楪 櫻はその日、雨の夜道を一人歩いていた。
ちょうど、夕方から降った雨はざぁざぁと寝子島を覆い隠し、
今、歩いているシーサイドタウンの街灯が、ぼんやりと揺れている。
櫻のその瞳は、その街灯をぼんやりと捉えつつ、
何かを思い出すように目を細め稽古道具を背負い直した。
ずっしりと来る重みに、今日の出来栄えを感じる。
櫻は週に一度の居合いの稽古の帰りだった。
――刹那。
影が櫻に向けて疾走する。
キィンッ!
それに気づいた櫻は稽古用の模造刀で受ける。
ギリギリ……。
金属特有の臭いを雨に拡散させながら鍔迫り合いとなる。
「時代錯誤な奴もいたものだ」
それは、ぼんやりとしたものであった。
揺れる街灯のような人型のそれは、刀を持っていた。
そして、明確な殺意をもって櫻に襲いかかったのだ。
――辻斬り。
確かに櫻の唇はその言葉を紡いだ。
そして、距離を取りつつ、模造刀をカチリと鞘に納める。
相手も同様に飛び退き、青眼の構えを取る。
「……いいだろう」
櫻は相手を見据えつつ、精神を集中させる。
じりっ……と敵がすり足で寄ってくる。
相手の間合いと自分の間合いを探る。
雨で視界が狭い……目の中に水が侵入しようとする。
足元が悪い……これでは、上手く足さばきができない。
しかし、それは些細なことだ。
次の瞬間。
「はっ!」
敵の踏み込みと同時に、鞘から走った刀身が、敵を二つに引き裂く。
ズシャリッという嫌な音と共に影は斬れた。
「斬れた、だと? ……何が起こっている?」
じんわりと、手に嫌な感触が広がる。
そんな櫻の脳裏に、テオこと
テオドロス・バルツァの声が響くのであった。
この日、いく人もの「刀らしきものを持った人」が
謎の影のようなものに襲われる。
明確な、殺意がそこにあった。
今回は辻斬りです。
早速説明に入ります。
〇時刻や場所
時刻 夜半の22時過ぎ
場所 寝子島内の シーサイドタウン
旧市街
星ヶ丘
の全域にて、辻斬りが出現
状況 雨で視界不良 足元が滑る
突然の襲撃なのでそれらに対する備えはないので注意
〇襲われる人
「ひと」「もれいび」で70センチ以上の棒状のものを持つキャラクター
小刀やナイフのようなものには反応しませんが、モップや洗濯竿には反応します
また、敵の武器は竹刀や木刀で受けても大丈夫ですが
人間に当たると殺傷能力を持ちます
〇犯人(テオが教えてくれました、影のことについては後述)
シーサイドタウン 時代劇ずきの老人 稲垣 玄(いながき げん)
現在、落神神社にて陣取っている様子
シーサイドタウンをなんとかするには落神神社に行く必要があります
・影の特徴 一刀流 大太刀 一足一刀 赤穂浪士
旧市街 時代小説を読んでいる少年 渡瀬 一(わたせ はじめ)
アパートで母と暮らしている。
アパートへの侵入は騙すなどすれば容易だが
一番狭い場所で闘う必要がある
・影の特徴 雑流 新撰組 天然理心流っぽい?
星ヶ丘 剣豪の歴史ずきの中年 赤森 平治(あかもり へいじ)
一軒家にて家族で暮らしているが、家族とはうまくいっておらず
星ヶ丘の星ヶ丘マリーナの当たりで飲んだくれている
・影の特徴 剣だけでなく柔術の体さばきなどが見られる
〇そのほか
雑魚(といってもそれなりに強いですが)の影が出現
PCたちの進路を妨害してきます
〇解決方法
今夜のうちにそれぞれの犯人から出てくる幻影を倒す必要がある
それらを倒すには70センチ以上の棒状のもので「斬る」必要がある
それら以外の手段で攻撃した場合それらの攻撃を無効化します
(例:有効 刀、木刀、模造刀、薙刀、箒、モップ、洗濯竿など
無効 小刀、カッター、ナイフ、銃弾、打撃など)
また、今夜で倒せなかった場合次の夜から無差別の攻撃となります
〇そのほか大事なこと
現状、テオが寝子島そっくりの異世界を構築した
時間ががかったり全滅したら危うい状況にある
異世界なので斬られても死亡はしない
〇注意
「襲われる人」以外の人も、テオの作った異世界に巻き込まれる
という可能性があります
その場合、初手は襲われず、かつ、突然、異世界に放り込まれます
上手く武器を手に入れないと敵が倒せないので工夫してください
なお、電波が存在しないので
携帯やスマホなどの連絡手段は一切使えません
〇アクションを書く際には
どこで巻き込まれたか
どこで援護するのかを書いてください