風機の風を満喫していた。
(これは常連になる価値ありかも……。まあ、ちょっとあやかし達に視線がアレだったけど……)
目を閉じ、肌で心地よい風を感じながら、真白はそんなことを考えている。
というのも、
*参考画像
真白はおっぱいが大きい。
他方、背は小さくて、その特徴を一言でいうなら
『ロリ巨乳』である。
そんな彼女の豊満な二つの膨らみは、何の因果か『月に一度の混浴デイ☆』にあたる本日においては他の利用客の注目を集めずにはおかなかったのである。無論、バスタオルか水着の着用は可能(というより必須)であったのだけど。
「まあ、次は男女別の日に来ればいいよね!」
じっとりと汗ばむ身体を扇風機の風で冷やしながら、「サービスサービス♡」と書かれた看板とともに置かれていたコーヒー牛乳を、真白は腰に手を当てて一気飲みする。
さて、そうしてそろそろ魔行列車に乗って寝子島に戻ろうかと思った、そのときだった。
「あなた。どうしましょう。あの子達がいなくなったら私は……」
「落ち着きなさい。文香。私達がうろたえても仕方がないだろう」
「……?」
真白は何やら深刻そうに話し込む二人の「ひと」と思しき男女の姿を発見した。
どうやら二人は家族連れで旅行をしている最中に、この駅に迷い込み、温泉で一息ついていたところ、子供がどこかに――おそらくは霧深い森の中に迷い込んでしまったようだ。
今にも泣き出しそうな女性と、それを冷静になだめる男性。
男性の方も、平静を装ってはいるが、その横顔には心配の表情がありありと浮かんでいる。
というのは、温泉を取り巻く霧が深い森の中には、それはそれは恐ろしいあやかし達がうろうろしているからだ。
そんな夫婦の様子を一瞥し、
「これは……」
真白の瞳がキラリと輝く。
真白はゲーマーである。
その瞳はいつだって自らが取るべき最善の一手を選び出す。
さて、そうして彼女が選んだ次の一手とは――。
ごきげんよう。大変ご無沙汰しております。MSの水月鏡花です。
今回は、霊界に迷い込んだ寝子島のとある家族に関するお話をお届けします。
なお、本日のガイドには、白 真白さんにご登場頂きました。
この場を借りてお礼を申し上げます。ご出演頂き、まことにありがとうございました。
もしご参加いただける場合は、ガイドにとらわれずにご自由にアクションをおかけくださいませ、
概要
○目的
子供が迷子になってしまった両親から話を聞いて、
子供達を霧深い森から二人のもとに連れて帰ってあげてください。
なお、森には協力してくれそうな人やあやかしがいるようです。接触して情報を集めましょう。
ただし、見返りになにかお手伝いを求められたりするかも?
また、森には危険なあやかしも潜んでいて、バトルになる可能性もあります。
じゅうぶん気をつけて!
○場所
・迷いの森
浅縹駅が出没するいつも深い霧が立ち込める森。
あやかしが跋扈し、何の力を持たない「ひと」が迷い込むのは大変危険。
登場キャラクターについて
○登場NPC
・お父さん(茂男)
涼花のお父さんです。気丈に奥さんを慰めていますが、実際は二人の子供が心配でたまらないようです。
職業は妖怪研究家で、質問すれば、森に出現しそうなあやかしの情報を教えてくれるでしょう。
やはり、無事に寝子島に戻った後は、夢か何かだと思い込むようです。
・お母さん(文香)
涼花のお母さんです。子供が迷子になり、とてもオロオロしています。
専業主婦でいつも子供達の面倒を見ているので、子供の特徴や性格について教えてくれるでしょう。
やはり、無事に寝子島に戻った後は、夢か何かだと思い込むようです。
・涼花ちゃん
ガイドに登場した女の子です。
お兄ちゃんに付き添って、迷いの森に迷い込みました。
怖がりで、ひとり寂しくえーんえーんと泣いています。
とにかく心細くて、人の気配がすればたとえあやかしでもついていってしまいそうな気配があります。
まだ小さいので、お兄ちゃんのような妖怪知識はありません。
無事に寝子島に帰った後も、夢のようなホントの出来事として記憶をとどめているかもしれません。
・お兄ちゃん(翔太)
涼花のお兄ちゃんです。妖怪好きで、つい妖怪が出そうな森にこっそりと妹と一緒に忍びんだものの、
帰り道がわからずに迷い込んでしまいました。
妹思いのお兄ちゃんで、今は必死に妹を探しています。
お父さんから妖怪の知識を得ているため、逃げたり、危険な行為をさけたりといった対処がある程度可能です。
無事に寝子島に帰った後も、夢のようなホントの出来事として記憶をとどめているかもしれません。
・フジコ先生
うっかり霊界に迷い込んでしまったようです。
温泉と聞いて、かなりウキウキワクワクしています。
なので、邪魔する者は容赦しないかもしれません。
「今日は混浴なのね? カワイイ子はいるかしら?」
無事に寝子島に戻った後は、夢か何かだと思い込むようです。
・高野先生
おなじくうっかり霊界に迷い込んでしまったようです。
森の中をランニングして、野生の感(?)で温泉に戻った後、温泉で汗を流し、
コーヒー牛乳を飲むのを楽しみにしています。
「カカカ! やっぱり風呂上りはコーヒー牛乳にかぎるよな!」
やはり、無事に寝子島に戻った後は、夢か何かだと思い込むようです。
○特に害のないあやかし
・番頭サン
なぜかニンジャのような格好をした温泉の番頭。
お客さんが迷い森に行こうとすると「危険だから」と止めますが、
事情を話せば森の中でも温泉の方向がわかる不思議な方位磁石を貸してくれます。
「ドーモお客サン。そちらはキケンですのでイキドマリです」
・あずきあらい
桶にはった水であずきを洗うおじいさんの妖怪です。
あずきの音はよく響き、その音を頼りにすすめばあずきあらいに会うことができます。
あずきあらいの音はよく響くので、もしかすると子供達もそばを通りかかったかもしれません。
危険なあやかしがうろつく森の中で無防備な背中を背中をさらしていますが、
肉はあまり美味しくないという噂(?)があるので、妖怪に襲われることは少ないようです。
・首なしみみずく
森を飛びかう首のないミミズクの妖怪です。首が勝手に動きまわるために難儀しています。
首と身体をくっつけてあげるとよろこびますが、首は自由に森の中を動きまわるために、
捕まえるのはやっかいです。
人や付喪神は食べませんが、森の悪い妖怪は好物です。
助けておくと、危険な妖怪に遭遇したときに手助けしてくれるかも?
○危険なあやかし
・蛸男
蛸に人の身体が生えたような姿をした妖怪。
触手を伸ばして獲物を捕食します。
最近、人の味……とくに寝子島界から迷い込んだ新鮮な人の味をおぼえたために、
子供達が見つかると大変なことになります。
触手は鞭のように扱い、敵を殴ったり、縛ったりすることが可能。
また地面に突き刺して、遠くから相手の足に絡みつかせて動きを奪うことがあります。
・現身
森に迷い込んだ人やあやかしになり替わり、そのまますり変わろうとする鏡の付喪神。
身鏡とも呼ばれ、姿や声・性格や知識までもコピーすることができますが、一点だけ本物と違うところがあります。
正体を見破すれば、くすくすと笑って姿を消していきます。
・こなきじじい
一見、普通のおじいさんにしか見えない妖怪。
腰を悪くして動けないと言い、温泉に連れ帰ってくれとねだります。
言うことを聞かないと駄々をこね、何がなんでも背中におぶさろうとしてきます。
最初は猫のような軽さですが、おぶっているうちにドンドンと重くなり、やがて背負って歩けないほどになります。
なお、こなきじじいの肉は、大みみずくの大好物のようです。
・殺戮人形(名前:???)
朱い着物に身を包んだ、からくり人形の付喪神。
優れた技術を持つが、偏屈な性格のために人を寄せつけず、
その結果およそ人との交流を持たずに孤独死した制作者を儚み、付喪神となりました。
今は亡き主のあちらでの『お友達』を増やそうと、目につくもの全てを無差別に襲う
殺戮人形と化してしまった様子。
首に鈴をつけているため、耳を澄ませば接近は音でわかります。
ふわふわと宙を舞うと思えば、弾丸のような速度で突進してきたり、いきなり背後や側面に瞬間移動したり、
その動きはまさに変幻自在。
めちゃくちゃ強いので、助けるべき目標がいる本シナリオでうかつに手を出すべき存在ではありません。
接近に気づいた場合は、速やかに逃げましょう。目が悪いので、ある程度離れれば、
それ以上は寄ってこないはずです。
アクションについて
○アクションに書いて欲しいこと
温泉から森に向かうまでの準備、森であやかしに遭遇した場合の対処方法、子供を見つけたらどうするか。
*相談は必須ではありませんが、自分がどのあやかしへの対処に重点を置いてアクションをかけるかなどを
コメントで報告しておくと、役割分担や連携が取り易いかもしれません。
○おまけ
子供達を両親のもとに送り届けた後は、ゆっくりと温泉に浸かって帰るのもよいでしょう。
なにしろ今日は月に一度の『混浴デイ☆』。
もしかしたら、なにかステキな光景が見られるかもしれません。
なお、バスタオルまたは水着(無料でレンタルできます)は必須です。
ちなみにレンタルできる水着は女性はな・ぜ・かスク水で、男性はな・ぜ・かブーメランパンツです。
な・ぜ・かスク水と、な・ぜ・かブーメランパンツです。
大事なことなので、とても大事なことなので二回言いました。
あ、もちろん「こんなこともあろうかと」『偶然☆』に持ち歩いていた水着を着用して頂いてもOKですよ。
フルボディでもビキニでも葉っぱ一枚でもOKです(やっぱり葉っぱ一枚は駄目かもしれません)。
それでは、皆様のご参加を心よりお待ちしております。